医学は歴史をどう変えてきたか の商品レビュー

アン・ルーニー(著者),立木勝(訳者)

2022/06/01

サブタイトルに「古代の癒やしから近代医学の奇跡まで」とあるように、古くからの医学を追っていく本。

図版も多く、驚きのオールカラーである。なにか、中学や高校で使う資料集の雰囲気がある。

そんなわけで、決して難解なつくりにはなっていないのだけど、どうも引っかかる。「歴史をどう変えてきたか」という切口が、どうにも掴みにくいのだ。

もっと、ひとつひとつの発見・発明が、あの英雄の命を救ったとか、戦争を終わらせたとか始める原因になったとか、そういうドラスティックな話を勝手に期待していたのだが、ひたすらに医学の進歩を刻んでいく。その進歩と広がりが、まあ歴史といえば歴史であるか。

そもそも横書きであるから、あまり読みものとして考えるよりも、資料集的にとらえたほうがいいのだろうか。けれど、見出しが少しポエジーで、やっぱり読ませる本なのだと思う。何らかの軸を見つけて読めれば楽しいはずだ。