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遙かなるセントラルパーク(下) の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2021/02/28

文句なしに面白かった! 「エンターテインメントここに極まれり」といった小説でした。 巨額の懸賞金が懸けられたロサンゼルスからニューヨークまでの、5000キロに及ぶウルトラマラソン「トランスアメリカ」を描いた小説の下巻。 「トランスアメリカ」を襲う様々なトラブル。砂漠地帯の酷暑...

文句なしに面白かった! 「エンターテインメントここに極まれり」といった小説でした。 巨額の懸賞金が懸けられたロサンゼルスからニューヨークまでの、5000キロに及ぶウルトラマラソン「トランスアメリカ」を描いた小説の下巻。 「トランスアメリカ」を襲う様々なトラブル。砂漠地帯の酷暑、豪雨、ロッキー山脈の雪……、身体は限界に近づく中で、ランナーたちはそれでも走り続ける。手に入らなかった栄光への渇望、人生の一発逆転、家族への思い、貧困に喘ぐ村のため、没落した家のため…… そんなそれぞれのドラマも、いつの間にか彼方へ消えていく。最後に残るのは自分との闘い、ライバルであり、そして共に走り続ける仲間たちとの絆。その思いの熱さが心を震わせる。 そしてさらにトランスアメリカは、自然以上に厄介な妨害を受けます。自分たちが開催するオリンピックの影響力の低下を恐れ、オリンピック委員会が裏から手を回し、トランスアメリカは何度も中止の危機に陥ります。それでもトランスアメリカの主催者であるフラナガンは諦めない。 マラソンで訪れる各地でユニークな賭けに、一蓮托生したランナーたちと挑み、時に自らも行動を起こし、ランナーたちを引っ張っていく。それはいつの間にか儲けや利益ではなく、ランナーたちの懸命な走りに感化され、彼自身もトランスアメリカに誇りを持つようになっていく。ランナーも主催者も関係なく、全員がゴールに向かって、アメリカを駆け抜けていく。 彼らが困難に陥るたびに引き込まれ、そしてトラブルを乗り越えていくたびにカタルシスが生まれる。そのたびに物語に引き込まれていき、そして物語は決して自分を離さない。あたかも読んでいる自分も、トランスアメリカの伴走者になったかのよう。 最後の最後に訪れるトランスマラソン最大の危機にも、ランナーたちは動じない。そして最終日最後のマラソンに挑む。ただの感動では収まらない。自分も作中のランナーたちと走ってきたからこそ、感動を超える不思議な満足感とともにレースは閉じられる。 著者のトム・マグナブはオリンピックでイギリスの陸上コーチを務め、アカデミー賞受賞作『炎のランナー』では技術指導顧問として製作に携わったそう。それだけあってランナーたちの描写であったり、長距離を走りきるための工夫、また道中でのランナーたちが挑む賭けレースの描写も、非常に真に迫っている。 上巻での砂漠での激走で、シャツが汗で張り付く描写や、体温が危険な温度まで上がる描写なども素晴らしかったけど、下巻のランナーたちの内面の描き方の描写も、著者のこうした経歴が活かされているからこそ、このトランスマラソンに臨場感が生まれているのだと思います。 人間の強靭的な強さと誇りが生む、かつてないドラマ! それが『遥かなるセントラルパーク』という小説なのです。

Posted byブクログ

2020/12/21

世界60ヵ国から2000人が参加しロサンゼルスからニューヨーク5000kmを3カ月かけて走るウルトラマラソン。賞金は合計36万ドル。様々な人種、様々な地位、職業、境遇の人たちがそれぞれの目的のために挑む。この3ヵ月の間に起こるトラブルの数々と人間模様。金目当てで走り出した人たちが...

世界60ヵ国から2000人が参加しロサンゼルスからニューヨーク5000kmを3カ月かけて走るウルトラマラソン。賞金は合計36万ドル。様々な人種、様々な地位、職業、境遇の人たちがそれぞれの目的のために挑む。この3ヵ月の間に起こるトラブルの数々と人間模様。金目当てで走り出した人たちがいつのまにか堅い絆で結ばれていく。一人ひとりが「いい奴」に変化していく。そして感動のラストへ。もう涙で前が見えない。

Posted byブクログ

2016/03/19

すっごくおもしろかった!今まで一番おもしろかったマラソン小説は三浦しをんの「風が強く吹いている」だったけどこの小説はそれを超えました!これ映画化してくれないかなーすごく映像が思い浮かぶ小説だった。 朝の通勤電車の中で読了したんだけど最後泣けてきちゃって大変だったわ(^o^;

Posted byブクログ

2015/09/13

時代は1930年のアメリカ。興行師チャールズ・フラナガンは、とんでもないレースを企画し実行に移します。3ヶ月をかけてロスアンゼルスからニューヨークまでの3,000マイルを走るアメリカ横断ウルトラマラソン(トランス・アメリカ)です。 上位入賞者には高額の賞金が出ます。 それの獲得を...

時代は1930年のアメリカ。興行師チャールズ・フラナガンは、とんでもないレースを企画し実行に移します。3ヶ月をかけてロスアンゼルスからニューヨークまでの3,000マイルを走るアメリカ横断ウルトラマラソン(トランス・アメリカ)です。 上位入賞者には高額の賞金が出ます。 それの獲得を目指してレースに参加するのは、各国から集まったエリート・ランナーから食い扶持を失った人まで多種多様です。果たして彼らは最終ゴールのニューヨークまで走りきる事が出来るのか?そもそもこのレース自体、無事に実施出来るのか? 興行側、ランナー側ともに、色んなトラブルが発生し、それらを切り抜けていけるかが、読んでいて面白いです。レース中に更にいろいろな勝負をやっちゃうなんて、トライアスロンやトレイルランなんかより凄いです。 最初は見世物的ないかがわしい胡散臭いレースが、段々と人々を感動させるレースになっていきます。純粋に面白かったです。では。

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2015/07/07

走ることに対する白鯨的考察に満ちたストイックで内省的な小説かと思っていたので、淡々と娯楽的に進む内容に拍子抜けた。大会の主催者フラナガンの拝金主義や参加者のアメリカンドリームみたいなものも、作者がイギリスだからかアメリカ小説のような振り切れた感じもなかった。作者はオリンピックのコ...

走ることに対する白鯨的考察に満ちたストイックで内省的な小説かと思っていたので、淡々と娯楽的に進む内容に拍子抜けた。大会の主催者フラナガンの拝金主義や参加者のアメリカンドリームみたいなものも、作者がイギリスだからかアメリカ小説のような振り切れた感じもなかった。作者はオリンピックのコーチもやってる人で、こんなバリバリ体育会系の人が小説書こうと思ったのは面白い。

Posted byブクログ

2015/05/06

ロード・ノベルもいよいよゴール。 誰が勝者となるかという興味もさること、どうやって2000人のランナーを5000km運ぶかがキモの小説。 マラソンの歴史、プロとアマの確執、当時の興行についてなども面白く読める。

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2015/02/22

1928年に実際に開催されたアメリカ大陸横断マラソンに想を得て描かれるロスーニューヨーク間5000キロ、3カ月のウルトラマラソン。現代の進んだシューズやウェアで武装して50歳からランニングを始めた自分にとって、1930年代を舞台にしたランニングは時代遅れの物語ではと思いつつ読み進...

1928年に実際に開催されたアメリカ大陸横断マラソンに想を得て描かれるロスーニューヨーク間5000キロ、3カ月のウルトラマラソン。現代の進んだシューズやウェアで武装して50歳からランニングを始めた自分にとって、1930年代を舞台にしたランニングは時代遅れの物語ではと思いつつ読み進んでいくと…どんどん引き込まれていきました。それは、ランニングが最もシンプルなスポーツだから。

Posted byブクログ

2015/01/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ロスアンジェルスからニューヨークまでを走り通した人々の話。 単純なだけに熱くて面白い。 レースにおける駆け引きよりもレースを続行するための駆け引き、ランナーたちの関わりあいがいい。非常にいい。 よくぞこれを復刊してくれました。ありがとう。

Posted byブクログ

2014/12/27

そして物語は下巻に入る。 しかし、ここで語られるのは寧ろマラソンの話ではなく、レースの継続を揺るがす資金難やそれでもギャンブル癖が抜けないフラナガンが引き起こす様々な困難と、それを乗り越えニューヨークを目指すランナーたちの姿。 街頭の妨害、市や町の約束違反、ケイタリング会社の引き...

そして物語は下巻に入る。 しかし、ここで語られるのは寧ろマラソンの話ではなく、レースの継続を揺るがす資金難やそれでもギャンブル癖が抜けないフラナガンが引き起こす様々な困難と、それを乗り越えニューヨークを目指すランナーたちの姿。 街頭の妨害、市や町の約束違反、ケイタリング会社の引き揚げ、馬とのレース、リングの死闘、ギャングの暴力、黒幕との対面…、殆どのランナーが、ニューヨークで賞金にありつける見込みがない中、走り続けるレースは、途中からは彼らがただアメリカを走って横断するためだけのものとなる。 次から次と起こる困難に、タレントを揃え胆力と体力と機知で立ち向かうお話は、もうマラソンそっちのけのエンターテインメント。 いやいや、マラソンの描写とて、暑さと渇きに耐えながら最後のセントラルパークを目指す死闘の様は、アフリカ勢がぶっちぎるそこらの平凡な実際のレースよりはるかに手に汗握る。 読み進める内に全ての登場人物たちが、自分のよく知っている人になり、作中、新聞記者が記事にした通り、『土曜日に最後のランナーがゴールインしたときは、みんな、家族がばらばらになるときのような思いを味わう』 最後のドクのセリフも洒落ているが、追って記された内容に時代を思わす余韻が残る。

Posted byブクログ