日本人なら一度は見ておきたい 民話と伝承の絶景36 の商品レビュー
借りたもの。 「幽玄」をテーマに日本の深い山々の絶景、そこに抱かれる神社仏閣の写真集。その場所に所縁のある民話・伝承と併せて紹介。 ほとんど夏の盛りに撮られた、生命力溢れる緑が鮮やかな森の情景。 それが果たして「幽玄」なのだろうか…綺麗すぎると思っていたが、その土地の物語を読むと...
借りたもの。 「幽玄」をテーマに日本の深い山々の絶景、そこに抱かれる神社仏閣の写真集。その場所に所縁のある民話・伝承と併せて紹介。 ほとんど夏の盛りに撮られた、生命力溢れる緑が鮮やかな森の情景。 それが果たして「幽玄」なのだろうか…綺麗すぎると思っていたが、その土地の物語を読むと、時にひやりとしたり纏わりつく湿気のような水の気配を感じる。 その日本特有の湿度を感じながら写真を眺めると、異界のような雰囲気、人を圧倒する自然が見えてくる。 歴史のエピソード、それに付随した(された)伝説。紹介されているものは短いながらも、それ故に感情移入してしまう。昔話の魅力が伝わってくる。 西行、紫式部、源義経から松尾芭蕉に関する伝承のほか、狸や狐、猿に狼など自然な動物から、山姥に神仏ま で。 主人公たちは運命に翻弄され、理不尽に思ったり、滑稽だったりとそれらドラマが面白い。 『遠野物語』( https://booklog.jp/item/1/404308305X )や『山怪』( https://booklog.jp/item/1/4635320049 )を彷彿とさせる。 有名な人物の物語には、最後に“舞”が出てきて恨みや悲愴を浄化する……能に基づくためかもしれないが、興味深かった。 申し訳ないけど、民話・伝承の魅力は写真家のエピソードを煙に巻いてしまう。 おまけに本のサイズのせいで写真の迫力まで半減している気もするけれど……写真家の山と民話・伝説への情熱が伝わってくる。
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