ワイマール時代のユダヤ文化ルネサンス の商品レビュー

M.ブレンナー(著者),上田和夫(訳者)

2016/01/31

ヒトラーがドイツ帝国の総統に指名される1週間前、ドイツ国家の役人とユダヤ人共同体の指導者が、これを最後として大きなユダヤの文化行事を祝うことで合意した。1933年1月24日、ベルリンのユダヤ博物館が厳かな式典と共にその門を開いた。ユダヤ博物館の公式な開館はワイマール共和国の落日期にあたったが、そのルーツは第一次世界大戦に遡る。ドレスデンのユダヤ芸術作品収集家アルベルト・ヴォルフの遺産を元にしたベルリンのユダヤ人共同体の芸術品コレクションは、1917年に初めて一般大衆にも公開された。ユダヤ博物館という概念は新しいもので、非常に非宗教化したユダヤ人共同体でのみ可能なものであった。伝統的社会では儀式用の物品の展示にはほとんど関心がなく、それらの物品はシナゴーグや家庭でのみ使われた。もう使われなくなった物品を置く場所は、ゲニーザ、すなわちシナゴーグの中の古い本や儀式用の品物を置いておく倉庫であった。