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「ゆとり」批判はどうつくられたのか の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2023/01/17

いわゆる「ゆとり批判」を、過去の記事や調査結果などを素に考察し、この言葉が持つネガティブさの背景やその妥当性などを読み解いていく内容。 特に(私を含めた)当事者が概ね感じていることと同じ結論に至る訳だが、それを書籍化したという点で評価できる。

Posted byブクログ

2022/11/07

ゆとり世代と揶揄される経験は少なからずあるし、どこか納得できない中でそれでもその批判を受け入れざるを得なかった当時の自分が歯がゆく、そもそもゆとり教育ってなんでこんなネガティブなの?ということを、客観的に振り返ってみようの一環で手に取りました。 1998年学習指導要領改訂の影響...

ゆとり世代と揶揄される経験は少なからずあるし、どこか納得できない中でそれでもその批判を受け入れざるを得なかった当時の自分が歯がゆく、そもそもゆとり教育ってなんでこんなネガティブなの?ということを、客観的に振り返ってみようの一環で手に取りました。 1998年学習指導要領改訂の影響下で教育を受けた世代が対象のようですが、そこには先入観やバイアスがだいぶ加担しているなーということが、冷静に理解することができた。ゆとりという言葉が80年代にはポジティブな響きを持っていたのが、いざ実施となった段で出鼻くじかれるという不運。 教科授業数が削減されているのは分かりやすい比較だが、PISAテストにその影響は有意に現れていないといった点、メディアに印象操作されてるなーと痛感。世代呼称は都度あるけど、教育と絡められネガティブな蔑称として使用されたことは、腹立たしい。 現在新たな指導要領に基づく指導が始まってきているが、「生きる力」という多様性、共生力、実生活に学びを活かす力という方向性は踏襲しているという印象。当時の主体性、自立性を強要する指導は非常に合わず逆にふさぎ込んでいた自分だったこともあり、現在のアクティブラーニングというどう学ぶかということを環境から具体的に対応し、主体性を強要するのでなく育む姿勢は、過去の失敗からの学びか。 いずれにしても、自分とは異なる内容の転換点にわが娘が小学生になるので、どういった学校生活なのか、非常に楽しみである。ふふふ。総合的学習の時間は存続しているのが意外。教師の経験と指導力が上がってきているのか。

Posted byブクログ

2021/02/22

「ゆとり」という響きはいつだって、後ろ指さされる気持ちになる。 自分もいわゆる「ゆとり世代」として、義務教育を終えてきたわけだが、それが世代論として、忍耐力がないだの、能力の低さの理由としてあげられてしまうのは、残念でならないと感じている。 何かができないことの原因を探る上で、...

「ゆとり」という響きはいつだって、後ろ指さされる気持ちになる。 自分もいわゆる「ゆとり世代」として、義務教育を終えてきたわけだが、それが世代論として、忍耐力がないだの、能力の低さの理由としてあげられてしまうのは、残念でならないと感じている。 何かができないことの原因を探る上で、「ゆとり」という言葉は便利だった。だから、根付いた。そう、あらかじめ予想しながら、この本を手に取り、開く。 「ゆとり世代」という言葉は、以前は60代の、会社を定年まで働き引退した世代のことを指していた。 激しい競争の中で、休む間もない人生を過ごしてきたが、せめて余生はゆとりを持って過ごしたい、という意味合いを持っていたそうだ。 そこから、教育の場面でもゆとりを持たせた教育をしようとする改革が始まったそう。 かくして、2002年から施行された、「ゆとり教育」は、「円周率を3で教えている」など、様々な誤解を招き、やがて世代批判の代名詞とされるようになった。 この本では、世代批判をする言説を批判するとともに、「ゆとり教育」の問題点を、改めて考えているところが、評価できる点であると思う。 自分の意見を主張するにあたり、人はどうしても補強する証拠を集める傾向(確証バイアス)がある。 自分の使う言葉が、果たして正しいのかどうか。偏見に満ちていないかどうか。 もう一度考えるべきなのかもしれない。

Posted byブクログ

2020/08/13

なんとなくネガティブな響きを持つマジックワードとしてある、ゆとり、という言説がどのように形成され、またどうやったら解体できるのか。丁寧に論じた良書。 出口として、世代論を超えた共生社会を目指していることに、勇気をもらう。

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2017/10/25

皆さんは「ゆとり」という言葉をご存知のことと思いますが、「ゆとり」と聞くと(あるいは、そう名指されると)、あまりポジティブなイメージが持てないかもしれません。また最近では、2016年に日テレで「ゆとりですがなにか」というドラマが放送され、社会的にもインパクトのある言葉となっていま...

皆さんは「ゆとり」という言葉をご存知のことと思いますが、「ゆとり」と聞くと(あるいは、そう名指されると)、あまりポジティブなイメージが持てないかもしれません。また最近では、2016年に日テレで「ゆとりですがなにか」というドラマが放送され、社会的にもインパクトのある言葉となっています(ちなみにドラマのなかでは、<野心がない><競争意識がない><協調性がない>人たちを「ゆとり」世代とし、1987年生まれの人を「ゆとり第一世代」と呼んでいます)。 しかしながら、「ゆとり」ひいては「ゆとり」世代という言葉の理解は、このようなもので正しいのでしょうか。その実態を精査しようとするのが、本書です。本書では、主要メディアで消費される「ゆとり」とは何か(言説分析)、あるいは学習指導要領、PISAテスト、文部科学省などの動向の変遷を取り上げることを通して、「ゆとり」なる言葉が構築・成立していく過程を提示しており、またそれらが教育学の知見としても整理されています。その他にも読みやすいコンテンツも揃い、手に取りやすい文献です。 (ラーニング・アドバイザー/教育 OYAMADA) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1660838

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2016/08/26

今年の新入生から「脱ゆとり」世代だ、と言うような言葉を聞いて自分でも使っていたのだけど、そもそも「ゆとり世代」とか「ゆとり教育」とは何なのか疑問に思っていたので、正確なところを知るために本書を手にとってみた。本書の主張としては、「ゆとり世代」という言葉や言葉の使われ方自体に否定的...

今年の新入生から「脱ゆとり」世代だ、と言うような言葉を聞いて自分でも使っていたのだけど、そもそも「ゆとり世代」とか「ゆとり教育」とは何なのか疑問に思っていたので、正確なところを知るために本書を手にとってみた。本書の主張としては、「ゆとり世代」という言葉や言葉の使われ方自体に否定的であるのだが、そのことの評価や賛否は置いておいてき、世間でいうところの所謂「ゆとり世代」とは、おおよそ「平成生まれ世代」と思ってよさそうです。そしてこの言葉は直接的に所謂「ゆとり教育」によってもたらされた結果と言うよりも、「新人類」とか「団塊世代」というのと同じ<世代論>を反映した呼称であって、教育だけでなくその世代が生きてきた社会背景を反映したものと認識した方が良さそうである。暗記中心の受験戦争への反省と経済成長で手にした豊かさを生活に反映させようと言う背景で登場した「ゆとり」という概念はもちろん平成よりも前から提唱されていたが、ちょうどそれが、週休2日や総合的な学習などの導入による授業数の削減という現実の教育改革、つまり所謂<ゆとり教育>の導入と重なったことで、「ゆとり教育」によって育った<ゆとり世代>と言う考え方に繋がっているようだ。最新のPISAの日本の結果などが上向くとマスコミはすぐに<脱ゆとりで学力が向上した>と言うような記事を書くのだが、その向上した結果はむしろ、ゆとり教育の成果であるのが真実のようである。

Posted byブクログ

2014/12/15

「ゆとり教育」「ゆとり世代」批判は根拠ある正しい認識なのかを、解きほぐす。 ワンパターンな世代論の根拠のなさと危うさに警鐘を鳴らし、「自立し共に生きる力」と「創造的公共的経験」が正しい表現であったとする。

Posted byブクログ

2014/12/07

私の小学校から高校まで学校で習ったことを思い起こしてみると、多くの量を詰め込んでいた感じがあります。討論をしたことはあまり記憶になく、授業ではノートをひたすらとって、テストに追われていたと思います。 それに対して、見直しが議論されて学習内容が結果的に減らされたのが、この本のテー...

私の小学校から高校まで学校で習ったことを思い起こしてみると、多くの量を詰め込んでいた感じがあります。討論をしたことはあまり記憶になく、授業ではノートをひたすらとって、テストに追われていたと思います。 それに対して、見直しが議論されて学習内容が結果的に減らされたのが、この本のテーマである「ゆとり教育」だと認識しています。私には娘が二人いますが、長女が丁度その世代にあたり、4歳下の次女はそれが変革を始めた頃に当たります。 ゆとり教育は否定的に取られることが多いですが、調べたことを発表する授業や、討論を重視する授業の素晴らしさを授業参観で感じたものです。但しそれを見ていて感じていたのは、その授業を行う先生の力量が試されるものだなと感じたものでした。 この本は「ゆとり教育」について書かれた本です。ポイントは国際的に比較した学力データで比較すると「ゆとり教育」前後で学力はそれほど変わっていないようですね。 以下は気になったポイントです。

Posted byブクログ