ユークリッドの窓 の商品レビュー
テーマは幾何学。ユークリッドからガウス、アインシュタイン、そして最先端のウィッテンの世界へ。幾何学的な内容もさることながらこれら天才たちのエピソード的なネタがとても楽しかった。 例えば、シュレーディンガーは物理学会のドンファンで、「私と一夜を共にした女性が、一生を私と共にしたい...
テーマは幾何学。ユークリッドからガウス、アインシュタイン、そして最先端のウィッテンの世界へ。幾何学的な内容もさることながらこれら天才たちのエピソード的なネタがとても楽しかった。 例えば、シュレーディンガーは物理学会のドンファンで、「私と一夜を共にした女性が、一生を私と共にしたいと願わなかったためしはない」と書いていたとか。写真でみると真面目そうに見えるがイメージと違っておもしろい。そして天才ウィッテン。著者はウィッテンと同じ大学ですでにウィッテンはその天才ぶりで物理の教授たちに名が知られていたが、ウィッテンは歴史学の学生で物理学の単位を一つも受講しておらず、物理は単なる趣味だった。大栗先生の本でも出ていたが、この方本当に異次元の頭脳の持ち主のようである。
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原書名:Euclid's Window 第1部 ユークリッドの物語 第2部 デカルトの物語 第3部 ガウスの物語 第4部 アインシュタインの物語 第5部 ウィッテンの物語
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土砂の量、扉の寸法、税の金額。 数学は必要から始まり、古代から様々な場面で用いられるために発展した。 では、ピタゴラスの三平方の定理は誰が見ても有用であることが分かるが、ユークリッドは何をしたのか。 23の定義を述べ、5つの公準を設け、5つの公理を掲げ、そこから465の定理を証明...
土砂の量、扉の寸法、税の金額。 数学は必要から始まり、古代から様々な場面で用いられるために発展した。 では、ピタゴラスの三平方の定理は誰が見ても有用であることが分かるが、ユークリッドは何をしたのか。 23の定義を述べ、5つの公準を設け、5つの公理を掲げ、そこから465の定理を証明した。 それは、点、線、円、直角、平面の定義であり、すなわち幾何学の創設であった。 もちろん、それを現実に役立てることは可能だが、幾何学が拓いた新しい可能性とは虚構の定義、新しい世界観の創出だ。 人の脳内で、あるいは机上で語られる数学のカタチは現実世界とどこまで同じなのか。 デカルトは空間を式に翻訳し、幾何学を代数学の言葉で表した座標幾何学に拡張した。 ガウスはユークリッド幾何学でない双曲幾何学を導いた。 アインシュタインは相対性理論により、現実世界の歪みとユークリッド幾何学の差分を明らかにした。 ウィッテンは幾何学の新領域となるM理論を築き上げつつある。 本書は数学の技術を語るのではなく、幾何学の歴史を語る本であるため、 残念ながら初学者が幾何学を理解するための道筋が据えられているわけではない。 数学を知りたい人でも歴史に興味がある人でもなく、 人間と数学はどのようにして進歩するのかを考えたい人が読むべき本だろう。
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