サラバ!(上) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんて女々しくて嫌な主人公なんだろう! と思った私は完全に姉側の人間です。 周りの空気を読み自分の気配を消して溶け込み、上手くやってきた主人公。 こまっしゃくれたガキじゃのお。 と思うものの、実はそこまで不快さは感じていない。 なんか居たなぁ。 穏やかでイケメンで人気あるんだけど、なんかふわふわしたやつ。 対応が柔らかいから、違和感あっても嫌いにはなれない。 そんな人間が主人公って珍しい気がして、楽しく読めました。 それにしても、男ってほんと、すぐ逃げるんだから! 下巻では落ちぶれるらしいので、どんなことになるのか楽しみです笑
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10年近く前に読んだ川のシーンだけ覚えていて、ふと読み返したくなり頑張ってこの本まで辿り着いて10年ぶりに読み返せた。 かなり特殊な生い立ちなのに、描かれる感情は何故かとても共感できる。
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外国での少年の葛藤や慣れて行く過程はとても面白いし、お姉さんの感性も気になりすぎる。素晴らしい友達との出会いや胸の痛む別れ、いろいろがぎゅっと詰まっていて、どんどん読めるのに進むのが勿体無いような葛藤もある。 西加奈子節も声を出して笑ってしまう。好きです。
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この世にひっそり左足から登場した主人公が、徹底的に謙虚を貫き、意思を押し殺した少年時代の話。(のわりに「こころ」の遺書ばりに長い長い昔話。)好きな子とクレヨン交換なんて、すべての色を綺麗に揃えてうっとりしていた私にはかなり耐え難いイベント。
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エジプト編から俄然面白くなりました。 中学、高校と彼女が出来、羨ましい人生です。 後編が楽しみ、姉の貴子が、どう変わるか?
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ある帰国子女男性の半生と、その家族の物語。 印象に残ったこと ・主人公が産まれた地、イランの歴史とイスラム革命 →ここ一年程イランとイスラム教に興味を持っていろいろな本を読んでいたので、多少なりとも宗教観や歴史について知った上でこの本を読み始められたことが良かった。やっぱり知...
ある帰国子女男性の半生と、その家族の物語。 印象に残ったこと ・主人公が産まれた地、イランの歴史とイスラム革命 →ここ一年程イランとイスラム教に興味を持っていろいろな本を読んでいたので、多少なりとも宗教観や歴史について知った上でこの本を読み始められたことが良かった。やっぱり知識って人の世界を広げるし、感受性を豊かにしてくれる。 ・子ども自身による無意識的なセルフプロデュース(本能の姉vs理性の弟) →どんなに幼い子供でも、どんなに安全な環境にあっても、どうやら自分はこうあるべきらしい、どうやら今はこう振る舞うべきらしい、という直感を持っているようだ。人から見られたい、愛されたいという欲求を爆発させた姉、その姉の影に隠れてひたすら傍観者的ポジションを貫く弟。どちらも同じくらい不自然で、不自由で、息苦しく、無理のある子供時代だったのではないか。わたしの子供時代を思い返せば、どちらかというと姉の方に近かったように思う。見て、こっちを向いて、と常に思っていた。その反動か、母親になった今、我が子には、どこまでも天真爛漫に、大人の顔色を窺うことなく自由にのびのびと生きてほしいと願う。でもいくらそう願ったところで、子どもは親であるわたしの顔色を窺ってくる。子どもらしくない阿るような表情が嫌いだと夫に話すと、子どもだって家族という一つの社会の中で生きていかなくちゃいけないんだから仕方ないよ、と言われ、納得したのを覚えている。 ・角田光代『幸福な遊戯』を彷彿とさせる男女が入り乱れた「ゆるい」「ぬるま湯」 →大学時代に自分の現状を「ぬるま湯」と表現することに凝っていた。高校三年生まで頑なに門限を17時に設定し続けた忌々しい(と当時は思っていた。今は大好きよ)母親の目もある程度届かなくなり、わりとまあ何時でもいいっちゃいいけど最終的にはやっぱ実家に帰るしかないという中途半端な自由と、授業出る?喫煙所にしとく?みたいな生ぬるい友情と、でもうちらこれからどうなるんだろうねっていうゆるい不安と、お金ないなーお腹すいたなーめんどくさいなーを口癖にした究極なだらしなさの中で過ごした、おそらく自分の人生で最も自由で、奔放で、無責任で、パステルカラーだった時期。そこには性別、年齢、家柄などあらゆる分断をドロドロになるまで一緒くたに煮込んだ闇鍋みたいな時間が流れていた。居心地のいい、アメーバのような空間があった。真っ只中にいるときは、いつまでもみんなでここにいられるような錯覚を覚えるけれど、やっぱりそれは所詮錯覚で、一人、また一人と、目を覚まして、冷水で顔を洗って、ぬるま湯から脱出していく。あの闇鍋から、アメーバからわたしが抜け出したのは、果たして早い方だったか遅い方だったか、あるいは、実はまだ抜け出せてすらいないのか。 ・「信じられる何かを見つけること」 →学生時代、自分にとって「これだけは」と思える一つのことを見つけるよう何度も言い聞かせてきた母の言葉を思い出した。当時は「誰にも負けない」「一番になる」と捉えてしまったために余裕がなくなってギスギスしたけれど(だからこの物語で姉が終盤に言っていた「あの頃は余白がなかった」の意味がすごくわかる気がする)、母の意味するところは実際は違っていて、人と比べる必要のない心の拠り所、自分の芯のようなもの、ということだったと今は理解している。で、見つけられたんでしょうか?もう36歳になりますけれど。
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アメトーークでオススメされてたので購入して読んでみた。主人公の恵まれた環境などには共感はないけど、色んな世界や人、文化を主人公が主観というより客観的、俯瞰な視点で見ている感じで、色々見渡せる感じの作品で面白い。
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こんなにメモが多い小説は久しぶり。 何もない自分を恥ずかしがるのを恥ずかしいと思った。自分以外の価値観で自分の人生を作り上げないと言ってのけた冒険家の角幡さん、こんなに強く生きれるひとはおるんかな。 自分の信じるものをを、他人に決めさせない。いいねを欲しがる私たちは、まさに自分の...
こんなにメモが多い小説は久しぶり。 何もない自分を恥ずかしがるのを恥ずかしいと思った。自分以外の価値観で自分の人生を作り上げないと言ってのけた冒険家の角幡さん、こんなに強く生きれるひとはおるんかな。 自分の信じるものをを、他人に決めさせない。いいねを欲しがる私たちは、まさに自分の行動を他人の価値観に寄せにいってしまっていて、これではいつ使用幸せになれない。ひとが見向きもしないようなことをやってる方が、自分らしく新しいことやれてる証拠なんやろな、ほんまに。 自分も帰国子女なので、子どもなりの気の使い方や、新たな環境に適応するために驚くほど冷静に行動していた。子どもはおとなが思っている以上におとなだし、子供のふりをしているだけや。
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ひゃー。面白かったな。 さすが直木賞受賞作。 西加奈子さんの作品は初体験。 物語に出てくる風景全部が、色や匂いまでもリアルに目の前に浮かび上がってくる感じがした。 歩と一緒にイランで生まれて、日本で育ち、エジプトでヤコブと遊びまわり、女の子と付き合ったり、須玖くん(私のどタイプ...
ひゃー。面白かったな。 さすが直木賞受賞作。 西加奈子さんの作品は初体験。 物語に出てくる風景全部が、色や匂いまでもリアルに目の前に浮かび上がってくる感じがした。 歩と一緒にイランで生まれて、日本で育ち、エジプトでヤコブと遊びまわり、女の子と付き合ったり、須玖くん(私のどタイプ男子)と仲良くなったり…まるで第二の人生を経験したような気分。 ちょっと下ではどうなっちゃうんだろうな。 サトラコヲモン様のことも、歩の家族のことも、須玖くんと歩がどうなっちゃうのかも、色々と気になりすぎるよ………そして私は須玖くんと付き合いたいよ…………(好きすぎ)
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歩の生誕〜高校生になるまでのお話。 内容を全く覚えていなかったので再読した。 歩の幼少期の感じていることに共感しながら、 面白く読めた。 あの頃は、大人ってもっと大人だと思ってたし、 親は親でしかないと思っていた。 でも、自分が大人になって、まだまだ子供のままだし、 自分に子供...
歩の生誕〜高校生になるまでのお話。 内容を全く覚えていなかったので再読した。 歩の幼少期の感じていることに共感しながら、 面白く読めた。 あの頃は、大人ってもっと大人だと思ってたし、 親は親でしかないと思っていた。 でも、自分が大人になって、まだまだ子供のままだし、 自分に子供が産まれて、親も人の子だと気付いた。 私は姉の性格に近く、目立ちたがりで痛い部分はよく似てるから、姉が窮地に陥っていく姿にチクチク心が痛んだ。歩のように上手く周りとなじんだ立ち回りができるのが羨ましい。 エジプトの学校生活で教師たちが子供の意見を真剣に取り入れることで子供達に責任感が生まれていくという話は今後の子供との接し方に参考にすべきことだと思った。 今後、歩がどうなっていくか下巻が楽しみ。
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