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「再」取得学歴を問う の商品レビュー

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2014/12/14

昨年頃から再取得した学歴の効用について関心を持っていた。具体的には、社会人に対する大学院教育は相応の効果があるという、ある程度一般化された研究成果を探していた。その理由は、学歴を再取得した際の評価が、かなりバラツキがあるからだった。各評価者の判断基準・心情は多様であるから当然のこ...

昨年頃から再取得した学歴の効用について関心を持っていた。具体的には、社会人に対する大学院教育は相応の効果があるという、ある程度一般化された研究成果を探していた。その理由は、学歴を再取得した際の評価が、かなりバラツキがあるからだった。各評価者の判断基準・心情は多様であるから当然のことだが、それでも、本書に紹介されているような「大学院での学習を『趣味』とみなされている社風」(p.185)のような例が、意外に多いと感じていた。また私的なことでいえば、昨年の今頃、編著者に論文指導を受けている過程で、「仕事をしながらの修士論文執筆は、『趣味』だからできるのですよ。業務だったらこんなにたいへんなことはできないと思います。」と雑談していたこともあった。再取得した学歴とは、「内発的な動機に支えられた進学」(p.175)と入学後の学修の履歴・記録であり、それ以上でも以下でもないということを一応の自分自身の結論としていた。 本書では、経営系、法科、IT・コンテンツ系、教職の専門職大学院を研究対象としている。各分野でそれぞれ特徴のある分析結果が示されており興味深い。しかし、分野を問わず、共通事項として、専門職大学院修了者に対しては、「総じて専門職としての社会的評価は高くない」(p.230)という点が指摘され、厳しい現実も実証された。また、「専門職大学院が制度化されても、それが既存の大学や大学院制度との間で明確な差異化がなされていないこと」も課題として挙げられている。逆にいえば、本書の検討から、専門職大学院や専門職学位課程でない修士課程で学んだ社会人に対しても敷衍できる分析結果を読むこともできよう。

Posted byブクログ