双子のお・ね・だ・り姉妹 の商品レビュー
パワーUPした官能面を特筆しつつ安定した作風
確かに「おねだり」するいやらしさにも満ちた姉妹ヒロインではあるが、対人恐怖症に陥ってしまって長らく引きこもりがちだったために基本的には受け身な姉と、逆に超がつく肉食系で貪るようなイメージの妹につき、素直におねだりとは若干言い難い印象である。物語におけるフックの役割もあった双子姉妹...
確かに「おねだり」するいやらしさにも満ちた姉妹ヒロインではあるが、対人恐怖症に陥ってしまって長らく引きこもりがちだったために基本的には受け身な姉と、逆に超がつく肉食系で貪るようなイメージの妹につき、素直におねだりとは若干言い難い印象である。物語におけるフックの役割もあった双子姉妹(32歳)なので、読む前から双子であることを表紙カバーイラストやタイトルで知らしめる必要はなかったかもしれない。 しかしながら内容は充実している。 女社長である妹と影の大黒柱である姉の2人が力を合わせて切り盛りしていることも感じさせる会社の女子社員も交えて計4人の女性陣を上手く配置しつつ面白味のあるストーリーが展開されており、それぞれのキャラに加えて社長と社員、あるいは姉妹といった立場によっても主人公(25歳)の本命が相応しいところに落ち着いているのでラヴストーリーとしても筋が通ったものとなっている。 そして、何より今回は官能要素の充実を指摘しておかねばならない。 全体を通して最も数多く交わるのは妹の方で、秘められていたM性を開花させられるのだが、それによって主人公もS属性を有していたことが判明して情交時には主従が逆転する妙味があった。軽いやり取りではあるが、これによって作者が本来的に有する押しに弱いヒロインによる被虐的な官能描写に磨きがかかっていたのは特筆である。ただ、顔合わせ(体合わせ?)を済ませて以降は親密感を出すためか急にぶっきらぼうな姉御肌キャラへ変貌したことに違和感があり、当初の妖艶かつ上品な色気が僅かながら減退したようにも写った。 また、生真面目で奥手な姉との心の交流を経てピュアに結ばれる終盤では、可憐な姉が悶える様に良い淫さが見られ始めたので続きがあればと思っていたのだが、それが絶妙な流れで綴られていて読み手の要望に応えただけでなく、それをきっかけとした妹の乱入による3Pに発展する流れも秀逸だったと思う。 現実と非現実の狭間を突くような超設定が顔を出すのは最近の美野作品ではお馴染みにつきご愛嬌と受け止めることができれば、今回もまた素敵に官能的なラヴストーリーを読ませてもらったという心地に浸れる良作と判断したい。
DSK
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