マーケット・デザイン の商品レビュー
ノーベル経済学賞のオークション理論に興味を抱いて。 マーケットデザインや実験経済学などの市井では耳にすることもそうない分野の取り組みを知ることが出来た。 研究対象として、現実的なシーンに生じながらも曖昧模糊とした上記の経済活動を捉え、それを現実に再投入する究明の手続きはある種の...
ノーベル経済学賞のオークション理論に興味を抱いて。 マーケットデザインや実験経済学などの市井では耳にすることもそうない分野の取り組みを知ることが出来た。 研究対象として、現実的なシーンに生じながらも曖昧模糊とした上記の経済活動を捉え、それを現実に再投入する究明の手続きはある種の禅問答のようにも思え、それが一層門外漢の自分にも興味深く読み進められた。
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市場は商品の値段の均衡によって効率的な配分を実現する。しかし現実には、需要と供給を操作することで自己の利益を増やす戦略的行動が可能である。 これはゲーム理論として研究されているが、そこから派生して、人々が戦略的行動を取ることを前提に、システムとして理想的な状態、つまり財の配分を実...
市場は商品の値段の均衡によって効率的な配分を実現する。しかし現実には、需要と供給を操作することで自己の利益を増やす戦略的行動が可能である。 これはゲーム理論として研究されているが、そこから派生して、人々が戦略的行動を取ることを前提に、システムとして理想的な状態、つまり財の配分を実現する仕組みを設計するのが、マーケット・デザインである。 著者は、実験経済学の研究者であり、マーケット・デザインにおいても理論だけでなく実験が重要と考える。本書においても、理論上は最適なアルゴリズムとされるものが、実際には良い配分にならないケース、その理由の考察に紙面を割いている。また、研究室の閉じられた実験と、実際のオープンな取引とでも結果が違うなど、やはり人の行動は難しいと感じさせる。 研究の面白さは伝わるものの、中身の説明が省略し過ぎなのが残念。
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マーケット・デザイン 川越敏司著 制度設計になう経済学の先端 2015/3/8付日本経済新聞 朝刊 就職先や学校の選択、臓器移植、電波の周波数免許の割り当てなどは、単純な市場メカニズムに解決を任せられない。こうした問題に対応できるような制度やルールを設計するのがマーケット...
マーケット・デザイン 川越敏司著 制度設計になう経済学の先端 2015/3/8付日本経済新聞 朝刊 就職先や学校の選択、臓器移植、電波の周波数免許の割り当てなどは、単純な市場メカニズムに解決を任せられない。こうした問題に対応できるような制度やルールを設計するのがマーケット・デザインだ。経済学のなかでも注目され、近年の進歩が目立つ分野である。 制度設計に利用するのは「オークション(競売)」と、望ましいペアを成立させる方法を探る「マッチング」が二本柱だ。国際的に活躍する気鋭の学者が、それぞれの理論の成り立ちや研究成果について、エッセンスに絞って基本から紹介する。 オークションでは「1位の価格を入札した人が落札し、2位の入札価格を支払う」方式が理論上は望ましいと知られており、導入例も少なくない。本書では学生らを集めてそれが別の方式とどう違うか実験した結果や、実際のオークション会場での観察をもとに、理論と実践のギャップを探った点に読み応えがある。 米グーグルの広告枠の販売に用いられるオークション方式の問題点や、結婚相手を探すパーティーのマッチングの仕組みなど、身近な事例もふんだんに盛り込まれている。著者も認めるように、こうした仕組みを現実の社会問題に導入するにはなお時間がかかるだろうが、経済学の先端をうかがえる一冊だ。(講談社・1650円)
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