不正調査ガイドライン の商品レビュー
会計士などの専門家が企業の粉飾決算(不正な財務報告)や従業員などによる窃盗、着服(資産の流用)といった不正に係る調査の依頼を受けた際のガイドラインが解説されている。不正調査人が採用する不正調査の手法は、「仮説検証アプローチ」と呼ばれ、会計士が財務諸表監査で採用するリスク・アプロー...
会計士などの専門家が企業の粉飾決算(不正な財務報告)や従業員などによる窃盗、着服(資産の流用)といった不正に係る調査の依頼を受けた際のガイドラインが解説されている。不正調査人が採用する不正調査の手法は、「仮説検証アプローチ」と呼ばれ、会計士が財務諸表監査で採用するリスク・アプローチ監査とは趣旨・目的などで相違する。仮説検証アプローチでは、まずこのような形で不正が行われているのではないかとの「仮説の構築」を行い、次にその「仮説の検証」が行われるという手続を踏む。不正リスク要因の分析については、監基報240が参考になる点理解した。また冒頭の座談会では、以下のコメントが参考になった。 P22 経営者の誠実性の評価 オーナー系の会社も上場会社にはまだたくさんあります。このようなタイプの経営者は業績や財務基盤がよければ、よほどのことがない限りその地位を脅かされることはありません。そのため、あまり粉飾決算をしようという動機はあまりないと思います。ところが、そうではない一般の経営者の場合は自分の責任になると次の人に替わらなければならないというので、あまり優秀ではない役員を周りに揃えてイエスマンだけで固めるというような会社も一部あると思います。よって、経営者個人の誠実性だけでなく、役員全体の行動としての誠実性が保たれるかどうかも含めて、会計監査人としてはある程度把握をする必要があると思います。 P48 不正が発覚すると、それをなぜ防止できなかった、発見できなかったという問題から、そもそも誰に責任があるのか、と取り沙汰されることがあります。法的には、すべての責任は経営者ということになるのでしょうが、内部監査人であったり、監査役であったり、時には会計監査人が俎上に載ってきます。~不正調査専門部会では、「不正調査ガイドライン」の作成過程において、「不正」がどのようにしたら低減するのかを一番時間を割いて議論しました。ある専門委員の発言に、不正の問題は、学校でおきる「いじめ問題」に似ているという話がありました。学校の先生にいくら責任を課しても「いじめ」はなくなりません。
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