1,800円以上の注文で送料無料

風神雷神はなぜ笑っているのか の商品レビュー

3.5

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/11/29

2023.11.29 対話型鑑賞の実践的な教科書と言えるんだと思います。参考になりました。ちょっと実践したくなりました。

Posted byブクログ

2022/09/28

「対話による美術鑑賞」の価値づけをVTSとの対比で論じるのは別にいいとしても(このあたりは門外漢から見ても美術教育業界での主導権争いになっていそう),どちらもエビデンスベースになっていないために,悪く言うと口喧嘩にとどまっている実態があるように感じる。何らかの能力発展についてどの...

「対話による美術鑑賞」の価値づけをVTSとの対比で論じるのは別にいいとしても(このあたりは門外漢から見ても美術教育業界での主導権争いになっていそう),どちらもエビデンスベースになっていないために,悪く言うと口喧嘩にとどまっている実態があるように感じる。何らかの能力発展についてどのくらいの効果があるのかを比較していかないといけないのではないか? 対話による美術鑑賞にしろ,VTSにしろ,魅力的な方法であるというだけでなく,著者がVTSに対して批判している「実質的側面」というところに着手する必要があるのではないかと思います。 *****  意味が作品に内包されているとすれば,それを読み解く唯一の正しい鑑賞があることになる。しかし,意味を作品と鑑賞者の相互作用によって生成するものととらえると,個々の鑑賞者の見方やとらえ方によって,鑑賞はさまざまな可能性をもってくる。作品の意味は多様に生成されるだろう。このような考え方の受容が底流にあってこそ,思索的に見ることや意味をつくり出す美術鑑賞は成立するのだ。(p.34)  対話による美術鑑賞では,生徒一人ひとりが主体的な学習者として,どのように作品に向き合い何を感じ取ったか,何を考えたか,鑑賞活動を通じてどのような力を伸ばしたのか,ということが問われる。(p.70)  美術館教育のかつての関心は「教育」(Education) にあり,教育部門のスタッフの充実やどのような教育プログラムを提供するかにあったが,現在では,「学習」(learning),すなわち来館者の経験や学習をどのように生み出すかに関心が移ってきている。アイリーンは,英国の美術館では教育部長は学習部長という肩書になり,「教育方針」(education policy) という用語は今では「学習方針」(learning policy) というようになったという。(p.121)  しかしVTSの一番の課題は実質的側面だ。つまり,観察力,批判的思考力,コミュニケーション能力を育成するとしながら,実態を見ると本当にそれがあの方法で達成されているのかという実質的な側面である。また美術作品を鑑賞するという行為が手段に終わり,結果として作品について重大な過ちを犯してしまうことになること。しかもそれを放置していること。(p.130)  導入段階では,ひとつの意見を掘り下げたり,ひとつの見方に絞り込んだりしてはいけない。たとえ核心に迫るような良い意見が対話の最初の段階で出てきたとしても,その意見に飛びついてはいけない。なぜだろうか?  作品のどこに惹かれるかは人それぞれである。色に惹かれる人,描かれたものや形に惹かれる人。惹かれる色もさまざまだし,惹かれる形もさまざまだ。作品からメッセージを感じ取る人もいれば,作品の表面的な観察にとどまる人もいる。  対話の始まりでは,生徒はこのようにさまざまな立場から作品を見ている。そのような段階で鋭い意見を掘り下げたとしても,その話題についていける生徒は少ない。ついていけない生徒は対話から置き去りにされてしまうことになるからだ。(p.197)

Posted byブクログ