王道の狗(文庫版)(1) の商品レビュー
自分はどうしたわけかアイヌものに非常に弱いため、本来は和人の主人公が最後までアイヌのマタンプシ(鉢巻き)を巻いて戦い抜いたというだけでもう胸がいっぱいです。星5つでも足りないくらいです。なお、山田風太郎の明治ものに『幻燈辻馬車』という傑作がありますが、時代的には丁度その後から物語...
自分はどうしたわけかアイヌものに非常に弱いため、本来は和人の主人公が最後までアイヌのマタンプシ(鉢巻き)を巻いて戦い抜いたというだけでもう胸がいっぱいです。星5つでも足りないくらいです。なお、山田風太郎の明治ものに『幻燈辻馬車』という傑作がありますが、時代的には丁度その後から物語が始まりますので、『幻燈辻馬車』を読了している方には一層楽しめると思います。 本著の見どころの1つは大東流合気柔術の伝承者、武田惣角の格好良さでしょう。記録によると彼は身長150cm程度の小兵だったといいますが、それにも関わらず神懸かった武術を自在に操り、その上言動の一つ一つが非常に格好いいのです。同じく安彦良和氏の近代史もの『虹色のトロツキー』に登場する植芝盛平は、武田惣角の技を一目見るなり惚れ込んで弟子入りしたといいますが、さもありなんというキャラクラーです。つまり、植芝盛平は本著の主人公「貫真人」の弟弟子ということになりますが、そういった人物が今度は『虹色のトロツキー』に颯爽と登場し、主人公を導く役回りを演じたのだと思うと何やら感慨深いものがあります。
Posted by
- 1