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淫内パラダイス の商品レビュー

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シンプルなストーリー展開と程良い淫らさ

双葉文庫からデビューした作者の2作目。26歳の社会人主人公だが彼女との青春の息吹を感じる初心なやり取りから始まり、その途中で図らずも被ってしまった交通事故によって入院したところから実質的な物語が始まる。その入院先の病院というか病室が舞台のほぼ全てとなるストーリーが退院の日を迎える...

双葉文庫からデビューした作者の2作目。26歳の社会人主人公だが彼女との青春の息吹を感じる初心なやり取りから始まり、その途中で図らずも被ってしまった交通事故によって入院したところから実質的な物語が始まる。その入院先の病院というか病室が舞台のほぼ全てとなるストーリーが退院の日を迎えるまでシンプルに流れていく展開である。 表紙を飾るナースは登場機会が最も多く、主人公との関わりも浅くないヒロインだが高校時代の同級生にして元彼女である。特別に誂えたというミニの白衣は現実味が乏しいものの、学園のアイドルだった過去からの男遍歴を背景にした淫らさは表紙から発せられているイメージ通りであり、その美貌を自覚しつつ武器にも用いる女ならではの媚びた図々しさも見せるところなどは妙に現実味を感じさせるビッチキャラでもある。たった1週間でフラれたトラウマの元凶でありながら今回も翻弄されてしまう主人公である。 今の彼女は職場の(おバカな)同僚の(真面目な)妹という味付けがなされており、交際自体が初めてな19歳の短大生という初々しさが時にすれ違いを招いて一時的には距離もできてしまうのだが、その行方や如何に?を物語の本線として最後に纏めるための役割を担っている。その恋の行方は当然ながら彼女の「初めて」の行方でもある。 中盤にはアラフォーの熟女も登場するのだが、「おぉ、そういう関わり方もあるのか」と思わせる着眼点に感心しつつ、この熟女による可笑しくも濃厚な「ご奉仕」を経た後に主人公のお気に入りAV嬢その人が病室に現れ、主人公に甲斐甲斐しく接しながら何故か撮影にまで及ぶという突拍子もない展開の変化球に相応の意味を持たせているのはなかなか上手い設定でもあった。良い意味で双葉文庫らしいユルさと軽さのあるテイストが後押しもしている。 ここまで主に病室のベッドに横たわる主人公にヒロイン達が跨る騎乗位の官能描写ばかりが続く印象だったが、リハビリの段になって快活な理学療法士22歳が登場して変化を加えることになる。患者の桃色煩悩を糧に素敵な効果を発する独特の療法がまた可笑しくもあるのだが、この終盤では主人公との情交に加えて医師との玉の輿を狙うナースの思惑が期せずして成就するダブルの情交が描かれて官能的なクライマックスとなっている。ただし、この場面に限らず官能描写は総じてライトな印象。前戯に頁をある程度費やした結果、合体してから果てるまでが性急になってしまっているからであろう。 多彩なヒロインを配置しながら全体としてはある種の爽やかさを湛えた作風は好印象につき次作以降への期待が高まるとともにデビュー作『エスプリは艶色』も気になるところである。

DSK