中年の新たなる物語 の商品レビュー

デイヴィッド・ベインブリッジ(著者),成田あゆみ(訳者)

2022/06/01

38歳で「中年」を鼻で笑い、自分ではなく親のことだと思い、まだ若いと思っていた。40歳でもまだ若く、中年を無関係だと思っていた。が、42歳で「急に時間が轟音を立てて流れ出し」「最新のヒット曲はどうでもよくなり」「気づけば腹は出ているし」…

これは、著者のことだけど、僕のことかと思った。

中年という現象は、他の動物にはない。なぜなら、それは「情報」によって引き起こされるから。自然淘汰説だけでみれば、生殖能力もなくなった中年の存在価値はない、けれど中年はその先に進化したもの。

「中年は倹約力が高い」「認知力においてスピードは重要な要素ではない」セックスもほとんどは脳がカバーしているから、中年だって大丈夫。

美しくなくなった中年の肉体についての教養(言い訳)として身に付けるもよし、だが人類の進化の話、生物の能力の話、物語としてのワクワク感、どれをとっても大変素敵。中年必読。

中年の先行きは明るい。最近、耄碌してきてヘコんでいたけど、一気に払拭した、感じ。