捧げられた花嫁 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この作品はジャンルでいうと、ロマンス小説には違いないけれど、ミステリー要素がかなり濃い仕上がりとなっています。 アイルランドの小さな村に古くから伝わる伝説をベースに、現代で起こった連続殺人事件の真相を暴くと共に、ヒロイン・ヒーローの恋のプロセスが同時進行で描かれます。 ヒロインのキャサリンは18歳の時、新婚旅行でアイルランドの小さな村のコテージに滞在中、夫を崖から落ちるという事故でが失いました。 当時、傷心のキャサリンの面倒や事故の処理を引き受けてくれたのが、その土地の代々の領主で今も「王」だと村人から崇められるジャスティン・オニールでした。 キャサリンもジャスティンもある日、何者かに薬入りのお茶を飲まされ、元々強く惹かれ合っていたこともあり、二人は超えてはならない一線を越えてしまいます。 新婚の夫が事故死後ほどなく、夫を裏切ってしまった罪に恐れおののき、彼女は逃げるようにコテージを去ります。 八年後、亡き夫との間の息子マイクを育てながらキャサリンは活躍する旅行作家となっていました。 そんなある日、彼女の元にアイルランドについての紀行文を書いて欲しいという依頼が舞い込みー。 亡夫との間の息子マイクは、実はジャスティンの子です。そして、八年後のアイルランドでの宿命的な再会と続けば、ここまではロマンス小説の王道といえるのですが、物語の冒頭から始まる、どこか幻想的で禍々しい雰囲気の漂うホラー小説の雰囲気、連続殺人事件の真犯人は誰なのかという大きな謎が前面に出ているため、ありがちなラブロマンスを読んでいる感じはまったくありません。 最後まで誰が犯人か判りませんでした、、、 よくある再会もの、シークレットベビーものには飽きたという方にはお勧めです。 ただ一つだけ残念だったのは、最後に真犯人がジャスティンも信頼している城の家政婦モリーだと解り、モリーが自ら生命を絶った後の描写です。 モリーが狂っていたことも、すべの責任は彼女にあり自業自得だとは判ってはいるものの、モリーが亡くなってすぐにジャスティンとキャサリンが「声を上げて笑う」シーンは、どうにも受け入れがたいものを感じました。 連続犯人であるにせよ、人ひとりが亡くなり、しかも、それは二人がよく見知った親しい人だったのです。 モリーへの憎しみがあるというのは納得できますが、その死がさも何でも無いことのようにふるまう二人の無頓着さは不自然なように思えました。 小さなことかもしれませんが、、、
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