繊細な真実 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
やや翻訳調が気になったが展開の面白さでカバー。一般人が巻き込まれて活躍する、というような無理な設定はなく、リアリティの延長線上でのストーリー展開。シリアスの中にもどこかユーモラスなテイストもありつつラストシーンは不思議な読後感だった。
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タイトルが内容を全て表現している。ある秘密作戦に関わった人たちの緊迫したやりとりが描かれる。これはスパイ小説・・か。ハリウッドアクション的な内容を期待すると完全に裏切られるが、それなりに緊迫感が合って面白かった。
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最後はまた、読者にぽーんと投げて「さあどうぞ」 どう取るかはその人次第。今回はそれほど「もうちょっと書いてほしかった」感はなかった。 視点登場人物それぞれがしっかり別の人格でかき分けられていて、視点を持たない人物たちも魅力的な部分とすっごくやなぶぶんとあって、さすがだなあ。
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もし日本で高名な人気作家が日本を舞台にこんなシチュエーションの小説を発表したら、現政権下では、出版社に圧力がかけられるかも。ル・カレの小説はもうスパイエンタメの範疇を脱している。日本にトビーやキットのような良心と勇気を併せ持つ外交官が存在するだろうか。
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スマイリーものしか読んだことなかったのですが、最近のものも面白いとは!驚きです。 ただ、こういった状況は迷宮すぎてもやもやしてしまうのです。 2度目に行きあった言葉・アノラック。あ、英語だったんだ…と。
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ル・カレってジャンルでいうとスパイ小説、エスピオナージュなんだけど必ず主人公の恋愛の要素が含まれていて(で、それがダメダメだったりして)少し切なくなるよね。
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繊細な真実 ジョン・ル・カレ著 国家の秘密に狂わされた運命 2015/1/4付日本経済新聞 朝刊 「特定秘密保護法」の施行と相前後して、日本で本書が出版されたのは、まことにタイムリーな出来事と言うほかない。長篇(へん)二十三作目に当たるこのル・カレの新作の主題はまさに、国...
繊細な真実 ジョン・ル・カレ著 国家の秘密に狂わされた運命 2015/1/4付日本経済新聞 朝刊 「特定秘密保護法」の施行と相前後して、日本で本書が出版されたのは、まことにタイムリーな出来事と言うほかない。長篇(へん)二十三作目に当たるこのル・カレの新作の主題はまさに、国の安全保障に関わる事柄の「真実」はどこまで「秘密」にされるべきか、されてよいのかという問題だからである。 英国外務省の初老の職員が、新任の大臣からじきじきに奇妙な命令を受ける。英領ジブラルタルで遂行されるテロリスト捕獲作戦に参加せよというのだ。篤実な官僚として生きてきた彼はこれまでそんな血なまぐさい任務についたことはなく、途惑うが、ともかく作戦は一応終了し、彼には大成功だったと伝えられる。実際、その功が報われてか、退職後の彼には爵位が授けられる。 しかし、三年後、彼はあるきっかけから、その〈ワイルドライフ作戦〉の陰で、実は非人道的な惨事が起こっており、国益への配慮という美名のもとにそれが隠蔽されていたことを知る。良心の疚(やま)しさから彼はその一部始終を公表しようとするが、元外交官の彼は公職守秘法で雁字搦(がんじがら)めに縛られており、機密情報を洩(も)らせばただちに重い刑事罰を受けざるをえない。では、どうしたらいい。 迂闊(うかつ)に扱うと火傷(やけど)することになるこの「繊細な真実」の帰趨(きすう)、そしてそれによって運命を狂わされた複数の人々の劇的相克を、ル・カレは例によって重厚な筆致で描き上げてゆく。国家の大義と政治家の保身の欲望が結びつくとき、どれほど禍々(まがまが)しいことが起こりうるのか。廉潔というモラル、正義という倫理が現実と衝突して危うくなるとき、人はいったいどう行動すべきか。この問題をル・カレは、終始サスペンスの緊張が弛(ゆる)むことのない物語の中に溶かしこみ、くっきりした輪郭で造形された個性的な人物たちを動かしながら、小説という思考実験の装置によってぎりぎりのところまで追求してゆく。 いっこうに衰えることのないル・カレの筆力には、それにしても驚嘆のかぎりだ。『誰よりも狙われた男』が七十七歳、『われらが背きし者』が七十九歳、そして二〇一三年に発表された本書は八十二歳のときの作だが、これら近作群はそのどれもがきわめて高度な文学的達成を示しており、往時の「スマイリー三部作」と比べてもまったく遜色がない。「スパイ小説の巨匠」などというせせこましいトレードマークにル・カレを閉じこめるのがこの大作家に非礼をはたらく振る舞いであることは、今や誰の目にも明らかであろう。 《評》作家・詩人 松浦 寿輝 原題=A DELICATE TRUTH (加賀山卓朗訳、早川書房・2200円) ▼著者は31年英国生まれの作家。
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