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Kawamata Expand BankART の商品レビュー

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2013/06/28

目に見えない暴風雨が吹き荒れた日の翌日 川俣正のアートはどこかそんなイヴェンチュアルな光景の目撃者にでもさせられたような気分になる。 木材の断片が視認不能な旋律を描いて川や橋や建物を取り巻き、それによって突然、そこに可視化された“事件”や“出来事”のような鋭利な時間の断片を切...

目に見えない暴風雨が吹き荒れた日の翌日 川俣正のアートはどこかそんなイヴェンチュアルな光景の目撃者にでもさせられたような気分になる。 木材の断片が視認不能な旋律を描いて川や橋や建物を取り巻き、それによって突然、そこに可視化された“事件”や“出来事”のような鋭利な時間の断片を切り置いてゆく それは蜃気楼のように短命な“建築”でもあるのかもしれず、しかし依然としてそれが実現できない“儚さ”を宿している。 綺麗な儚さではない、嵐が来たら風と一緒に舞とび、見届ける間もなく忽然と翌日には消失しているような、あるいはそこに在るような…そんな事件のようなアートなのだ。 対照的に半ば恒久的に、あるいは動物的に、打ち捨てられたり、積み上げ続けられる進行形のアートもたくさん残している。 そしてそのワークショップは大概、どこかの大学の建築学生と合同で行われる。 たとえば#フット・パスなどはもう立派な構造物だし、建築家が計算して建てたといえばだれもがうなづくような完成度だ。 建築家にはしにくいこと、ひたすら手を動かして、自分の身体感覚から直接、物体を手作りしてゆくということ(セルフビルドor DIY)のような肉体的な作業と、時間をかけたワークショップによるスタディという頭脳的な作業の一致と実現… アーティストだけれど建築家で、大工でもある、そんなハイブリッドな人物:川俣正は、なにか次世代の建築家にとって目指すべき共通の目標となりうるようなものを、ひそめているような気がする。

Posted byブクログ