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悪をなし真実を言う の商品レビュー

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2023/01/07

フーコーの81年のルーヴァン大学での連続講義の記録。 いわゆる後期フーコー、もしかするとフーコーの仕事全体を見晴らせるかもしれない貴重な講義。 フーコーは、「狂気の歴史」(1961)、「言葉と物」(1966)、「監獄の歴史」(1975)、「性の歴史1巻:知への意志」(1976...

フーコーの81年のルーヴァン大学での連続講義の記録。 いわゆる後期フーコー、もしかするとフーコーの仕事全体を見晴らせるかもしれない貴重な講義。 フーコーは、「狂気の歴史」(1961)、「言葉と物」(1966)、「監獄の歴史」(1975)、「性の歴史1巻:知への意志」(1976)と中世からルネサンス、古典時代、そして現代へと歴史をたどりながら、権力とか管理といったことをどんどん深めて行ったのだが、70年代後半は、一旦ブランクができて、1984年にAIDSでなくなった。日本では、死後に「性の歴史」の2巻と3巻が翻訳され、なぜかギリシア/ローマの話しになっていて、なんじゃとなっていた。。。「フーコーも最後はボケてたんじゃないの」みたいな。 日本の同時代的には、そんな感じだったのだが、実は、70年代後半はブランクではなくて、本は書かれていないのだが、コレージュ・ド・フランスの講座では権力の分析はどんどん先鋭的になっていたことが明らかになりつつある。そして、80年前後に、アプローチの転換が起きて、「真理をいう」みたいなところに主題がなって、より大きなスケールで、ギリシャ時代からスタートして、現代に戻ってくる大きな歴史を描こうとしていたことが見え始めている。 その構想は著作では完成されることがなかったのだが、この講義では、ギリシアからローマ、中世をたどって、現代に戻ってくる大きな見取り図が描かれていて、フーコーがなにをしようとしていたかが見渡せる大変貴重な講義になっている。 個人的に81年といえば、フーコーを始めて読んだ年であったりする。大学で「狂気の歴史」を1年かけて読んだけど、私がフーコーのスタート地点をわけ分からずによんでいるときに、当人はもう全然違う領域にいっていたわけね、と感慨にふけってしまう。 コレージュ・ド・フランスの講義録の刊行も終盤に近づいてきて、これで概ね、フーコーも出そろうはず、やれやれと思っていたら、どうもそうではないらしい。 訳者のあとがきによると、フーコーの遺言で「開けてはならない」未発表原稿の入っている箱をフランス政府が遺族から買い取ったらしく、今後、これらの原稿の公表が始まるらしい。なかには、性の歴史の最終巻「肉の告白」が入っているらしく、これはフーコーがあと1〜2ヶ月生きていれば刊行されたであろうというところまで校正が進んでいたもの。こんな感じで、フーコーの全貌が明らかになるまでにはまだまだ時間がかかりそうである。 死後、30年以上たってもどんどん新しい本が出続けるというのは、もうスゴいとしか言いようがない。

Posted byブクログ

2015/02/06

最も重要な思想家フーコーの思考を凝縮した幻の講義を気鋭たちが翻訳。告白から裁判への歴史をたどる中から真理と権力の関係をあきらかにし、権力論と晩年の自己への配慮をつなぐ。

Posted byブクログ