ウェスレー の商品レビュー
初めてのウェスレー。ウェスレーの人生にもいろいろと感銘し学ぶところは多いが、この本のまずありがたいところは、アングリカンチャーチの時代的な立ち位置と、その内部信仰のグラデーションが丁寧に語られているところ。ウェスレーの立ち位置は高教会主義、いわゆるアングリカンチャーチの正道的位置...
初めてのウェスレー。ウェスレーの人生にもいろいろと感銘し学ぶところは多いが、この本のまずありがたいところは、アングリカンチャーチの時代的な立ち位置と、その内部信仰のグラデーションが丁寧に語られているところ。ウェスレーの立ち位置は高教会主義、いわゆるアングリカンチャーチの正道的位置にもともといたと。それで少しずつ改革派よりに内的に移動しつつも、高教会主義の中にとどまっていた、という感じだろうか。 産業革命のど真ん中の時代、資本主義の勃興に物質の波が訪れ、コペルニクスの地動説の受容から、精神的な土台も揺らいでいくような中で、イギリスの信仰が停滞していたところをウェスレーは馬にまたがり全土を駆け巡った。伝道集会を町々で行い、野外説教をすること日に3~4度。そんな人生を54年間つづけた。総踏破距離36万キロ以上。生涯での説教の回数は52400回に及ぶらしい。圧巻。 ウェスレーの神学を俯瞰すると、年齢に応じて様々影響を受けながらの変化はあるが、一貫して緩やかにプラグマティックな印象を受ける。一方向的な教会主義ではなく、神と人との双方向からの救いのあり方や、教会におけるミサという枠組みを超えての野外での説教など、今の人間に必要な救いのあり方を現実的に考えながらも、ただの理性や実際に埋没せず、伝統との接続を試み続けそれを一つの神学として残した。その後に来る自由主義神学の先駆けの香りがそこにはある。 私としては「近さ」を感じたことは収穫だった。とても分かりやすい。 17.5.24
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