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国際税務の鉄則30 の商品レビュー

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2015/03/22

本書は、国際税務の決算・申告・税務調査に携わる人間であれば、必ず確認すべき基本的項目を取り扱っている。主に外国子会社合算税制の適用除外基準のところはわかりやすく理解が進んだ。軽課税国又は地域に所在していても、実体のあるビジネスを行っている企業の所得まで合算課税の対象とすべきではな...

本書は、国際税務の決算・申告・税務調査に携わる人間であれば、必ず確認すべき基本的項目を取り扱っている。主に外国子会社合算税制の適用除外基準のところはわかりやすく理解が進んだ。軽課税国又は地域に所在していても、実体のあるビジネスを行っている企業の所得まで合算課税の対象とすべきではない。そこで、次の4要件をすべて充足する子会社は企業実態を有するものとして合算課税の対象外とされている。①事業基準(主たる事業が株式の保有など特定の業種でないこと)、②実体基準(主たる事業に必要な一定の固定施設等を有すること)、③管理支配基準(事業の管理支配を自ら所在地国で行っていること)、④非関連者基準(売上又は仕入において非関連者との取引割合が50%超であること)又は所在地国基準(主たる事業を所在地国内にて行っていること)のいずれかが適用されていること。(注)主たる事業が卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業又は航空運送業の場合は非関連者基準を使用し、主たる事業がこれら以外の事業の場合は所在地国基準を使用。 移転価格税制上の留意点として、国内法人に「海外事業部」といった部門がある場合、その業務内容のうち国外関連者に対する役務提供取引と認められる行為については、合理的にその原価を集計した上で、国外関連者からその対価を収受しなければ、国外関連者寄附金を認定される可能性がある。また、国家公務員又は地方公務員は、国内に住所を有しない期間についても国内に住所を有するものとみなされるため、永住する場合を除き、常に居住者に該当する。 国内源泉所得の留意点としては、役員は単なる労務提供ではなく経営活動を行っていることから、その役務提供地にかかわらず、役員の人的役務の提供は国内勤務として国内源泉所得に該当(所法161ハイ)。一方、その役員がその内国法人の使用人として海外で常時勤務を行う場合には、一般の使用人が国外において勤務した場合と同様に国外源泉所得に該当。 脳腫瘍の摘出手術の権威で有名な某氏は、非居住者であるため日本の所得を除外し、申告していない。このため国税局は調査を実施。某氏が患者や病院との連絡やスケジュール調整を東京都内の医療機器販売会社に担わせていたことから、この会社を某氏の恒久的施設(PE)に認定。非居住者であってもPEを持てば日本で所得額に見合った税率がかかることから、5億数千万円について最高税率(40%)をかけ、源泉徴収分との差額の支払いを求めたとみられる。某氏は取材に対し「日本の所得は申告しなくていいと米国の公認会計士に言われていた。医療機器販売会社はPEではなく、日本ではどの病院からもらったものでも20%を払っている」と話した。しかし某病院の院長は「某氏より米国で申告するから源泉徴収しないでくれと頼まれた」と証言している。

Posted byブクログ