甘美なる作戦 の商品レビュー
うーん、なんかハーレクインロマンスみたいな小説だった。文章は読みやすく続きが気になって読み進められるんだけど、読後感が何だかなぁという感じ。
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マキューアンは文章が濃い。だから読み飛ばしては意味がない。 深い教養とシニカルな知性に裏打ちされた物語は、どれだけ細部まで自分が読み取れているか考えながら読むのが楽しい。 それでいてストーリーは俗っぽいのよね。 今回も作家と美人スパイの、騙し騙されの恋愛劇だからマキューアンじゃなかったらちょっと読む気になれないところ。そこを読ませる話にするのはさすがだし、挿入されたストーリーの数々が素晴らしく、「この話、ここで書いていいの?もったいない!」っていうくらい面白い。特に双子の兄弟の話と泥棒に入られる話。 意外にハッピーエンドだったのが、ちょっと物足りなかったが、数日間、本当に充実した読書ができた。これを約束してくれる作家ってたくさんはいないから、マキューアンの作品の中では特別好きではないが、良かった。 しかし、これが映画化されたら(『贖罪』もそうだったが)様々な味わい深いディテールは失われ、単なるどんでん返しのある恋愛ものになりそう。映画を見て小説までわかった気持ちになってはいけない作家だと思う。
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ああマキューアン。苦手なのに読んでしまうマキューアン。すっごいメタな小説でした。でも小説ってみんなそうじゃん?と言っているようなこの作品。読みどころはたくさんあって、セリーナみたいに、「自分を投影できるほどほどのリアル感とハッピーエンド」を求めて小説を読むのは邪道なのか? とか、...
ああマキューアン。苦手なのに読んでしまうマキューアン。すっごいメタな小説でした。でも小説ってみんなそうじゃん?と言っているようなこの作品。読みどころはたくさんあって、セリーナみたいに、「自分を投影できるほどほどのリアル感とハッピーエンド」を求めて小説を読むのは邪道なのか? とか、作家の人生がその作品にどれほど反映されているものなのか?とか、著者自身の自虐的な皮肉とか、出版業界のこととか、作中作がおもしろいとか、語りどころは色々。恋愛小説としてはどうなんでしょう?やっぱ変態ばっかじゃない?(笑)
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私には合わない。とにかく合わない。 翻訳が合わないのか原作の文章自体から合わないのか、判然としないけど、両方な気がする・・・。 それ必要?っていう描写が多く感じられて、いちいち気取ったようなまわりくどい文にも辟易。 内容も私には何も響かない。 だいたいにおいてロマンティックとかいうフレーズの本は得意ではなかったのになぜこれを読んでしまったのか後悔が押し寄せる。 主人公の感情移行が伝わってこなかったのが後悔の原因かも。読みながら置き去りにされた印象。 女スパイとしての覚悟もあったのかすらわからなかった。 甘いラブストーリーが好きな人にはいいのかもしれない。
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恋愛小説であり、推理小説であり、仕事小説 何かに分類できない感じ。 そして、なんというか、もってまわったような言い回し 風景や事実にも馴染めず うんんん、ストーリーは面白いけど どうしても、小説の中に入り込めない 最後まで、読んでいて苦痛という珍しさ 読解力がないんだろうなと、本当に思ってしまった すごい挫折感でいっぱいという感想です
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絶賛評が多い。「そうなんだろうな、でも…」と中途半端な気持ちになる。マキューアンなのだからして、すごく凝った小説だ。作中作が興味深かったり、「書くこと」について考えさせられたり、メタ的な仕掛けにもあっと驚かされる。でも、でもさ…。 ヒロインのセリーナに感情移入できなくて、なかな...
絶賛評が多い。「そうなんだろうな、でも…」と中途半端な気持ちになる。マキューアンなのだからして、すごく凝った小説だ。作中作が興味深かったり、「書くこと」について考えさせられたり、メタ的な仕掛けにもあっと驚かされる。でも、でもさ…。 ヒロインのセリーナに感情移入できなくて、なかなか読み進められず、えらく時間がかかった。いや別に主人公に共感できることが小説にとって一番大事とは思わないけれど、共感するにしろ反発するにしろ、その気持ちに寄り添えないと小説の流れにのっていけないのだ。なんでかなあと思うに、やっぱりセリーナが「はっとするほどの美人」だから、ってことなのかも。ちょっと抜けててキュートなんだけど、どうにも「その気持ちわかるなあ」と思えないのよ。
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正直に告白をすると、前半を読みながら冗長な文章に小さく溜息をつくこともあったし、主人公の女スパイ・セリーナに対する微かな違和感をずっと拭えずにいた。この違和感は、一流ではない作家が、自身とは異なる性を主人公に選んだ時に感じる違和感に似ていたので、愚かな事に私はマキューアンはそのタ...
正直に告白をすると、前半を読みながら冗長な文章に小さく溜息をつくこともあったし、主人公の女スパイ・セリーナに対する微かな違和感をずっと拭えずにいた。この違和感は、一流ではない作家が、自身とは異なる性を主人公に選んだ時に感じる違和感に似ていたので、愚かな事に私はマキューアンはそのタイプなのだろうと早合点をした。 しかし最終章を読み終えた時、それら欠点とも言えるポイントに全て意味があったことを知り思わず唸った。そしてこの「甘美なる作戦」は最初の印象とは全く別の、特別な本になっていた――。 結末を読み終え、幸福感と高揚を感じながら、しかし「裏表紙に書いてあったような、『涙が止まらなかった』というほどでは無かったな」などと考えながらその夜は眠りについた。そしてしばらく経ってから、この本が私(あまり勤勉では無く、政治や歴史に関する記述は読み飛ばしがちで、「結婚して幸せに暮らしましたとさ」的な結末を好む主人公セリーナのような“中級の読者”)に向けた作者からのラブレターであった事がふいに胸に染みるように感じられ、本を読む人間としてなんと幸せであったことかと、そこで初めて涙した。 才能に恋するということ。作家を愛するということ。 そして作家から読者への愛と信頼(“中級の読者”の癖に私はこの作家を疑っていたというのに! )。例え70年代の世界情勢にあまり興味が持てない私のような“中級の読者”であっても、この作品を最後まで読み終えた時、素晴らしい読書体験であったと驚くとともに胸が熱くなるはず。 「トリックは好きではない。わたしが好きなのは自分の知っている人生がそのままページに再現されているような作品だ」 というセリーナに、恋人の新進作家トムは「トリックなしに人生をページに再現することは不可能だ」と返す。 まさにこの本を表すに相応しいふたりのやりとり。作家が人生においてたった一度だけ書けるような、優れたメタフィクションではないだろうか。こんなに再読に胸躍らせる本はそうは無い。
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面白かった。 正直、トリックに長けた小説は面白いと感じても、技巧の問題のような気がして、好きではない。 この小説はなんなのか。 読んだ後、頭がこんがらがる。小説全体がラブレター。 セリーナの幼少期から始まる物語なこともあって、かなり感情移入して読んでいた。 そのあたりが、読後に混...
面白かった。 正直、トリックに長けた小説は面白いと感じても、技巧の問題のような気がして、好きではない。 この小説はなんなのか。 読んだ後、頭がこんがらがる。小説全体がラブレター。 セリーナの幼少期から始まる物語なこともあって、かなり感情移入して読んでいた。 そのあたりが、読後に混乱させられる。 その混乱と困惑の余韻に浸るのも、楽しい。
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東西冷戦時代、共産主義に対抗して『動物農場』『1984』を無料で広めるなどスパイ達による情報戦が繰り広げられた!MI5の女スパイと若き作家。冷戦のさなかの甘美な作戦!わくわくしながら読みはじめると…美人で勉強ができるけどおとなしい女学生の思春期が半分近くまでつづく…。初老の教授と...
東西冷戦時代、共産主義に対抗して『動物農場』『1984』を無料で広めるなどスパイ達による情報戦が繰り広げられた!MI5の女スパイと若き作家。冷戦のさなかの甘美な作戦!わくわくしながら読みはじめると…美人で勉強ができるけどおとなしい女学生の思春期が半分近くまでつづく…。初老の教授と一夏の不倫もなんかパッとしない。むしろ妹や友達の方が華やか…。作家との恋愛も普通のOLみたいと見事な肩透かしをくらう。さすがマキューアン!平凡な私の期待をはぐらかしつつ作中作のメタフィクションの世界になっていく。楽しく読みながら、高度なマキューアンの作戦にはまってしまったようだった。
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こういう作家がいるから本を読むのがやめられない。 人生に降り掛かる事件と、それによる感情の揺らぎを描く一方で、最後に読者を「こういうことだったのか」と驚かせてくれる。
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