サヤン、シンガポール の商品レビュー
サヤン、は訳者のあとがきによると哀愁、刹那、切なさみたいな意味。シンガポールのローカル民、自分の立場(生活、アイデンティティ、性的趣向など)にモヤモヤと納得できていない人々の、短いアンハッピーなストーリーが集められている。 前半はわざと詩的になっていたり抒情映画的な表現が気に障り...
サヤン、は訳者のあとがきによると哀愁、刹那、切なさみたいな意味。シンガポールのローカル民、自分の立場(生活、アイデンティティ、性的趣向など)にモヤモヤと納得できていない人々の、短いアンハッピーなストーリーが集められている。 前半はわざと詩的になっていたり抒情映画的な表現が気に障り内容が入ってこないが、最後の2.3話は良かった。 しかし、シンガポールのセントラル地区や日本人駐在員が沢山いるような地域にしか住んでいない人、3年以上住んでいたことがない人やホーカーでその場で食べたりしないような人には、今一ピンとこない話ばかりだろう。 ただ、内容よりも、訳者があとがきに書いているように、これがマレー系イスラムの人が英語で書いた、純粋な(宗教や教訓から切り離すという意味)フィクションへの挑戦であることに意味があると思える。お酒は出てこないが、同性愛者やペドの性行為など、よくあのシンガポールで出版できたな、と思う。
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