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最澄 の商品レビュー

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2021/03/10

本書は「京都・宗祖の旅」と銘打ったシリーズの一冊として登場したという「最澄」をテーマにした一冊だ。既に「空海」をテーマにした一冊は愉しく読了していた。「空海」は「空海に関する読み易い一冊」となっていたが、本書も「最澄に関する読み易い一冊」となっている。 「京都・宗祖の旅」というシ...

本書は「京都・宗祖の旅」と銘打ったシリーズの一冊として登場したという「最澄」をテーマにした一冊だ。既に「空海」をテーマにした一冊は愉しく読了していた。「空海」は「空海に関する読み易い一冊」となっていたが、本書も「最澄に関する読み易い一冊」となっている。 「京都・宗祖の旅」というシーリーズで、永く受継がれる宗派を開いた僧の歩みや人物像、宗派の要諦、所縁の地や京都や周辺の関連寺院を訪ねる紀行という要素が織り交ぜられ、各要素のバランスはシリーズの各本を綴る書き手によって多少の濃淡差が在ってというようなことを思う訳だが、正しくそのとおりな訳だ。本書に盛り込まれている内容は、最澄の伝記的な事項―生い立ち、活動、伝えられている思潮等―と足跡を残した京都周辺の場所(寺)、更に京都や周辺の天台宗の有名な寺に関することということになる。 本書で伝えられる最澄の人物像は?何か「純粋で謙虚な求道者にして理論家」というような感じであろうか。 様々な分野で多彩な事績が在り、後世に教学の上での動きが余り無い程度に完成度が高い教えを残した、何処となく「超人」的で「大師信仰」まで在る空海に対し、最澄は一味違う。最澄御本人と関わった多くの有能な弟子達が活躍し、時代を下っても多くの人達が比叡山に入って学び、現在に受け継がれる所謂「鎌倉新仏教」の宗祖達を輩出している。或る意味、「超人?」という空海に対して「哲人」という、更に「より普通な…」という感を抱くのが最澄だ… 真言宗関係の寺については<真言宗十八本山>の18ヶ寺を訪ねるということをやってみた経過により、立ち寄ったことが在る場所も色々と在る。が、天台宗関係の寺に関しては、本書で挙げられた様々な場所については、訪ねていない、更に知らなかった場所ばかりだ。興味深い情報が得られたことになる。 或いは本書に関しては、「並び称される2人の高名な人物達の一方に親しんでいるが他方をよく知らない…」という問題意識で手にしたので、「より一層興味深い」と感じられたのかもしれない。 こういう「敷居が高い場合も在る?」という事柄を解り易く説こうとするような本は非常に有益だと思う。

Posted byブクログ