神坐す山の物語 の商品レビュー
奥多摩の武蔵御嶽山には八百万の神が坐す。少年の祖父や白髯の曽祖父は御嶽神社の神官を務めるかたわら宿坊を営んでいた。少年は伯母から、この山上で起こった怪異を寝物語として聞く。それは恐ろしいというよりも人情と哀切に満ちたものばかり。はかない少年時代の思い出に漂う夢のごとし。 日本武...
奥多摩の武蔵御嶽山には八百万の神が坐す。少年の祖父や白髯の曽祖父は御嶽神社の神官を務めるかたわら宿坊を営んでいた。少年は伯母から、この山上で起こった怪異を寝物語として聞く。それは恐ろしいというよりも人情と哀切に満ちたものばかり。はかない少年時代の思い出に漂う夢のごとし。 日本武尊御東征のころに遡るほど歴史深い神社と、それを抱えるそれ自体が神であるような山。全体を通して日本古来のアニミズムが伝わってきた。神社を詣でたような厳かな気持ちになり、また、緑深い山を、枝を踏み折り進んでいくような清々しい気分にもなった。そこへ時おり禍々しさのスパイスが良き。 御嶽山に行ってみよう。東京のすぐそばにこんな秘境があると思うと楽しくなってくる。
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私には合わない話だった。淡々としていて日常的なのは自伝だったからなのだろうか。面白いとも怖いとも思わなかった。
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武蔵御嶽山の霊山にまつわる小話。 語られる人物は同じ人でもその人との関係性、年代が違う目線での話。時代掛かって今イチピンとこない話もあったけれど、一番心に残る話は「天井裏の春子」。老狐とその狐に取り憑かれた年若い娘の話が胸に迫りました。どちらの気持ちも分かるだけに切ない。老狐を想...
武蔵御嶽山の霊山にまつわる小話。 語られる人物は同じ人でもその人との関係性、年代が違う目線での話。時代掛かって今イチピンとこない話もあったけれど、一番心に残る話は「天井裏の春子」。老狐とその狐に取り憑かれた年若い娘の話が胸に迫りました。どちらの気持ちも分かるだけに切ない。老狐を想って泣く春子の気持ちも切なかった。 その他「兵隊宿」や「宵宮の客」などすべて魅力的な話でした。
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著者が少年の頃に聞いた、伯母の怪談のような夜語り七つ。 人界と神界との境目にある山での出来事。 「聖」が最も心に残りました。 己が為すべきことは、己が成るべく目指している存在への道ではあるが、その道でたどり着くことができるかどうかはわからない。 わからないが、進むためには一歩ず...
著者が少年の頃に聞いた、伯母の怪談のような夜語り七つ。 人界と神界との境目にある山での出来事。 「聖」が最も心に残りました。 己が為すべきことは、己が成るべく目指している存在への道ではあるが、その道でたどり着くことができるかどうかはわからない。 わからないが、進むためには一歩ずつ歩くしかなく、常に自分への不信との葛藤を抱えて歩むしかない。無理解だけでなく徒労だという、周囲からの無言の圧力がある。 孤独しかない。 結末も救いがないと思ってしまうが、それが望んでいたことかもしれないし、望みはしないが成るために為すべきことだったかもしれない。 どうすればよかったのか、どうしようもなかったのか。自然が自然のままあるように、そうであると受け入れるしかないのか。 無力感なのかねぇ。共感も拒絶もなかったんだよなぁキゼンさんに対して。 なんというか、考えても考えても出口はないよなぁ。
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久しぶりの 浅田次郎作品 相変わらずの 心に沁みこんでくる ストーリーテラーぶりを堪能させてもらう 読んでいる間 「遠野物語」が思い出されて 同時回想していました この世ならぬモノは いつの時代でも 確かに存在し 確かに畏れられ 確かに敬われている
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幽玄な神坐す山での不思議な物語。 百物語を聞いているような、薄ら寒い感じがしつつも、目を離すことができない魅力的な話が収録されています。神様や天狗や狐憑き。 幽玄な御嶽山の景色が目に浮かぶ美しい作品です。 著者の幼い時の体験を元にしていることもあり、登場人物に皆温かみがあります。...
幽玄な神坐す山での不思議な物語。 百物語を聞いているような、薄ら寒い感じがしつつも、目を離すことができない魅力的な話が収録されています。神様や天狗や狐憑き。 幽玄な御嶽山の景色が目に浮かぶ美しい作品です。 著者の幼い時の体験を元にしていることもあり、登場人物に皆温かみがあります。自分も夏休みをこんな山里で過ごしてみたかったなー。
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浅田次郎さんの怪異譚の短編集。 期待していたのとは違うな…と思いつつ、読み通してしまいました。神のおわす山の一族の不思議な昔話を寝物語で伯母から聴く主人公。 ちょっと怖くて時に切なくて、時にほんのりあったかい。 子どもの頃に、こんな夏休みの思い出があったかなぁ、あったかも、と聞い...
浅田次郎さんの怪異譚の短編集。 期待していたのとは違うな…と思いつつ、読み通してしまいました。神のおわす山の一族の不思議な昔話を寝物語で伯母から聴く主人公。 ちょっと怖くて時に切なくて、時にほんのりあったかい。 子どもの頃に、こんな夏休みの思い出があったかなぁ、あったかも、と聞いた話と体験した話がごっちゃになるような、そんな不思議さがありました。床屋と狐の話はなんだか映像がありありと浮かんで、見てきたような気になりました。 さんげ、さんげ、ろっこんせいじょう。
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浅田次郎さんは母方が神社を守る(という言い方があってるかわからんかど)旧家で、子供の頃の話が中心。神通力のある伯父さんやその兄弟の話、神様や狐憑きなど不思議な話が多く面白かった。 私自身が最近修験道を行ったりそんな話を聞くことが多いのでリンクしてるのも興味をそそられた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
神様に関わる不思議な話。 悲しい話でしたけど「天井裏の春子」が心に残りました。 神様を身近に感じる人は、大きくてちょっと怖い存在なのでしょうか。 私は全く分からないので、優しくてきれいで透明な感じです。
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そこにいれば感じて そのまま育てばそれが当たり前になるし 私も信じるけど、 不思議な生活だなー。 浅田次郎が書くとなんか嘘っぽいけど…
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