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父という余分なもの の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2021/11/20

父親なんてものはいなくていいんだ、という内容ではない。 他の類人猿にはみられない、人間に特有の(=余分な)社会的役割としての父というものの、起源を探る。 前半、すごく真面目な内容で、一般向けの読み物としての科学エッセイというより、研究・観察の結果を平易な言葉で書いた、専門的分野...

父親なんてものはいなくていいんだ、という内容ではない。 他の類人猿にはみられない、人間に特有の(=余分な)社会的役割としての父というものの、起源を探る。 前半、すごく真面目な内容で、一般向けの読み物としての科学エッセイというより、研究・観察の結果を平易な言葉で書いた、専門的分野の入門書の一歩手前というか、新書に多いレベルと思う。 最後の対談は、ぐっとくだけた雰囲気で楽しい。 類人猿の性行動と育児のあり方、とても興味深かったので、この分野もチェックしていきたい。

Posted byブクログ

2021/10/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

割と勝手な感想だというのはわかっているが、「父という余分なもの」について書かれているのはほんの一部というタイトル詐欺だった。特に、父親から送られてきた差し入れに混ざっていた本だったからなんか深い意味でもあるのかと思ってたわ… 無かったわ… 内容としてはそこそこ興味深かったが、父という存在についてサル研究から改めて見直してみる、というのではなく、父というテーマを含んでいるサルの研究についてひたすら語るだけの本だった。 プロローグで父親とは云々と紹介した次の章が「直立歩行は舌から始まった」として食事について紹介し始める。えっ?ってなった。そしてそのまま色々な霊長類の家族の仕組み、性、ゴリラの研究などを紹介し続け、終わる。 いや、人類だけが「食物をその場で食べず、持ち帰って分配する」という特殊な行動を取るというのとか確かに… おもしろいな、とはなったけども。 ずっと「違うなぁ…」と思いながら読んでて、読み終わった後は「違ったなぁ…」となった。

Posted byブクログ

2021/01/29

得した!!解説が鷲田先生だった!!三浦雅士さんとの対談も読み応えあり!!! いつものごとく、フィールドワーク関係の話は興味深いし、今回は人間の営為がいかにゴリラを追い詰めているかにも言及されていて、内戦や経済開発の問題についても考えさせられる。あと、ゴリラは食糧、という現地の人た...

得した!!解説が鷲田先生だった!!三浦雅士さんとの対談も読み応えあり!!! いつものごとく、フィールドワーク関係の話は興味深いし、今回は人間の営為がいかにゴリラを追い詰めているかにも言及されていて、内戦や経済開発の問題についても考えさせられる。あと、ゴリラは食糧、という現地の人たちの認識があることにも度肝を抜かれた。インディージョーンズにそんなシーンがあったような……?あれは猿だっけ?? 人間って何?という疑問が、さまざまな分野で高まっているように感じられる。その背景に、AIの進歩だったり、文化・宗教間の対立だったり、ジェンダーギャップだったりがあるのかな。その辺が知りたくて最近、ずっと山極先生の本を読んでいる。山極先生の著書の魅力は、「人間って何?」という疑問へのヒントを形而上のことではなく、ゴリラという人間の仲間の実見から得た血の通った話として筋を通してくださること。難儀な哲学関係の本と往還しながら読んでいるので、そこに強く惹かれる。 今回の切り口は「父」。結論からいうと、これは人類の文化の根幹をなす重要な装置、ということらしい。しかも、「父」なるものは、配偶者と子からの二重の選択を経てようやく存在が許される、とても脆弱な装置なのだそうな。とすると、その脆弱性を覆い隠すべく儀礼や宗教が発達したってことなのかしら??捨てられないための必死の偽装工作??? で、「人間って何?」の話はコロナの影響への懸念にもつながってしまう。 人類進化の出発点は連帯と共食への願望、そして、対話や会話などの交渉は互いに向かい合うことが基本と本書にはある。この指摘から、コロナがいかに人間の基本と相性が良いか(人間側からは迷惑千万だけど)がよくわかる。禁じられて初めて、それがどれほど大切かが分かるというのはよくある話だけれど、ここまで人間の根幹に関わることだったとは。それを一年とか二年とか、そこそこ長い期間禁じられることが、この後、特に小さな子どもたちにどんな影響を与えるのだろう?

Posted byブクログ

2020/08/10

◯類人猿の社会を読んでいると、父親っているのかな?と思えてくる。この本はその回答になると思っていたが、正直にいうと、そこまでの回答は得られていない。 ◯母親が子育てをする際に、食料の確保などにおいて、他者の手伝いが必要だという合理性で生じているようにも思えるが、別にそれをしなくて...

◯類人猿の社会を読んでいると、父親っているのかな?と思えてくる。この本はその回答になると思っていたが、正直にいうと、そこまでの回答は得られていない。 ◯母親が子育てをする際に、食料の確保などにおいて、他者の手伝いが必要だという合理性で生じているようにも思えるが、別にそれをしなくても繁栄している生物もいる。 ◯今の社会でも、合理性の考え方は普遍的であると思う。性的な観点で役割分化してきた社会にあると、母親に子育て、父親は外に出て経済活動を行う、ということは一つの型にはまっている。しかし、母親に新しい価値観が生じることや、経済的に行き詰まるといった状況の変化により、この型も見直す必要が出てくる。しかし、変わらないのは、父親がどちらも流動的な立場に置かれていることではないか。価値観の変化は母親が主体的であるし、経済的に行き詰まるのは、神の見えざる手により父親の存在意義がなくなるということでもある。 ◯今の社会はこれらの要素が全体的に影響し、進化の過程以上に性急な変化が求められている。父親はどうなるのか。昭和の親父とは異なる新たな父親像が絶対に必要ではないかとされている。変われない親父たちのせいで、父親不要の社会が作り上げられていくのかもしれない。

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2020/01/12

まずタイトルに誤解があって、精子提供以上の価値がないはずの父親の存在価値について書かれている本だった。

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2019/12/03

【いちぶん】 ゴリラにおいても父である集団のリーダーオスは、自動的に父親になれるわけではない。母であるメスとその子供から二重の選択を得て、初めて父親としての行動を発揮できるからである。自分で腹を痛めることのないオスは、父親となるためにある種の不確かさを払拭する約束事のような仲間と...

【いちぶん】 ゴリラにおいても父である集団のリーダーオスは、自動的に父親になれるわけではない。母であるメスとその子供から二重の選択を得て、初めて父親としての行動を発揮できるからである。自分で腹を痛めることのないオスは、父親となるためにある種の不確かさを払拭する約束事のような仲間との合意を必要とする。 (p.313)

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2019/02/13

山極寿一氏の本を読むときは、自然と、観察と推察の先に霊長類→類人猿→そして人間社会という循環がイメージされてくる。 イメージと想像を巡らしながらじっくり読んで欲しい一冊。 これを読んだあとに『そして父になる』『もう一人の息子』をDVDで鑑賞した。過去に観た映画だったが、違う映...

山極寿一氏の本を読むときは、自然と、観察と推察の先に霊長類→類人猿→そして人間社会という循環がイメージされてくる。 イメージと想像を巡らしながらじっくり読んで欲しい一冊。 これを読んだあとに『そして父になる』『もう一人の息子』をDVDで鑑賞した。過去に観た映画だったが、違う映画として感じかれた。ーー具は同じなのに出汁が変わった味噌汁を飲んだみたいだった。

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2018/02/27

うーん、ちょっと難しかったけど、最後にもう一度プロローグを読んでスッキリ。 読了後は父親の生態よりゴリラに興味津々。

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2016/01/08

単行本の文庫化だが、巻末の鷲田清一氏の解説にこんな記述がある。ゴリラは「人間になれなかった動物」ではなく、「人間よりも、ある方向に進みすぎてしまった動物」という山極寿一氏の言葉を引用している。ゴリラの家にホームステイした霊長類学者・山極氏の言葉だけに、心にグサっと突き刺さる言葉だ...

単行本の文庫化だが、巻末の鷲田清一氏の解説にこんな記述がある。ゴリラは「人間になれなかった動物」ではなく、「人間よりも、ある方向に進みすぎてしまった動物」という山極寿一氏の言葉を引用している。ゴリラの家にホームステイした霊長類学者・山極氏の言葉だけに、心にグサっと突き刺さる言葉だ。家族制も含めた人間社会の進化(と、退化?)の謎が解き明かされるような本で、現京大総長の警鐘を申年に因んで紹介してみた。チンパンジーと同じくヒト科に属するゴリラは、遺伝的にサルより人類に近いのだ。

Posted byブクログ

2015/03/13

ゴリラの優しさ、素晴らしさを強調するだけの本ではない。著者の思いの矛先はゴリラの延長線上の人間社会に向いている。許容力のない社会が可塑性のない、取り返しのつかない方向へ進んでいるのかもしれない。ゴリラの調査に長年従事してきた視点からの指摘は客観的かつ根本的なものだった。

Posted byブクログ