語り継ぐ済州島四・三事件 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ほとんど息も継がないような一気読みで読了してしまった。 詩人の許栄善の著作で、香気溢れる文体で、中学生にも充分に読めそうな分かりやすく柔らかい語り口の150頁に、ギッシリと凄惨な7年7ヶ月の殺戮と、理不尽な沈黙を強いられた55年間が詰まっている。 「四・三は、繰り返して言うが、生きている人々の歴史だ。過去の出来事ではない、今明らかにすべき部分が多い現在の歴史、つまり生きている私たちが解き明かさなければならない悲しい宿題なのだ。」 「過去を知らずして、どのように己を探すのか。過去事の闇を放置したままで、どうしてこの社会が清くなることを望めようか。今日も四・三は、あまりにも長く沈黙していた私たちの記憶を呼び覚ます。」 「四・三は語る。歴史の真実は、閉じ込めようとして閉じ込められるものではないことを。そして歴史は未来のためにあることを。人間の歴史は続き、生は続く。そうであると私は信じる。互いに負わせた傷は明らかにされなければならず、さらけだされたその傷は太陽の光でからからに乾かせばきれいに消毒できる。そうして初めて、再び新しい皮膚がつくられる。」
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