虚空遍歴(下) の商品レビュー
『死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものだ、死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ、消滅ではなく完成だ』 というこの小説の本質を、主人公中藤冲也にせりふとして言わしめている山本周五郎、そして、その台詞を...
『死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものだ、死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ、消滅ではなく完成だ』 というこの小説の本質を、主人公中藤冲也にせりふとして言わしめている山本周五郎、そして、その台詞を証明できるのが、数奇な旅をともにする「けい」さん。 「山本周五郎と私」で山本周五郎の小説の本質は浪花節だと喝破する宮本輝氏、主人公中藤冲也と「けい」さんの上質な人間と人間とのからみあいから出た冒頭の台詞、読み終わって、とっても爽やかな気持ちだかが余韻として残りました。
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