原発とどう向き合うか の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
図書館。図書館にあるエネルギー関連、原発関連の本を順番に読み進めている。こちらは原発肯定側の本。 原発関連の情報を追っていると、専門家の間でも意見が割れている問題であること、現在だけではなくこれまでの電力や立地地域の歴史、そして経済、政治、外交と、多くのことが絡まり過ぎていることから、素人の自分においそれと是も非も判断できることではないという思いが大きくなる。あの事故があり、事故時の対応に苦しんで、でもまさにその現場で問題に向き合い続けた、そして現在も向き合い続けている人がいること。当時の福島の現場の様子や現場と東京の政府間でなされた会議の様子を見て、もう、こんなの誰が指揮をとっても人間に対処しきれるものではないし、そんな状況でも対処する人は必要で、もう二度とこの状況に誰かを立たせるなんて、それはできないと思った。 でも、現在の状況だと脱原発は難しいという、それが現実だという声もある。なら、エネルギーはどうするんだ?と。はたまた、京都の安田陽先生のように、再エネで賄うことは可能だと言う専門家もいる。 今現在(2021/1月)起こっている電力需給の逼迫も、LNGのこと、原発のこと、再エネのこと、天候のこと、さまざまな要因が重なって起こっているようだ。現在の日本の電力供給体制は現場で頭と体を振り絞って向き合ってくださっている方々がいるからこそ成り立っていることを、リアルタイムで感じた。素人の目線ではあるけれど。 新電力が政府へ救済を求めているようだし、それで政府が救済したら、電力自由化の意味は?それは良いところ取りなのでは?と、素人の私から見るとそう見えてしまう。発電所を持っている側が割に合わないのではないか。それとも、発電所を持っている側へのサポートは、手厚くするor既に手厚いということ? 最近だと、原発事故の裁判の結果は、政府が責任を放棄し東電に責任を背負わせているように見えた。(原発事故、東京高裁は国の責任否定 東電だけに賠償命令…2021/1/21)原発は国策。だけど、責任は東電。うーん。。。 エネルギーを、実際に作り出すのは電力会社だとしても、政策の方向は国としてビジョンを持って国が先頭をきらないとまとまらないし、じゃあ、その国としてそのビジョンを作るための資源エネルギー庁が、全ての責任の長なのか?方向だけ決めて、具体的に動くのは電力会社と地方自治体??リーダーがわかりずらい。まだまだ自分がわかっていないことは多い。本と並行して、資源エネルギー庁のホームページに掲載されている資料に目を通さないと。 引き続き情報を追っていきたいし、追いながら、じゃあ自分は具体的な行動として何をしていけば良いのか。学びつつ、引き続き今はデータベース周りの技能をを仕事にできるレベルに上げて、そして今年中に仕事につなげるのが直近の目標。できれば、エネルギー関連で。 本書については、取り上げられている数字や事柄について、自分で情報源を追ってみてそれを分析してみないと理解できないよな、という点が多々あった。購入して、分析の勉強の材料にしてみよう。それぞれの章で対談している方々のそれぞれの立場や著作も合わせて確認しつつ読んで相関図を書きつつ読んだほうがよさそう。 本書の東大原子力の澤田先生、そして本書には出てこないが京大風力の安田陽先生、東大エネルギー岩船先生、そしてエネルギーコンサルの大場紀章さんや斎田真里さんの発信、Twitterで拝見するエネルギ関連の意見、色んな発信を行き来する中で自分なりの意見をそのときそのときで持っていくのが今できることなのか。そうして頭は素人ながらに自分の知見を持てるよう勉強しつつ、手と体を動かす方向でも、自分にできることを積み上げていくしかない。 2021/1/23
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これまで御用学者と言われ非難されてきた人たちの座談会。学者と政治と東電とがどのように関連しているか知るのは興味深かった。 けれど、原発反対の小泉さんや管さんを夢物語を語る人たちとして批判している、そのやり取りがまるで居酒屋トークのようで、信頼性に欠けるなと感じました。(小泉政権時...
これまで御用学者と言われ非難されてきた人たちの座談会。学者と政治と東電とがどのように関連しているか知るのは興味深かった。 けれど、原発反対の小泉さんや管さんを夢物語を語る人たちとして批判している、そのやり取りがまるで居酒屋トークのようで、信頼性に欠けるなと感じました。(小泉政権時代の政策を全否定してみたり。) あくまで冷静で客観的な発言で貫かれていたらよかったのですが。
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再生可能エネルギーの先進国であるドイツでは、今も原発で20%ほどの発電量を確保しつつ、様々な電気をフランスやベルギーから買い、火力発電もある。良質な石炭が出るルール炭田があるので、火力発言のために石炭を大量に焚き、風力発電を補うために同じ容量の火力発電所を作って安定電源を確保して...
再生可能エネルギーの先進国であるドイツでは、今も原発で20%ほどの発電量を確保しつつ、様々な電気をフランスやベルギーから買い、火力発電もある。良質な石炭が出るルール炭田があるので、火力発言のために石炭を大量に焚き、風力発電を補うために同じ容量の火力発電所を作って安定電源を確保している。 4~50年後に原発をなくすという選択肢はあって良いが、今後10年を考えると原発を動かさなければ再生可能エネルギーは普及しない。日本のエネルギー自給率は4%、石炭ももウランもLNGも輸入に頼っている。
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原発について新聞などでは得られない情報が多く、興味深かった。 知識を得る以上に考えさせられたのは、リスク管理の姿勢について。日本人はとにかくリスクの大小に関わらずリスクを最小限にすることにこだわるという意見に納得。しかも特定のリスクしか見ておらず、そのリスクを最小にするために他の...
原発について新聞などでは得られない情報が多く、興味深かった。 知識を得る以上に考えさせられたのは、リスク管理の姿勢について。日本人はとにかくリスクの大小に関わらずリスクを最小限にすることにこだわるという意見に納得。しかも特定のリスクしか見ておらず、そのリスクを最小にするために他のリスクを増大させているという。原発やその他の危険性が高いもの(例としてBSEの全頭検査があげられていた)にとどまらず、日本人の生活全てに影響していると思う。私達は完璧にこだわるあまり、もっと大事なものを犠牲にしていないだろうか?少し脱線するけど、無駄な残業が多いのも根本原因はそこから来ているのでは。 印象に残った箇所は「DNAは「想定外」を持たない究極の危機管理マニュアル」。
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「ただちに原発ゼロ」というのに反対する科学者たち(=原発ゼロ推進者からは”御用学者”といわれる)の対談集. きわめてlogicalだと思う.よく言われる,①自然エネルギーの問題点=コスト,不安定さ,backup電源が必要,②火力発電にたよった場合のdisadvantages=やは...
「ただちに原発ゼロ」というのに反対する科学者たち(=原発ゼロ推進者からは”御用学者”といわれる)の対談集. きわめてlogicalだと思う.よく言われる,①自然エネルギーの問題点=コスト,不安定さ,backup電源が必要,②火力発電にたよった場合のdisadvantages=やはりcost, 輸入に依存する弱み,温暖化をどうする?,③原発のリスクに情緒的に反対するだけでなく,benefitsもみなくては,④除染などの規制は無意味に厳しすぎる,などを述べている.さらに⑤不安を煽るメディアや政治家を批判し,⑥被ばくも,細かくわけて被ばくするほうが安全(=シングルヒットを毎回1本,9回まで打たれても点は入らぬが,1回の攻撃で集中打をあびると被害甚大,⑦DNAの修復能,などについても述べている. ⇒全体的にとても共感できる意見である.
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