ロールシャッハ・アセスメントシステム の商品レビュー
エクスナーの包括システムが改訂されたといふことで。 改めてロールシャッハの歴史を見直してみると、なんとしてでも人間を理解してやらうとするたゆみない執念を感じずにはゐられない。 曖昧なやうで曖昧でない10枚のインクの図を一体どのやうにみてそれを表現するか。テスターとの関係性、テステ...
エクスナーの包括システムが改訂されたといふことで。 改めてロールシャッハの歴史を見直してみると、なんとしてでも人間を理解してやらうとするたゆみない執念を感じずにはゐられない。 曖昧なやうで曖昧でない10枚のインクの図を一体どのやうにみてそれを表現するか。テスターとの関係性、テスティーの経験や特徴が反映されないはずがない。そも、人間が何かを為すといふそのこと自体にそのひと「らしさ」はあるのではないか。 それを数字にのせるといふことのなんと難しいことか。数字になりにくいものを数字にするのだから、当然数字がものをいふ科学の世界では妥当性といふものが問はれる。さらには人間を読み解かうとする側の判断がかなり個人の技量に依つてゐるといふ問題もある。ロールシャッハの行き詰まりはここにあった。そして長らくロールシャッハは心理学の世界から取り残される。 エクスナーはそれならばとにかくたくさんデータを集めてみればいいといふ手段をもつてロールシャッハを科学の世界に呼び込んだ。さうやつてコーディングもかなりの体系化が進み、ロールシャッハテストは科学の世界にやつてきたのだつた。 さうはいつても問題は尽きないのが科学といふもので、エクスナーの示したデータの問題、反応数のばらつきがもたらす外れ値の問題、さういつた問題をクリアすべくR-PASは生まれてきた。 コーディングが大きく異なるのはもはやロールシャッハのお約束であるが、特徴としてはなんといつても、反応数を固定して実施するといふところだらう。答へられるだけ答へるのではなく、ある程度セーブしないといけない。何をみて伝へやうか、その選択が入り込んでくる。 また、その形態水準票をつくるために世界的に膨大なデータを収集しただけでなく、コンピュータを用ゐたシステムとの連携を行うことで、常に情報を取り入れやうとする。R-PASのサイトからはそれなりの頻度でお知らせが届く。 ロールシャッハテスト自体が後退しつつあるこの国で、トレーニングを受けられる機会はどれくらいあるのか。やはり手段のひとつとしてロールシャッハテストがあつてもいいのではないか。
Posted by
- 1