ソフィストとは誰か? の商品レビュー
ゴルギアス篇とともに読了。 併読『問答法、試問術とソクラテス』(納富,フィロロギカー古典文献学のために,2014) アリストテレス『ソフィスト的論駁について』に挑戦するため、その前哨戦にと挑んだ。が、この冬までに到達できるだろうか?『プラトン理想国の現在』も文庫化再販されるとの...
ゴルギアス篇とともに読了。 併読『問答法、試問術とソクラテス』(納富,フィロロギカー古典文献学のために,2014) アリストテレス『ソフィスト的論駁について』に挑戦するため、その前哨戦にと挑んだ。が、この冬までに到達できるだろうか?『プラトン理想国の現在』も文庫化再販されるとのことで、ますます、積読が増えるのは必至。
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[第1刷]2015年2月10日 ソフィストと哲学者に境界はあるのか?現代に哲学者と自認している者は本当に本書でいうとことの「哲学者」なのか?
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古代ギリシャ哲学研究の第一人者による、ソフィスト思想を「哲学問題」として捉える試み。プラトンの対話篇で主要な論敵をなすソフィストであるが、そもそもソクラテス自身が、当時ソフィストと見なされていたことからして、「哲学者」と「ソフィスト」の境界を明確化しようとすることは、古代ギリシャ...
古代ギリシャ哲学研究の第一人者による、ソフィスト思想を「哲学問題」として捉える試み。プラトンの対話篇で主要な論敵をなすソフィストであるが、そもそもソクラテス自身が、当時ソフィストと見なされていたことからして、「哲学者」と「ソフィスト」の境界を明確化しようとすることは、古代ギリシャ世界の通念を逆転させようとする取り組みである。著者はおおよそこのようにプラトンを始めとしてソクラテスをソフィストとは区別されるべき思想家と定義しようとした人々の取り組みをとらえたうえで、哲学という営みの本質をソフィストの活動の対比で規定しようとすることが哲学問題であると論証する。具体的に取り上げられるソフィストは、ゴルギアスとアルキダマスという人物である。前者はプラトンの対話篇の題名にもなっている人物であるが、彼の作品として伝承されている『ヘレネ頌』、『パラメデスの弁明』、『ないについて』の訳文がまず提示され、それから一節一節が丹念に分析される。言論による説得を重要視しつつも、説得されてパリスに翻意したヘレネに悪名を負う責任はないというゴルギアスの論理は、華麗な言論によって他人を説得しつつもそれに責任を負うことはないという弁論家の主張として、言論の力を否応なく感知させる。また『ないについて』は、哲学による真理追求の営み(ゴルギアスはとりわけエレア派を念頭に置いている)を茶化していく営みとして捉えられる。アルキダマスの『ソフィストについて』も、書き言葉による知識の伝達・説得を重んじる哲学に対して、口頭で言論を発する技術を磨く弁論家のほうが優れているという主張を打ち出す点で、「反哲学」と言うべき主張を繰り出している。このような分析を経たうえで、哲学者とソフィストは対として存在しており、反ソフィストを標榜する哲学を追求するためには、「ソフィストを忘却の淵から呼び戻すこと」が必要だというのが著者の見立てである。
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