古事記 の商品レビュー
面白かったエピソードのところを、息子たちに分かりやすい言葉や内容にして話していると、きっと口承文学の時代にはこうやって、誰かから聞いた話を自分の家族とかに話して、時にはちょっと面白さを自分で付け足したりしながら、そうやって話が伝わっていったんかなとか思ったりする。
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今となっては複数ある現代語訳古事記の一つであり,膨大な固有名詞を上手く整理しているところが本書の特徴である。
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ようやくきちんと読んだ古事記三巻。アマテラスが弟スサノヲの所業を見て、天の岩屋戸に入って中から戸を閉じてしまう話や、八俣のオロチをスサノヲが退治する話、稲羽の白兎と大国主命の話あたりはよく知っているが、あとは代々天皇の伝説的な話が続く。とても読みやすい現代語訳ではあるし、池澤夏樹...
ようやくきちんと読んだ古事記三巻。アマテラスが弟スサノヲの所業を見て、天の岩屋戸に入って中から戸を閉じてしまう話や、八俣のオロチをスサノヲが退治する話、稲羽の白兎と大国主命の話あたりはよく知っているが、あとは代々天皇の伝説的な話が続く。とても読みやすい現代語訳ではあるし、池澤夏樹氏が丁寧につけてくれている注釈を参考にしつつ読めば話についていくことはできるが、如何せん、代々天皇は妻が多く子だくさんで、もちろん伝説と実話の区別は不明だから、名前が列記されているページはかなり読み飛ばしてしまった。 古代ヤマトを伝える書物として、古事記、日本書紀があるが、解題によれば、日本書紀よりも古事記の方がはるかに自由で大らかな「文学」のようだ。(日本書紀は未読)。確かに古事記はなかなか話がスピーディーに進むし、神様たちは神々しくはなく、続く天皇たちも恋し、喜び、恨み、競い、殺し合う。ギリシア神話を思わせる物語も少なくない。とりあえず「古事記を読めた」という満足感。
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230523*読了 古事記がどんなものか、知ろうともしてこなかった。古事記と日本書紀の違いも。 世界文学全集、日本文学全集を読破するぞと決めたからこそ、こうして読むことができた。 上、中、下と神々の誕生、神話から人間味のある天皇それぞれのストーリーへと進んでいく。 上巻の中には...
230523*読了 古事記がどんなものか、知ろうともしてこなかった。古事記と日本書紀の違いも。 世界文学全集、日本文学全集を読破するぞと決めたからこそ、こうして読むことができた。 上、中、下と神々の誕生、神話から人間味のある天皇それぞれのストーリーへと進んでいく。 上巻の中には天照大神や因幡の白兎といった昔話にもなっている話が含まれていて、ここが起因だったことを知る。 天皇の妻がどうで、子どもがどうで…。その子孫は誰々で。名前がたくさん出てきてすべてを理解はしきれない。 一夫多妻であり、寡婦になれば天皇の親族に娶られることもある。子どもをかなり産んでいる人もいるし、女性って大変。 そして、あっけなく殺されてしまったり、こうと決めたらすぐに殺してしまったり。 一話ずつがとてもスピーディー。 口承文学を文字にする。それが土台となってさまざまな物語が生まれてきた。その起点ともなる文学に触れておけたのは、とてもよかったと思う。
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成立は712年。天地開闢から第33代推古天皇までを神話と記録を織り交ぜながら記録している。稗田阿礼の口述を太安万侶が書きとって編纂して作成したといわれる。 翻訳は本全集の編纂者でもある池澤夏樹。 池澤夏樹はこの翻訳作業をきっかけにのちに小説「ワカタケル」を執筆。そちらでは現代人...
成立は712年。天地開闢から第33代推古天皇までを神話と記録を織り交ぜながら記録している。稗田阿礼の口述を太安万侶が書きとって編纂して作成したといわれる。 翻訳は本全集の編纂者でもある池澤夏樹。 池澤夏樹はこの翻訳作業をきっかけにのちに小説「ワカタケル」を執筆。そちらでは現代人にもわかるように古代の人々の世界観が池澤夏樹の視点で展開されている。併せて読んでも面白い。 儒教や仏教の教えのなかった時代の物語。現代からするとあまりに義理のない、野蛮な話で彩られたり、どう見ても自国をよく見せんがための拙い辻褄合わせが堂々と書かれている。 はじめの神々が顕現し、クニをかたち作る。しばらくすると神代のクニでスサオノが暴れたりする、どこかで聞いたことのある神話のはなし。そこから神話の時代にまず地上に降りてクニをつくったオオクニノヌシノミコト。ふむふむこの人が初代天皇かなと思いきや、突然アマテラスが息子をこのクニの主にしろと言ってきて横取りする。なんと横取りした息子が初代天皇こと神武天皇。 その後、八代にわたって天皇の系譜が連なるのだが、急にエピソードがなくなり、ただの天皇の生んだ御子たちの羅列がひたすら続く。まさかこれが最後まで続くのか・・・と思っていたら、第十代あたりから、またエピソードが復活する。しかも今度は跡継ぎ争いや騙し打ちなど生々しい話が出てくる。 八代の天皇は欠史八代、大和が末永く続いてきた権力であるかのように見せるために、後日作り出された虚構の天皇とされている。読めば虚構といわれるのも納得。いくら虚構とはいえ、太安万侶ももう少し本物っぽく肉付けできなかったものか。 時代が下るにつれヤマトタケルやワカタケルといった半神話的存在を経て、最終的に聖徳太子(厩戸皇子)といった歴史の世界に接続して終わる。 物語自体を愉しむというよりも、その時代に想いを馳せて読んだ。 それは、もちろん伝承を通じで感じる太古の人々の自然観や死生観といったものの見方といった古事記ありのままの内容を感じるだけではない。 成立におけるmeta情報、大化の改新が起き、天皇を取り巻く体制が変化していく中、「日本書紀」と並んでの国家事業としての歴史編纂。その事務方、太安万侶が散逸した伝承や文書を収集して、体系立てる。さらに、その中では天皇の神格性を高め、各豪族たちとの関係性を血縁によって組み込み、各地域や大社のつながりを神話のエピソードに絡めて、大和国家の正当性を主張する役割を持たせたはずだ。それを担った太安万侶の苦心。更に、やまと言葉と漢字とを融合させて日本固有の日本語の表現を作っていく野心。 物語の登場人物たちの心情はかけ離れた感情の隔たりはあっても、編纂者たちの思考は今を生きる私たちと変わることなく地続きでつながる感情だ。わずか千年と少し前の出来事。
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いやいや、恥ずかしながら読んだことがなかった。日本文学科出身であるにもかかわらず…アメリカ人の友人がマンガで読んでいると聞き、こりゃあ日本人としては読まねばと思ったわけで。 こんなに神がわんさか出てきて、奇想天外、おかしな話のオンパレードだとは知らなかった。因幡の白兎がここにおさ...
いやいや、恥ずかしながら読んだことがなかった。日本文学科出身であるにもかかわらず…アメリカ人の友人がマンガで読んでいると聞き、こりゃあ日本人としては読まねばと思ったわけで。 こんなに神がわんさか出てきて、奇想天外、おかしな話のオンパレードだとは知らなかった。因幡の白兎がここにおさめられている話だってことも知らなかった。淡路島が一番最初に作られたとされる島だってことも。 三浦佑之さんという方の「解題」より。 戦前の一時期、古事記は、国民一丸の戦争協力体制を組みあげるために利用された。それが、戦後の古事記嫌いや神話嫌いを作ってしまい、学校教育の現場からすべての神話が排除される原因にもなった。近代天皇制国家が成立して以降の古事記の扱いについてはきちんと生産し、謝った方向へ古事記を連れ出した眼鏡を叩けばよかったのに、古事記に罪を着せてしまったところがある。しかし、古事記という作品には何の罪もない。 過去の歴史を忘れるべきではないが、なんの誓約もなく、とくべつの思想に縛られることもなく、物語としてのおもしろさを享受できる今こそ、古事記にとってはもっとも幸せな時代ではないか。そしてこの機会に、古事記が、あらゆる読者を受け入れることのできる奥の深い古典として存在することを知ってほしい。 謙虚に耳をすまして古代の声を聴く、そのような態度で古事記に向き合うと、現代に生きるわたしたちは、時にとまどいながらも、さまざまなことを教えられる。神話は、古代の人々にとって、哲学であり、教訓であり、歴史であり、科学であり、規範であり、そして何よりもたのしい文学であった。あらゆることを神話に教えられて生きる、神話に耳を傾け、そして語り継ぐという営みは、そのような行為としてあったのだ。
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ページの下部に脚注が詳細に付いており、訳者に「ほらここ、これはこういう解釈で」「ここはちょっと意味わかんないよね」みたいな解説をしてもらいながら読んでる気分になる。名前の羅列も、ただの羅列に終わらず、読み進められました。古事記の無秩序さが魅力的にも見えてくる。
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池澤夏樹による古事記の現代訳。これでもかなり読みやすくなっているのだろう。 神々の時代の上巻、初代神武天皇からヤマトタケルの冒険を記した中巻、仁徳天皇から推古天皇までの下巻。古事記に通じるのが、敗者への共感というのはなるほどと思った。しっかし名前長いね、日本の神様。ひたすら神名人...
池澤夏樹による古事記の現代訳。これでもかなり読みやすくなっているのだろう。 神々の時代の上巻、初代神武天皇からヤマトタケルの冒険を記した中巻、仁徳天皇から推古天皇までの下巻。古事記に通じるのが、敗者への共感というのはなるほどと思った。しっかし名前長いね、日本の神様。ひたすら神名人名リストが続くし。
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内容はいわずもがなの驚愕の世界観。それがぐっとわかりやすくなった現代語訳、またページ構成、編集者としての池澤夏樹にも感服。しかし、原典主義者としては、やはり岩波古典大系が欲しいかな・・・。
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古事記はそれこそマンガから始まって簡単なものはいくつか読んでストーリーは知っているけど、全部は読んだことなかったから、これで「全部読んだ!」と思えて嬉しい。笑 で、全部読んだ感想は、系図が長い、ということ。正直そこは飛ばし読みだが、人名とか文章が読みやすくて良かった。そして注釈が...
古事記はそれこそマンガから始まって簡単なものはいくつか読んでストーリーは知っているけど、全部は読んだことなかったから、これで「全部読んだ!」と思えて嬉しい。笑 で、全部読んだ感想は、系図が長い、ということ。正直そこは飛ばし読みだが、人名とか文章が読みやすくて良かった。そして注釈が面白い。ストーリーはもともと面白いし。
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