天災から日本史を読みなおす の商品レビュー
2013〜4年の雑誌連載を書籍化している。まだ東日本大震災の記憶が生々しかった頃。やはり、こうした記憶は放っておくと風化するのが当たり前で、そこに歴史を振り返る意義も出てくるのだろう 語り口はさすがで、雑誌連載がベースゆえ少しだけ散らかった感じはあるが、個人的な思い入れも伝わっ...
2013〜4年の雑誌連載を書籍化している。まだ東日本大震災の記憶が生々しかった頃。やはり、こうした記憶は放っておくと風化するのが当たり前で、そこに歴史を振り返る意義も出てくるのだろう 語り口はさすがで、雑誌連載がベースゆえ少しだけ散らかった感じはあるが、個人的な思い入れも伝わって読ませる
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地震に津波に台風に、、古来自然災害で苦悩してきた日本人の、当時の記録を通して、防災のあり方を考える本書。実際の日記などを読み解いていて、リアリティがある。娘を犠牲にした母の決断は読むのが辛すぎて。。一度起きた悲しみはちゃんと未来に活かすべきだなと思う。 全国各地の図書館や古書店...
地震に津波に台風に、、古来自然災害で苦悩してきた日本人の、当時の記録を通して、防災のあり方を考える本書。実際の日記などを読み解いていて、リアリティがある。娘を犠牲にした母の決断は読むのが辛すぎて。。一度起きた悲しみはちゃんと未来に活かすべきだなと思う。 全国各地の図書館や古書店で地道に資料集めをする著者。そういう地道な活動で、歴史の輪郭をはっきりとさせていくんだな。
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冒頭、秀吉と二度の天災の章がおもしろかった。こういう発見を探すのが歴史学者なのだと今後ももっと伝え続けてほしい。未来の素敵な学者ががもっと増えそう。 最後の東北地震の章は、編集者の意図なのか著者が本心から入れたかった話なのかわからないけれど、ちょっと蛇足感があった気がする。おわり...
冒頭、秀吉と二度の天災の章がおもしろかった。こういう発見を探すのが歴史学者なのだと今後ももっと伝え続けてほしい。未来の素敵な学者ががもっと増えそう。 最後の東北地震の章は、編集者の意図なのか著者が本心から入れたかった話なのかわからないけれど、ちょっと蛇足感があった気がする。おわりにでサラリと話すのみでもよかったのでは的な、微妙な違和感が。
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日本史に関わってくる天災についての本。当たり前の話だが、日本が地震大国と言うのは大昔からなのだと改めて実感する。その時々の経験や知恵が生かされ、また別の分野にも影響を与え次の代へと繋いでゆく。それらが後の天災への対応に役立った例も多々ある。つくづく歴史というものは馬鹿にできない。...
日本史に関わってくる天災についての本。当たり前の話だが、日本が地震大国と言うのは大昔からなのだと改めて実感する。その時々の経験や知恵が生かされ、また別の分野にも影響を与え次の代へと繋いでゆく。それらが後の天災への対応に役立った例も多々ある。つくづく歴史というものは馬鹿にできない。 それを残すために必要なものは何か、地縁なのである。今回の金沢地震で強制移住の話が議論されてきた時期があったが、そんな事をしてしまえは過去からの繋がりをみすみす絶ってしまい取り返しのつかないことになる可能性もある。 歴史とは何か、歴史について考えるとはどういうことか、机上で唸るだけでなくフィールドワークも大事であると実感した本。
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過去の文献から、地震、噴火、台風の日本各地での状況を特に過去マックスの被害を受けた可能性のある場所、状況を考え今後の防災への呼びかけを訴える。 地震では南海トラフは150年程度のスパンで起こっており、あと20年の猶予はあるかと著者は考えている。また、富士山噴火は、大地震と前後する...
過去の文献から、地震、噴火、台風の日本各地での状況を特に過去マックスの被害を受けた可能性のある場所、状況を考え今後の防災への呼びかけを訴える。 地震では南海トラフは150年程度のスパンで起こっており、あと20年の猶予はあるかと著者は考えている。また、富士山噴火は、大地震と前後することがほとんどであり、火山灰の影響は数週間は出て、目がやられる。津波は、想定していたものより過去の最大の高さは大きい。台風や貯水池の崩壊による水害は各所忘れたことろには弱い場所に家が建っており被害を大きくしがちである。
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防災について、歴史に学び、先人の教えを遺し伝えることは不可欠。そのために歴史書を発掘し明らかにしていくのも重要。当地で伝えていくメッセージにもなりそうだ。 例えば富士山が噴火するときには5年前から軽い地震が増え、二か月前から富士山中だけの火山性地震が毎日続いたと、宝永噴火のとき...
防災について、歴史に学び、先人の教えを遺し伝えることは不可欠。そのために歴史書を発掘し明らかにしていくのも重要。当地で伝えていくメッセージにもなりそうだ。 例えば富士山が噴火するときには5年前から軽い地震が増え、二か月前から富士山中だけの火山性地震が毎日続いたと、宝永噴火のときのことが記されていたり(p.44)、噴火後振動は4日間、火山灰は12日間続いたという記録も貴重(p.56)。和歌山で、津波の前に、井戸の水が枯れたという前兆現象を濱口が指摘していたというのも興味深いし(p.172)、三陸で東日本大震災で神社が流されなった、鳥居の位置まで水がきたという話も(時々きくような話だが)メッセージとして重要である(p.186)。 他にも、静岡の土砂災害の履歴を古文書から調べたり伊賀忍者の子孫の方の厚意で文書からため池決壊の記事を見つけたりと、研究プロセス自体も面白い。 また、地震が豊臣政権崩落のきっかけになったともいうが(p.31-32)、現代にあっても民主党政権のときに東日本大震災が起こり、そしてその舵取りを誤った菅首相ら民主党の衰亡を招いたのだとも振り返りたくなる。 *** あとがきに、大学のときの歴史学の授業で水本邦彦先生が「歴史学というのは、なにも政治史だけのものではない。動物の歴史だってあるし、トイレの歴史だってある。自然の歴史もある。地震や噴火などの歴史は現代にもつながる生きた歴史である」というようなことを話したという。歴史は生きているし、歴史に学ぶことは、時間スケールの災害との対峙にあってこそ本当に本質的だと思った。
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史実のひとつひとつが印象深い。たいていの物事には経緯というか、原因があって結果があることを示してくれている。 今がすべて正しい訳でも無いが、まずは歴史に謙虚に学ぶ姿勢が大切だと感じた。
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午前中防災講演会で関東大震災の話を聞きました 。その後気になって図書館に行ってこの本を買って一気に読みました 。やはり自然は生きている。自然には勝てない。自然と戦った 多くの人が江戸時代から今までいたのですね。
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地震、津波、台風、高潮、がけ崩れ等々、日本は自然災害が多い国であるが、その歴史が過去の古文書にたくさん残されている。本書は磯田氏がそれらを広く収集し研究したものをまとめたものである。新聞の連載記事を集めた部分があり、同じ内容の繰り返しなど、一冊の本としてのまとまりに欠ける箇所は...
地震、津波、台風、高潮、がけ崩れ等々、日本は自然災害が多い国であるが、その歴史が過去の古文書にたくさん残されている。本書は磯田氏がそれらを広く収集し研究したものをまとめたものである。新聞の連載記事を集めた部分があり、同じ内容の繰り返しなど、一冊の本としてのまとまりに欠ける箇所はあるが、そのことが気にならないほど過去の災害体験者たちが残した文書や口伝の迫力は強かった。 このような災害国に住んでいながら、過去の記録に無頓着に土地を開発して家を建てて住んだりしている自分たちに警鐘をならしてくれる研究の価値を再認識した。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本は災害多発地帯であり、予測、防災が困難である以上歴史に学ぶことが大切で、それが歴史学者としての使命とされているようだ。集められた津波関係の古文書、証言は涙を誘う。それだけでなく、実地に繰り出し過去の津波の波高をいろいろな手段を用いて推測する様子に感銘を受けた。興味深いのは、伏見地震によって家康が命拾いし、天下が手中に転がり込むようになったとの見立てだ。災害は日本史の重要局面も左右している。
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