空海 真言宗 の商品レビュー
「京都・宗祖の旅」と銘打ったシリーズの一冊として登場したという「空海」をテーマにした一冊だ。シリーズとして登場している作品に関して視れば、所謂「〇〇宗」という仏教の各宗派の開祖とされる高僧達の名が並んでいることを知った。が、それはそれとして「空海に関する読み易そうな一冊」と思って...
「京都・宗祖の旅」と銘打ったシリーズの一冊として登場したという「空海」をテーマにした一冊だ。シリーズとして登場している作品に関して視れば、所謂「〇〇宗」という仏教の各宗派の開祖とされる高僧達の名が並んでいることを知った。が、それはそれとして「空海に関する読み易そうな一冊」と思って入手した。その判断は間違いではなかった。 本を紐解く前に、「京都・宗祖の旅」ということで、永く受継がれる宗派を開いた僧の歩みや人物像、宗派の要諦、所縁の地や京都や周辺の関連寺院を訪ねる紀行という要素が織り交ぜられ、各要素のバランスはシリーズの各本を綴る書き手によって多少の濃淡差が在ってというようなことを思った。実際、思ったとおりであった。 本書は史伝小説風な筆致で、空海という人物の歩み、唐での経験を経てもたらすことになる真言宗と彼との出会いや、真言宗の教団を形成して行く中での諸々の活動のこと、“大師信仰”というような特異な状況になって行くこと等々が綴られ、所縁の地や真言宗各派の京都に在る有名寺院への紀行という要素が加えられている。 空海という人物の歩みということに関して、本書の史伝小説風な筆致は判り易く、非常に好かったと思う。 加えて本書は真言宗系の京都に在る寺院である醍醐寺、随心院、勧修寺、泉涌寺、仁和寺、大覚寺、智積院というような場所への紀行という部分も在るのだが、それらも好い。 昨年辺りから個人的に関心が高まっている「空海」なのだが、好い一冊に出遭えた。広く御薦めしたい。
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恵果阿闍梨との邂逅により密教の正統を継ぎ得たという日本仏教にとっての僥倖。小説風台詞あり。空海ゆかり及び真言宗の寺について。
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