世界がジャパニーズマンガを描いてみた の商品レビュー
『世界がジャパニーズマンガを描いてみた (第2回サイレントマンガオーディション受賞作品)[2015]』を読了。
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第二回サイレントマンガオーディションの受賞作品と、養老孟司、ちばてつや、原哲夫のインタビューで構成された本。 サイレントマンガというのは、一言でいえばセリフのないマンガである。僕は鶴田謙二の作品をすぐに思い浮かべた。彼はサイレントマンガを意識して描いているわけではないが、セリフが...
第二回サイレントマンガオーディションの受賞作品と、養老孟司、ちばてつや、原哲夫のインタビューで構成された本。 サイレントマンガというのは、一言でいえばセリフのないマンガである。僕は鶴田謙二の作品をすぐに思い浮かべた。彼はサイレントマンガを意識して描いているわけではないが、セリフがかなり少ない。まったくないものもある。 読んでみると、絵だけで話を伝えるというのは、なかなか難しいものだとわかる。特に、登場人物の内面や、時間の経過などは難しい。グランプリ受賞作品はさすがにかなり読みやすいが、順位が下がるに従って、意識して読もうとしている自分に気づく。 一方で、マンガといえども普段どれほど言語に頼っているかということに気づかされる。最近はマンガもだんだん内容が複雑になってきて、ストーリーに厚みがあって面白と感じる反面、絵がオマケになっているようにも感じる。ほとんど文字しか読んでいないこともある。 描いているのがいずれも外国人という点から、もうひとつ気になったことがある。オーディションの評価基準は知らないが、上位の作品ほど、扱うテーマや絵のタッチなどが日本人に親しみやすいと感じた。かつて日本のトップ作品を集めてアメリカで出版したら全然売れなかった、というエピソードが紹介されているが、その正反対のことが起こっていないか。 各作品の終わりに作者へのインタビューが載っているが、小さい頃に見た日本のアニメだの、日本との接点を探りたいのかもしれないが、上から物を見ているようにも感じた。マンガとアニメは日本のお家芸みたいに言われているが、あぐらをかいていればいずれ追い抜かれる。 このオーディションが今後もあるのだとしたら、文字通り言葉を超えるような普遍性を見てみたい。
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