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敗者の告白 の商品レビュー

3.5

18件のお客様レビュー

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2023/11/22

タイトルにもある通り最初から最後まで被害者、加害者、関係者たちによる一人称の「告白」形式で進んでいきます。この作者は女性ながら(女性だから)、またはご自身が弁護士という職業をされていたからか本格ミステリというジャンルにも関わらず、女性の心理とか内面の残酷さを辛辣に表現して、さらに...

タイトルにもある通り最初から最後まで被害者、加害者、関係者たちによる一人称の「告白」形式で進んでいきます。この作者は女性ながら(女性だから)、またはご自身が弁護士という職業をされていたからか本格ミステリというジャンルにも関わらず、女性の心理とか内面の残酷さを辛辣に表現して、さらにそれを男性に糾弾させている。「欺瞞の殺意」を読んだ時も感じましたが。女性だから女性の醜さを赤裸々に描けるのかもですが、そこにハラハラさせられます。もちろん面白かったです。

Posted byブクログ

2023/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ツイッターでおススメいただいた初めての作家さん。 物語は一転二転三転とたいへん興味深く読めたが、いちばん恐れ入ったのは作者さんのプロフィール。 ==== 東大法学部卒。弁護士として活動したのち、60歳で執筆活動を開始。2010(平成22)年『鬼畜の家』で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、同作で翌年作家デビュー。 ==== すばらしいバイタリティーだ。もうこれだけでもっとこの人の作品を読んでみたくなった。人生経験も豊富だろうし、ぜったい面白いに違いない! さて、本書は次のような内容だ。 ==== 食い違う証言が導く真相とは!? "告白"だけで構成された大逆転ミステリ とある山荘で会社経営者の妻と8歳の息子が転落死した。 夫は無実を主張するも、容疑者として拘束される。しかし、関係者の発言が食い違い、事件は思いも寄らない顔を見せはじめる。 遺された妻の手記と息子の救援メール。事件前夜に食事をともにした友人夫妻や、生前に妻と関係のあった男たちの証言。容疑者の弁護人・睦木怜が最後に辿り着く、衝撃の真相とは!? 関係者の“告白”だけで構成された、衝撃の大逆転ミステリ。 ==== とくに妻の人柄が証言する人によってずいぶんと異なる。人は一面とは限らないというお手本のような描き方に、本当の姿はどうだったんだろうかと興味が最後まで引き付けられた。 そしておそらくはごくふつうの男の子なのに性格異常者として語られる8歳の息子くんと彼を取り巻く隣の家族への社会的影響とか。 それを見事に跳ね返して生きていく決心をした隣家族の奥さんの潔さと太陽のような強い明るさがよかった。 この作品を嫌ミスとしている方もいるようだが、私は嫌ミスの範疇ではないと思う。 世間的に、表面的には裕福で幸せに見えるある家族の本当の姿を事件の真相を知るために暴かざるをえないという作品だ。 最後の最後、「終章 決着」。 ああ、やっぱりそうなるよね、と納得の結末だった。 登場人物たちの隠されたキャラ造形もふくめ、すべてのロジックに納得がいった作品だった。

Posted byブクログ

2022/08/13

母子がベランダから転落死した事件は一時事故とされるが、そのなくなった母の手記、息子の祖母宛のメールで状況が一変する。両親に殺されるかもしれないと語る息子、共に息子を殺そうとしたが夫の秘密をあげて自分は殺されるのだという母。死者の告発と、親友の証言、生者の反論。良くも悪くも死人に口...

母子がベランダから転落死した事件は一時事故とされるが、そのなくなった母の手記、息子の祖母宛のメールで状況が一変する。両親に殺されるかもしれないと語る息子、共に息子を殺そうとしたが夫の秘密をあげて自分は殺されるのだという母。死者の告発と、親友の証言、生者の反論。良くも悪くも死人に口なしである状況のもとどちらが真実で裁判の結論はどうなるのか、そしてその後について。 こんな流れの話ははじめてで読む勢いが止まらなかった。 224冊目読了。

Posted byブクログ

2021/11/28

同じ時間に同じ場所でひとつの事柄を経験した二人の人間が、正反対の事実を述べて第三者に判定を求める。よく考えれば、裁判とはおかしなものです。(本文より) 視点が変わるとみえる景色が反転する、この著者らしい作品。 最後まで事実はわからない。

Posted byブクログ

2019/10/22

つらみ。結局犠牲になったのは子供。 一人の女性を、いろんな人から見たお話とも言えるのかもしれない。

Posted byブクログ

2018/07/28

山梨の別荘で母と子が転落死した。 死んだ2人の残したメール、容疑者となった父の供述調書、弁護人が集めた陳述書などから事件が語られていく。 誰が真実を語り、誰が嘘をついているのか。 好きな手法で面白くはあったが、一人ひとりの証言が長くて、テンポよく読めなかった。 (図書館)

Posted byブクログ

2018/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

事件はある母子が別荘のベランダから転落死したところから始まる。登場人物は、IT関連の会社社長・本村弘樹、妻の瑞香、息子の朋樹、娘の由香。本村の山梨の別荘の隣人で友人の溝口雄二とその妻・佐木子。 瑞香と朋樹の転落死、それが弘樹による殺人だとみなされ、逮捕される。それは死者の告発として、瑞香が知り合いの雑誌編集者に宛てた手記があり、そこに自分と息子が夫に殺されそうだと記してあったから。更には朋樹まで祖母宛にメールを送っていて、自身が両親に殺されるかもと、書いてあったのだ。 小説の様式も変わっていて、弁護士に話をしているかのような文章、供述調書や供述など、もと弁護士ならではなのかなぁと思った。 ラストも無事無罪を勝ち取ったように思えた弘樹、じつは…というところもよかった。

Posted byブクログ

2017/02/16

人はいろいろな理由で殺意を抱く。 そして、その殺意が誰に向くかは当人でなければわからない。 まったく理不尽なこじつけで殺されたのでは浮かばれない。 殺された時点で浮かばれないのは同じなのかもしれないけれど・・・。 独りよがりの愛情は、結局相手も不幸にする。 独りよがりの復讐は、...

人はいろいろな理由で殺意を抱く。 そして、その殺意が誰に向くかは当人でなければわからない。 まったく理不尽なこじつけで殺されたのでは浮かばれない。 殺された時点で浮かばれないのは同じなのかもしれないけれど・・・。 独りよがりの愛情は、結局相手も不幸にする。 独りよがりの復讐は、結局自分をも不幸にする。 予想を裏切る衝撃に結末と帯にはあったけれど、ある意味、予想通りの結末に人の身勝手さがもたらす無情さを感じた。

Posted byブクログ

2017/02/12

手記、証言、調書、メール等様々な媒体を使って視点を変えてストーリーを進めさせる手法は見事に成功したミステリー(そうした本はよくありますが、この本は読者にそれらの文章上手に見せていていました) しかも主人公(私は弁護士だと思っています)が良い感じで表に出てこず、読者と一体化してこ...

手記、証言、調書、メール等様々な媒体を使って視点を変えてストーリーを進めさせる手法は見事に成功したミステリー(そうした本はよくありますが、この本は読者にそれらの文章上手に見せていていました) しかも主人公(私は弁護士だと思っています)が良い感じで表に出てこず、読者と一体化してこのミステリーに挑んでいる感じが良かったです。 ストーリーとして読了が良い・・・とは残念ながら言えませんが、作品としてはとても丁寧に作りこまれたものだと思いました。 この作者の他の作品を読んでみたいと思わせます。

Posted byブクログ

2016/12/18

手記はなかなか面白かった。 事件の構図を炙りだしながら、二転三転する物語を盛り上げている。事件から終盤までは傑作だと思っていました。 ただ真相はまあ、そうだよね。って感じでしたが、しかし伏線など張りまくられた作品でミステリとしてなかなかです。

Posted byブクログ