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相続税増税時代の実務と対策 精選対話式 の商品レビュー

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2017/05/31

速報税理で連載されていた「相続税物語」の書籍版。資産税部門の税務署職員同士の会話などを通じて、資産税の奥深さが理解できた。 P75 「…ところで…」 内堀審理専門官は、少し笑みを浮かべながら、笹谷税理士に質問をする。 「この事件では、その建物を子供が母親と共に、居住用に供していた...

速報税理で連載されていた「相続税物語」の書籍版。資産税部門の税務署職員同士の会話などを通じて、資産税の奥深さが理解できた。 P75 「…ところで…」 内堀審理専門官は、少し笑みを浮かべながら、笹谷税理士に質問をする。 「この事件では、その建物を子供が母親と共に、居住用に供していたということなんですが…もし、他人に賃貸していたら…どうなると思いますか?」 笹谷税理士は、直ちに、所得税法56条を思い浮かべる。 「ということは、子供と母親が生計を一であるという前提であれば、子供が支払った地代は、子供の不動産所得の必要経費にならないということですね…」 「さすが笹谷先生ですね…個人単位主義の例外で、家族単位主義である所得税法56条を直ぐに、思いつくなんて…」 内堀審理専門官は、笑っている。 「そうすると…所得税法では、子供の支払った地代は、ないものとすると規定しているのですが、これは、どうですか?」 「…どうですって?」 笹谷税理士が聞き返す。 「いや、所得税法56条が適用されて、支払った地代はないものとされた場合に、使用貸借になるか否かなんですが」 笹谷税理士は、内堀審理専門官の質問の内容を理解したのであるが、答が直ぐには出てこない。 「…しかし、それは、所得税法のみなし規定ですからねえ…実際に地代を支払っていれば...それは…民法上賃貸借でしょう」 暫くして、笹谷税理上が答える。 「そうですね…所得税における特殊な所得計算とは、関係ないということですね」 内堀審理専門官は、真面目な顔で付け加える。 「しかし、この所得税法56条も、地代を支払った側で、必要経費にならないので、受け取った側でも課税しないということでしょ。これって、受け取った側は、課税されずに金員を手にすることができるのだから、租税回避になるような気がしますが…」 笹谷税理士が苦笑しながら云うと、内堀審理専門官は、大きく頷いた。 P218 ■Facebookのニュース■ Facebookの共同創設者Eduardo Saverin氏は、米国籍の放棄を決断したことで2人の米議会上院議員の怒りを買った。このタイミングで米国籍を放棄することによりSaverin氏は、Facebookの新規株式公開(IPO)に伴う超過利潤課税を免れることが可能になる。 Charles Schumer (民主党、ニューヨーク州選出) とBob Casey (民主党、ペンシルベニア州選出)の両上院議員は米国時間5月17日、午前8時(太平洋時間)に記者会見を開いて、人々が課税回避を目的として米国籍を放棄することを防ぐための計画を明らかにすると発表した。さらに、 この計画では「Saverin氏のような個人が米国に再入国する」ことを禁じる新たな法律についても説明するという。 Severin氏は先ごろ、米国籍を放棄したことが明らかになり批判を浴びた。ブラジル出身の同氏は米国籍を10年間保持していた。すでにFacebookには勤務しておらず、現在はキャピタルゲイン課税のないシンガポールに居を構えている。 Saverin氏が米国籍を放棄したのは、Facebookが5月18日にIPOを実施することで同氏が保有することになるとみられる、30億ドル以上のFacebook株式に課されるキャピタルゲイン税または遺産税を免れるためだと批判する向きもある。ただしSaverin氏自身はこの決断について、税金とは何の関係もなく、すべては自分が「世界市民」であるという考え方に基づくものだと主張している(CNET News/ 2012/05/18 11:39)。 P239 『所得税法の考え方・読み方』 (大島隆夫・西野襄一共著/1986 税務経理協会) 同書の271-274頁において、次のような興味深い対談がなされている。 大島 旧所得税基本通達も競馬の払戻金は、常連が受けるものでもその所得は性質上一時的なものだから一時所得だといっており、営利継続以外の「一時の所得」というのはやはり性質的に 考えているようですね。 (略) 西野 反面さきのカッコ書の中の前半の「その収入を生じた行為をするため…直接要した金額に限る」という箇所は、払戻しのあった馬券の買入代金だけを控除するという趣旨にとれますね。とすると相当控除を絞ることになりそうですが...。 大島 旧通達では、個別対応を原則としながらも競馬の常連のような場合、年中の総払戻金と馬券の総買入額との総体対応を認めていたわけですが、おっしゃるようにこの考え方はカッコ書の前半にはマッチしないでしょうね。実務上あんまり適用の場面はないかもしれませんが、ひもつき個別対応というのも考え方としてはきつすぎるかもしれませんね。

Posted byブクログ