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召使心得 他四篇 の商品レビュー

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2016/08/12

『ガリヴァー旅行記』がとにかくおもしろかったので、読んでみた。スウィフトという人は、相当真面目で、納得いかない言動には、貴族だろうが庶民だろうが、強者だろうが弱者だろうが、おかまいなしに噛みつかずにはいられない。周りの人からしたらかなりやっかいな人物だったのだろう。晩年心を病んだ...

『ガリヴァー旅行記』がとにかくおもしろかったので、読んでみた。スウィフトという人は、相当真面目で、納得いかない言動には、貴族だろうが庶民だろうが、強者だろうが弱者だろうが、おかまいなしに噛みつかずにはいられない。周りの人からしたらかなりやっかいな人物だったのだろう。晩年心を病んだというが、そりゃそうだろうと思う。それにしても、あの手この手で、いろんな噛みつき方ができる人だなと感心する。

Posted byブクログ

2016/03/14

 理想とされることは違うこと、ときには正反対のことを描くことで、対象の実態をえぐり出す。まさに真黒な皮肉と諷刺のオンパレードです。  その姿勢は第一章の「ビカースタフ文書」から明らかで、いんちき占星術師パートリッジ氏を糾弾するこの文書は、「パートリッジ氏はうそつきである!」とは...

 理想とされることは違うこと、ときには正反対のことを描くことで、対象の実態をえぐり出す。まさに真黒な皮肉と諷刺のオンパレードです。  その姿勢は第一章の「ビカースタフ文書」から明らかで、いんちき占星術師パートリッジ氏を糾弾するこの文書は、「パートリッジ氏はうそつきである!」とは言いません。その代わりにビカースタフという人物を出して「私の予言をお目にかけようと思う」と切り出します。この二人のやり取りを通じて、読み進めるほどにそのいんちきぶりが明らかになってきます。面白いところです。  ただし本書のなかで異質なのは第二章「ドレイピア書簡」です。この書簡は通貨を改鋳する特許を得た金物商を糾弾しており、ただこの章だけが皮肉も何もない、まったく良心的な文書です。この文書に触発された世論の力は無視しがたいものになり、特許の取り消しにまで至ったといいますから、まさにペンは剣よりも強しというものですね。スウィフトはただ皮肉を言うだけの作家ではないということがもっともよくわかる章だと思います。  著者は、人々の悪意を描き出すことで、そうした悪意を封じ込めて生きている人間の姿を表現しようとしたのではないかと思います。読者を選ぶ本ではあると思います。

Posted byブクログ