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もういちど村上春樹にご用心 の商品レビュー

4.3

23件のお客様レビュー

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    8

  2. 4つ

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2023/07/17

いつか来るかわからない意味がない悪意に備える準備をする。それは善を貯めること。やるべきことをコツコツとやること。

Posted byブクログ

2023/06/25

隠されたテーマ「父」の存在が、各作品でどのような意味を持つのか、なぜこれほどまでに社会現象になっているのか、考えるきっかけとなった。

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2019/12/08

村上春樹は好きな作家だし、内田樹を読む前から『世界の終わり・・・』とか、『ダンスダンスダンス』など主だった本は読んでいたはずだ。だけど、今の俺の村上作品についての読み方は、けっこう内田樹に引っ張られているだろうな、と感じた。それは俺が村上春樹に漠然と感じていた面白さを、内田樹によ...

村上春樹は好きな作家だし、内田樹を読む前から『世界の終わり・・・』とか、『ダンスダンスダンス』など主だった本は読んでいたはずだ。だけど、今の俺の村上作品についての読み方は、けっこう内田樹に引っ張られているだろうな、と感じた。それは俺が村上春樹に漠然と感じていた面白さを、内田樹によって言葉にしてもらった、ということなのかな、と思う。もちろん、それがすべてではないにしてもさ。この本自体、単行本『村上春樹にご用心』のときから何度か読んでいる本だけど、やっぱり面白かった。

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2019/10/20

父の不在、邪悪なるもの。村上春樹のエッセンスが腹落ち感のある形で言語化されていて、作家に対してのみならず、文学論全体に対する理解が深まった。

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2019/10/01

図書館で。 意外と読んでないんだなぁ、村上春樹。結構読んでるつもりだったんだけど初期の作品とか全然だな。 村上春樹の書く話が神話と同じ構造というのは面白かった。あと、作家の所に「なんで貴方は私個人の事をこんなにご存知なんですか?」という感想がよく届くというのも。似たような事を体...

図書館で。 意外と読んでないんだなぁ、村上春樹。結構読んでるつもりだったんだけど初期の作品とか全然だな。 村上春樹の書く話が神話と同じ構造というのは面白かった。あと、作家の所に「なんで貴方は私個人の事をこんなにご存知なんですか?」という感想がよく届くというのも。似たような事を体験したり、考えたりする人が多いからベストセラーになるんだろうな。面白い。 とは言えなんか読み通せず終了。そのうち又トライしたい。

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2019/08/20

本好きのアルアルが熱く書かれていて、大満足! へぇそうなんだ!今度読んでみよ〜 樹さんだってなかなかだと思うよ!‼︎ なんて、つぶやきながら、読めました あと、内田樹さん、「我父」について書いたらどうなんだろう・・とおもったわ 書いてるのかもしれないけど、知らないので。 勿論、吾...

本好きのアルアルが熱く書かれていて、大満足! へぇそうなんだ!今度読んでみよ〜 樹さんだってなかなかだと思うよ!‼︎ なんて、つぶやきながら、読めました あと、内田樹さん、「我父」について書いたらどうなんだろう・・とおもったわ 書いてるのかもしれないけど、知らないので。 勿論、吾が安心のために、そんなことを書いた文章を読みたい訳ではないので、要らないな。もち、ここの我は樹さんのことです。 繰り返し、落ち着きどころ、作家はカウンセリングしてるようなものやな!!

Posted byブクログ

2019/04/11

フランス現代思想等を専門とする著者は、「熱狂的なファン」との視点で、村上春樹について書き続けている。 離婚して一番辛い時に読めたのが、村上春樹だったと著者は語る。 私自身も心の病で一番辛い時に読めたのが、村上春樹だった。 毎年のようにノーベル文学賞の候補にあげられる世界の村...

フランス現代思想等を専門とする著者は、「熱狂的なファン」との視点で、村上春樹について書き続けている。 離婚して一番辛い時に読めたのが、村上春樹だったと著者は語る。 私自身も心の病で一番辛い時に読めたのが、村上春樹だった。 毎年のようにノーベル文学賞の候補にあげられる世界の村上春樹。 なぜ世界中で読まれるのか。 言語を超えて愛されるのか。 それは、見えないものを小説で形にするから。 読者ひとりひとりにとって、「私だけに向けられた小説」を描き続けるからだ。 普通は聞こえない「倍音」の様な表現で描かれるからだ、と。 一部の批評家には、それがわからない。 「構造しかない」との批判には、「構造がしっかりしているから共感されるのだ」と断言する著者。 批判されればされるほど、その素晴らしさが証明される。 普通に働く人への深い眼差し。 掃除をしても部屋は毎日汚れていく。 ありあわせのもので作っていく日々の料理。 こうした「歩哨」のような、感謝もされず対価も払われない評価されない仕事への敬意。 村上作品に登場する日常の何気ない書き込みこそ、大きな邪悪なものに立ち向かっていく力になるのだと。 「ネガティブなことを言ったり書いたりしているのは、簡単だし一見頭がよさそうに見える。実際、今のマスメディアでもてはやされているのは、それに適した頭のよさだったりする傾向があるけれど、僕はやっぱり、そろそろ新しい価値観を作るべき時期だと思うんです。それも、偉そうなものじゃなく、ありきたりのもので作っていく時期が。お総菜のおすすめじゃないけれど、冷蔵庫をのぞいてそこにあった材料で、何かおいしいものを作ってしまう。とにかく冷蔵庫にあるものでなんとかする。これからはそういう時代だと思うし、僕もそういうことをやっていきたいという気がしているんです」(『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』P70) 「現実的でかつ奇想天外な小説を書く人はまれである。その中でも村上春樹の才能は突出しているといって良いと思う」(『旧版のあとがき』より) 今日も現実と闘う人のために、村上春樹の作品はある。

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2019/02/02

『1Q84』熱が冷めやらぬうちに。それにしても、全作品に対する徹底的肯定論が清々しい。公に晒されるいわゆる”書評”の場合、けなすなりの然るべき論拠と覚悟が必要だけど、そしてそういうものも必要なんだとは思うけど、やっぱりポジティブな意見の方が、読んでいて気持ちイイですわな。しかも、...

『1Q84』熱が冷めやらぬうちに。それにしても、全作品に対する徹底的肯定論が清々しい。公に晒されるいわゆる”書評”の場合、けなすなりの然るべき論拠と覚悟が必要だけど、そしてそういうものも必要なんだとは思うけど、やっぱりポジティブな意見の方が、読んでいて気持ちイイですわな。しかも、かの内田樹の名調子でそれが語られると、尚のことうっとりしてしまう。春樹の、短編はさておき、長編に関してはどれも好きなんだけど、そんな持論を肯定してくれているようにも思えて、読後感もいつも以上にスッキリ。今回も、想像以上の素敵読書体験を有難うございました。

Posted byブクログ

2017/07/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

村上作品の特徴 ・冷蔵庫のあり合わせのもので料理をつくる、という場面の多さに注目し、与えられた条件で最高のパフォーマンスをする、手持ちの資源でうまくやりくりして行こう、という世界観を提示。 ・細部の描写も本筋の対話もほとんど同格 ・コメディ的な要素は自制している ・対立と動きがない。人間は生きていない。 ←日本社会の欠落でもある ・死者が生者の生き方を支配することについてだけを書いてきた。過剰なまでの節度が純度を高めている。 ・倍音的な受容のされ方。この天からの声を聞き取れるのは私だけという確信が、至上の喜び。 ・共同体はどのようにして立ち上げられ、どのようにして崩壊するか、というすべての人間にとって根源的な主題を、ほとんどそれだけを執拗に書き続けている。 ・この世には意味もなく邪悪なものが存在する、ということを執拗に語っている。 ・戦争についての沈黙を遺贈された息子 小説とは ・今一瞬神の視点から世界を見たという全能経験を原型にして構築されたものかもしれない ・このような全能感をもたらす装置は小説以外まだ見つからない 物語とは… ・人類学的な機能は宗教や哲学と同じで、宇宙にひとつの構造を与えるという極めてプリミティブな行為。 ・私たちの記憶を巧みに改変してしまう。物語に出て来るのと同じ体験を自分もしたことがあるという偽りの記憶を作り出す。それだけがトラウマ的記憶から我々を解き放つ。 司馬遼太郎との共通性 ・日本社会の深層に伏流している邪悪で不健康なマグマのようなもの。それを、集団が成立する程度には熱狂的であり、暴力的・排他的に機能することを自制できる適度には謙抑的である許容範囲にコントロールする技術的知について考えている。 ・近代日本を作り上げる過程で非業の死を遂げた人々の鎮魂という作業を、ノモンハン事件を描くことによって継承した。 ・破局的な場面で、それでも人間的希望を語る節度の感覚。 批評とは ・謎を軸としたプレゼンテーション。ある書物を謎を蔵したテクストであるとみなすような読み方。 ・ありとあらゆるところに文学的感興の手がかりを見出すことのできる読み手である必要。 ・自分よりも明らかにスケールの大きい人を相手にする場合、自分を客観的に保とうと思うと結局何もできない。土下座して両手をついて、秘密を教えて下さい、とにじり寄っていくしかない。 「父」の不在 もしかしたら世界には秩序がないんじゃないか?そのなかでどうやって何を支えに生きていったらいいのか?これで行けとだれも示してくれない中で、あなたはなお意味のある生を送れるだろうか?

Posted byブクログ

2016/11/22

内田樹17冊目 村上文学に通底するテーマは、父の不在と邪悪なものの存在であると内田さんは解説している。父=秩序をつくる者が小説には存在せず、秩序や目指すべき場所がわからぬまま、少年である僕は自分の力で歩き続ける。少年があるく先には、意味もなく邪悪なものが存在する。父無き世界で、...

内田樹17冊目 村上文学に通底するテーマは、父の不在と邪悪なものの存在であると内田さんは解説している。父=秩序をつくる者が小説には存在せず、秩序や目指すべき場所がわからぬまま、少年である僕は自分の力で歩き続ける。少年があるく先には、意味もなく邪悪なものが存在する。父無き世界で、邪悪なものの存在を認知しながら、歩き続けなければならない。それが村上文学の基本テーマだという。主人公は、同時に死者を強く思う。生きているものへの態度はローカルだが、死んだものに対する態度は普遍的であり、その態度を丁寧に書くことが出来る村上春樹は、世界でもリーダブルな作家になることができたと言う。ノルウェイの森の直子や、海辺のカフカの佐伯さんは、結果的に、死者として主人公の中に居場所を持ち続ける。ふたりとも、自分を忘れないで欲しいと言いながら、死に、主人公は彼女たちを忘れず、いきる。死者との関係性には確かに普遍性を見出せる。

Posted byブクログ