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湯浅泰雄全集(2) の商品レビュー

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2023/08/30

宗教哲学・宗教心理学というタイトルのもとに、『宗教経験と深層心理』(1989年、名著刊行会)に収録された論文をはじめ、24編の論考を収録しています。 『宗教経験と深層心理』は、著者のはじめての著作である『宗教と人間性』(1959年、理想社)を増補したものです。増補にさいして、各...

宗教哲学・宗教心理学というタイトルのもとに、『宗教経験と深層心理』(1989年、名著刊行会)に収録された論文をはじめ、24編の論考を収録しています。 『宗教経験と深層心理』は、著者のはじめての著作である『宗教と人間性』(1959年、理想社)を増補したものです。増補にさいして、各論文に著者自身の解説が付されており、著者の思索がどのような道を通って発展してきたのかを知ることができます。とくにカントの形式的な自我論に対するマイモンの批判を介して、経験的な自我の「課題」を倫理学の中核に据えるとともに、身心の統合的な立場に立つことで倫理から宗教への発展を段階的に捉えなおすような発想が示されている論文「自我の問題」は、著者の思想の始まりがどこにあったのかを明瞭に示しており、興味深く読みました。 実践的な立場から倫理と宗教を段階的に接続することをめざす著者は、日本仏教のなかでもとりわけ空海に注目し、著者自身の宗教心理学に基づいてその思想の意義を解き明かす試みをおこなっています。

Posted byブクログ