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城壁なき都市文明 日本の世紀が始まる の商品レビュー

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2016/01/15

著者の主張は、「はじめに」に書いている。 「世界が都市化するにつれて、日本独自の発展を遂げた定形もなく、境界もない都市へと人間は集まっていく。それがエネルギー効率も良く、平和で身分や階級の対立もない生き方を実現するための唯一の希望だ」 ということの裏付けを第1章から第5章にまとめ...

著者の主張は、「はじめに」に書いている。 「世界が都市化するにつれて、日本独自の発展を遂げた定形もなく、境界もない都市へと人間は集まっていく。それがエネルギー効率も良く、平和で身分や階級の対立もない生き方を実現するための唯一の希望だ」 ということの裏付けを第1章から第5章にまとめている。 第1章 世界経済覇権は無境界都市が継承する  内容としては、城壁がなかったベネティア、アムステルダム、ロンドンのことに触れている。 第2章 産業革命の起源はロンドンにあり 第3章「ウォール街」以外には壁を築かなかったアメリカ都市の盛衰  内容としては  ・都市部全体が、クルマを持てない貧困層のゲットー   と化す  ・大都市荒廃の元凶は、都市部から逃げ出した金持ち   だ  ・アメリカでさえ、クルマを持てない世帯が増えて   いる    など 第4章 中国の城塞都市はなぜ発展できなかったのか・  内容としては  ・不潔で疫病の蔓延するヨーロッパ都市とは比較に   ならない中国都城の優雅な生活  ・物理的な城壁は撤去されたが、経済・社会制度の   壁が残っている   など 第5章 不定形・無境界都市を育てた日本  内容としては  ・長い縄文時代が、平和な国日本の基盤にある  ・日本人は、そのころから漂流の美学を体得していた  ・江戸は劇場街もあれば零細商人のビジネスチャンス   も多い町  ・できちゃった都市ばかりで構成されたできちゃった   国家、日本  ・日本大都市一般が住みやすい  ・戦争とインフレの20世紀から平和とデフレの21   世紀への転換こそ日本のチャンス   など  一橋大学大学院経済研究科を終了した著者が、面白いことを書いていました。以下抜粋・紹介  イギリスに生まれた近代的な社会科学としての経済学も、内職で貴族の家庭教師をしていた地味な大学教師アダム・スミスや、自分の才覚ひとつで富を築いた株式仲買人のデビット・リカードが担っていた頃までは、まっとうだった。  だが、その後のイギリスの経済学はどんどん変質していった。  妙に押し付けがましい人道主義的「思想」を経済学にまぎれこませようとしたジョン・スチュアート・ミルは、東インド会社の社員として長年第一線で植民地インドの経営に従事していた。  食糧増産は人口増加に追い付けないという悪名高い『人口論』の著者ロバート・マルサスは、インド統治の専門家を育てる大学の教官だった。  そして、東インド会社からインド引き継いだ英国政府インド省で官僚として出世したジョン・メイナード・ケインズが「賢人王が大衆を教え導くことで、市場での自由競争より優れた資源配分が達成できる」という理論を持ち出す。 そもそも宗主国と植民地のあいだには、対等な個人同士の市場における売買など存在せず、宗主国にとってはいかに効率よく植民地を支配し、収奪するかが肝心だ。 だから、市場競争がもっとも効率的で公正な資源配分をもたらすという経済学の根本とは正反対の結論に達するのは当然だった。 とこうなっていますが、前半部分は面白かったのですが、最後の部分だけは、私としては少々疑問符がつきました(笑)。

Posted byブクログ

2015/02/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2015/02/19:読了 『お江戸日本は世界最高のワンダーランド』の都市構造のうち、城壁がないことを、世界の都市に広げ、過去からさかののって、このようなメガロポリスは日本以外にはあまりなく、だから日本の世紀とつなげている。

Posted byブクログ