キリスト教とローマ帝国 の商品レビュー
キリスト教では、神が人を愛するのであるから、人は互いに愛し合わない限りキリスト教徒として神に喜んでもらえないとし、「愛と慈善」は、キリスト教社会の垣根を越えてまで全ての人に広げるべきものとされていた。 ローマは疫病による人口減少により異民族が流入、民族がクレージーキルトのように...
キリスト教では、神が人を愛するのであるから、人は互いに愛し合わない限りキリスト教徒として神に喜んでもらえないとし、「愛と慈善」は、キリスト教社会の垣根を越えてまで全ての人に広げるべきものとされていた。 ローマは疫病による人口減少により異民族が流入、民族がクレージーキルトのようにひしめきあい、都市部は混乱し、文化的混沌と燃え上がる憎悪に満ちていた。後半ローマは、都市のゆがみを抱えていた。 異教とされたキリスト教が生き残ったのは、キリスト教徒の慈善活動が人々を癒し、その強い倫理観が人間性を復活させ、殉教者の自己犠牲を原動力とし爆発的に信者の数が増えたから。 他にも理由があるのだが、なるほど…愛が全ての力なのだと思った。 しかし、多民族をまとめ上げるには、宗教しかないようだと歴史的にも感じた。
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今日もTVはロンドンの15歳の女の子の3人組がISに参加するために英国を出国したらしい、というニュースを報じています。理解の出来ない、なにかが中東で起こっている、そんな夜に読了。もちろん謎のイスラム原理主義と一緒に出来ないのは承知の上で、新興宗教としてのキリスト教は、従来のユダヤ...
今日もTVはロンドンの15歳の女の子の3人組がISに参加するために英国を出国したらしい、というニュースを報じています。理解の出来ない、なにかが中東で起こっている、そんな夜に読了。もちろん謎のイスラム原理主義と一緒に出来ないのは承知の上で、新興宗教としてのキリスト教は、従来のユダヤ教にとっても、ローマ帝国にとっても得体の知れない存在感を醸し出していたのだろう、と想像しました。その新興宗教キリスト教が、なぜ世界宗教に育ったのか、を紀元300年までの初期に焦点を絞って社会科学のアプローチで追求するユニークな書です。全然ジャンルが違うけど、ビッグバンからの3秒間で宇宙の構造は決まった的な、不思議な感動を与えてくれました。偶然と必然の織りなす物語。「神が人を愛するのだから人はお互いに愛し合わない限りキリスト教徒として神に喜んでもらえないという論法」の発明は世界三大発明よりもっと大きな発明だったのかも。それが愛という概念を生み相互依存性をもたらし人間を自由にし、ひいては科学を生み、資本主義を生んだと考えると、今、起こっているイスラム国との軋みは、やはり紀元300年まで遡らないと理解出来ないものなのかもしれないと思いました。
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