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湯浅泰雄全集(14) の商品レビュー

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2018/04/20

『身体論―東洋的心身論と現代』(1990年、講談社学術文庫、『身体―東洋的心身論の試み』というタイトルで、1977年に創文社より刊行)と『気・修行・身体』(1986年、平河出版社)のほか、18編の論考を収録しています。 『身体論』は、東洋思想における身体論の特徴と意義について考...

『身体論―東洋的心身論と現代』(1990年、講談社学術文庫、『身体―東洋的心身論の試み』というタイトルで、1977年に創文社より刊行)と『気・修行・身体』(1986年、平河出版社)のほか、18編の論考を収録しています。 『身体論』は、東洋思想における身体論の特徴と意義について考察がなされています。まずは、和辻哲郎や西田幾多郎といった近代日本を代表する哲学者たちの身体についての議論を検討し、さらに伝統的な日本思想のなかから、心敬や世阿弥の芸道論、あるいは道元や空海の思想において身体にまつわる問題がどのように論じられているのかを考察しています。その一方で著者は、ベルクソンやメルロ=ポンティの身体論を検討し、彼らが感覚‐運動機能のような表層的な心身関係にのみ目を向けており、情動‐無意識の機能のような基底的な心身関係にはいまだ解き及んでいないことを批判します。さらに、現代の生理心理学や心身医学の動向に言及し、そうした実証的な研究がユング心理学などによって議論されてきた事柄に接近しつつあるということが論じられています。 『気・修行・身体』も、『身体論』と同様の内容をあつかっていますが、東洋医学における「気」や、後年の著者がかなり立ち入って議論を展開することになるニュー・サイエンスの動向についても触れられ、より広い観点から心身関係についての考察がおこなわれています。 なお巻末には、『身体論』においてとりあげられた心敬の『ささめごと』における「十識」に関して、全集の編者である山田維史による補足が収録されています。

Posted byブクログ