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追跡・沖縄の枯れ葉剤 の商品レビュー

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2017/08/20

オレンジと言っても果物のオレンジではない。エージェント・ オレンジ。ヴェトナム戦争でアメリカ軍が散布した数種類の 枯れ葉剤のなかでも、もっとも毒性が強いものだ。 2013年6月、沖縄市のコザ運動公園サッカー競技場の改修 工事の際、古い芝生を掘り起していたら地中から腐食した ドラ...

オレンジと言っても果物のオレンジではない。エージェント・ オレンジ。ヴェトナム戦争でアメリカ軍が散布した数種類の 枯れ葉剤のなかでも、もっとも毒性が強いものだ。 2013年6月、沖縄市のコザ運動公園サッカー競技場の改修 工事の際、古い芝生を掘り起していたら地中から腐食した ドラム缶が十数本発見された。 そのうちの数本の側面に書かれていたのは「ダウ・ケミカル」 の文字。枯れ葉剤を製造していたアメリカの企業名である。 ヴェトナム戦争中、在沖米軍基地では毒性の高い化合物が 保存されていた。本書は日米同盟という名の下で隠蔽され 続けて来た事実を掘り起した調査報道をまとめた作品である。 在沖米軍基地で枯れ葉剤の散布や搬送に携わり健康を害した 退役兵、ヴェトナム戦争当時に米軍基地で働いていた沖縄 の人々、地元沖縄のジャーナリスト、退役軍人省の職員。 多くの証言や埋もれていた文書を掘り起し、「沖縄に エージェント・オレンジが持ち込まれた記録はない」と いうアメリカ政府の欺瞞を暴いている。 アメリカ政府は原水爆実験の際に自国の兵士をモルモットに した。それは沖縄でエージェント・オレンジに触れた兵士たち も一緒だ。健康だったはずの身体に次々に病が襲う。勤務中に エージェント・オレンジに被曝したのに、その存在を認めない アメリカ政府は彼ら・彼女らの補償の請求をことごとく却下 する。 そして、彼ら・彼女らが証言するエージェント・オレンジの 存在。その影響。アメリカ政府の対応には恐怖と怒りがこみ 挙げて来るが、自らが被曝し、健康を損ねた退役兵たちが 揃って沖縄の人たちの健康を心配している姿には、心が 震えた。 エージェント・オレンジばかりではない。VXガス、サリン、 マスタードガス。猛毒が沖縄の基地に持ち込まれていた。 現在、普天間基地移転の為に辺野古の海が埋め立てられようと している。しかし、その普天間こそが有害物質が多く埋められて いる場所だと言われたら…。 普天間基地の土地が日本に戻されたとしよう。しかし、アメリカ に原状回復の義務はない。毒をそのまま、日本が、否、沖縄が 引き受けることになる。なぜなら、日米地位協定があるからだ。 これまで在沖米軍基地で起こった毒物の漏出事故、海洋生物の 異常等の異変にも触れており、先が気になって危うく時間を 忘れてしまうところだった。 これぞジャーナリスト、これぞ執念の取材というものだろう。 アメリカ政府も日本政府も、今のところだんまりを決め込んで いる。水俣病等の公害被害同様、健康被害を受けた人たちが 亡くなるのを待っているのだろうか。 尚、最終章に掲載されている退役兵の、沖縄に宛てた手紙が 切なくも温かい。自身が在沖米軍基地で枯れ葉剤を散布した ことを詫び、沖縄で過ごした日々を思い返し、アメリカ政府 の犯した過ちを正す運動をしている…と。

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2015/08/12

ベトナム戦争当時、沖縄から大量の枯れ葉剤がベトナムに持ち込まれた。 しかし 日米両政府は「記録がない」ことを理由に否定し続けている。 2013 年6 月に沖縄市サッカー場でダイオキシンを含むドラム缶が発見された。 沖縄の枯れ葉剤を追跡した名著である。

Posted byブクログ