マイルズ・ディヴィス「カインド・オブ・ブルー」創作術 の商品レビュー
こんなに当時のレコーディングの様子に触れられるとは! 文字から伝わる臨場感で、レコードの音がより身近に感じれる様になった気がする。
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10数年前、図書館で借りて一気読みし、あまりの面白さに購入しようとしたところ既に廃刊となっていることを知り、仕方なく機会があれば原書を読んでみようと考えてそのままにしてしまっていたが、今回思いがけなく書店でリイシュー版を発見、即購入した。当時とジャケとタイトルが違う(当時の方が良...
10数年前、図書館で借りて一気読みし、あまりの面白さに購入しようとしたところ既に廃刊となっていることを知り、仕方なく機会があれば原書を読んでみようと考えてそのままにしてしまっていたが、今回思いがけなく書店でリイシュー版を発見、即購入した。当時とジャケとタイトルが違う(当時の方が良かった)理由は不明だが、ジミー・コブの序文に始まりあとがきに至るまで、内容はほぼ変わっていないようだ。 あの研ぎ澄まされた静謐さに満ちたアルバムが、延べ2日、たったの9時間そこそこで、しかも全曲ほぼファーストトラックで録音されたという事実に改めて驚かされる。さぞメンバーに緊張を強いたであろうが、それは本書に収められた多数の写真からも見て取れる。和気藹々とした雰囲気を感じさせるものも(アダレイを中心に)あるが、特にマイルスとエヴァンスが楽譜を覗き込みながら何やら真剣に打ち合わせをしているところなどは、まるでラボラトリーか軍事戦略室でのそれを彷彿とさせる。 また、後年崇め奉られることになるこのアルバムが意外にぞんざいな扱いを受けている(有名なトラック名取り違え、再発時のジャケットのいい加減な差し替え)ことや、エヴァンスのライナーノーツの真偽などなど、興味深いエピソードも満載。同時期に発表されたオーネット・コールマン「ジャズ来るべきもの」の革新性との比較論も面白い。訳もかなりこなれていて、翻訳物であることを忘れさせるほど読み易い。
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