逢坂の六人 の商品レビュー
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日本初の勅撰和歌集『古今和歌集』の仮名序に登場する六人の歌人(六歌仙)たち。 執筆者である紀貫之と六人の交流を描いた物語。 「やまと歌は、人の心の種として、よろづの言の葉とぞなれりける。花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」 貫之の信念「やまとの心には、やまとの歌」。 時代を幾つ越えてもなお、やわらかく心に響くやまとの言霊に触れ、新年早々優雅な気分に浸れた。 この時代ならではの腹黒い駆け引きも悲恋も、全てが夢うつつに煌めくのだから不思議。 時勢からはずれた者たちが集った逢坂山。 綺羅びやかな都からはずれ、夢もやぶれ、そうして溜まった鬱憤も歌に込めれば人びとの心により一層深く入り込む。 なんと悲しき性。けれど人びとの心を捉えるのはそんなはずれの歌ばかり。いつの世も人びとにリアルに寄り添えるのはそんな歌。 「たとひ時移り、事去り、たのしびかなしびゆきかふとも、この歌の文字あるをや」 貫之の記した通り、時代が過ぎ流行り歌や流行り言葉が目まぐるしく変わろうとも、いつの世も人の心を掴む古のよき歌は、この先も変わらず残っていくことよと思った。 周防柳さんはこれが初読み。これからも追いかけたくなる作家さんに出逢えて嬉しい正月だった。 昨年のこの時期に読んだ川上弘美さんの『三度目の恋』を思い出す。在原業平の悲恋のお話。あの話を深く掘り下げて読めたのが嬉しい。 この時代の恋物語は現代と違って奥深い。表面だけでは分からない裏面がある。それもまた楽し。
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簡単に言ってしまうと、紀貫之と六歌仙のお話。紀貫之といえば『土佐日記』の作者であることは覚えてたけど、『古今和歌集』の撰者であったことはすっかり忘れていたので、そもそもその時点で目から鱗(笑)そして、小野小町や在原業平と同時代の人なんだな~ということを実感できるところが小説のいい...
簡単に言ってしまうと、紀貫之と六歌仙のお話。紀貫之といえば『土佐日記』の作者であることは覚えてたけど、『古今和歌集』の撰者であったことはすっかり忘れていたので、そもそもその時点で目から鱗(笑)そして、小野小町や在原業平と同時代の人なんだな~ということを実感できるところが小説のいいところなのかしらね、とも。当時の和歌はやはり難しくて凡人にはなかなか理解できず、なぜあの六人が”六歌仙”なのかずっと分からなかったけど、ナルホドこういう切り口もアリか!ちいひめスゲェ!と思ったですよ。歴史物語としても面白いし、登場人物がそれぞれ個性的なのでその点でも面白い。特に壬生忠岑と凡河内躬恒のコンビは最高ですな(笑)
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醍醐帝の御代、道真を放逐した時平に和歌集編纂を命じられた紀貫之。序文執筆に悩みながら、想いを馳せた幼少期…の内の、後の六歌仙らの語りがメイン。 登場人物は多いが、百人一首でお馴染みの人達ばかり。しかし、50歳過ぎの小野小町は完全に婆扱い…やな時代だわあ(笑) 地味ながら、黒主の天智・天武の因縁話が面白い。 圧巻は、幼いながらも利発な貫之と、晩年の僧正遍昭の絡み。対決でも成敗でもなく絶妙。 僧正遍昭が仁明帝の寵を受けたのは史実だろうけど、双子の弟…は流石にやり過ぎな感が。ましてや仏像の胎内で幼い貫之に悪戯とは、かなり罰当たり。
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主人公は平安時代の歌人・紀貫之。時の帝から勅撰和歌集の選者として選ばれ、序文の執筆のため宇治の邸に籠っている。その彼の幼少の思い出が主に描かれている。 彼は幼少の時、在原業平、小野小町など、当時の有名な歌人たちと過ごし、影響を受けてきたという設定が面白かった。それを生かし、彼の他の作品、土佐物語や伊勢物語を書くんだと我が子に語るところまで繋がっているのも面白い。
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紀貫之は新しい勅撰集の撰者となり、その誉れに喜びながらも、政治に振り回されているようなわだかまりも感じる。そんな中、子どもの頃に出会った現在「六歌仙」と呼ばれる人々とのことを回想する。そして自分の好きな歌を選んで序文を作成する。個性的な六歌仙と『古今和歌集』の撰者紀貫之との交流の...
紀貫之は新しい勅撰集の撰者となり、その誉れに喜びながらも、政治に振り回されているようなわだかまりも感じる。そんな中、子どもの頃に出会った現在「六歌仙」と呼ばれる人々とのことを回想する。そして自分の好きな歌を選んで序文を作成する。個性的な六歌仙と『古今和歌集』の撰者紀貫之との交流の物語。
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「六歌仙」に関する小説。 紀貫之を主人公に、『古今和歌集仮名序』を書く過程を使いつつ、”六人”を描き出す。 『土佐日記』や『伊勢物語』(貫之作の説をとる)の成立もちらついていて面白い。 「六歌仙」ってなんなんだろう?=貫之の心に残る歌人である、というのが無理なく理解でき、面白かった。 天智・天武までさかのぼって語られる部分もあり、読み応えはある。 しかし、最近はめっきり「天智・天武異父兄弟説、天智が兄」というの主流だなぁ…。
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この作者の本は初めて。 六歌仙の話で主人公は紀貫之。この時代に限らず歴史ものは登場人物の年齢差がよくわからない。業平が40上、道真が20上、紫式部は100年後の人。 第三章までは個性的な大人たちと利発な少年の心温まる交流という感じで面白かった。けど四章でん、SF?となり六章で人外...
この作者の本は初めて。 六歌仙の話で主人公は紀貫之。この時代に限らず歴史ものは登場人物の年齢差がよくわからない。業平が40上、道真が20上、紫式部は100年後の人。 第三章までは個性的な大人たちと利発な少年の心温まる交流という感じで面白かった。けど四章でん、SF?となり六章で人外?でついて行けなかった。
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古典の授業してると、 つくづく器用だよなーと思います。 一番は定家ですけど。 六歌仙と貫之の思い出話。 かの有名な仮名序の評価から よくこんな話を思いつくよなー。 一つ一つの話でキャラが濃いので面白い。 遍照とか……大変だわ(笑) なんというか、 すっごくキャラの濃い先輩が引...
古典の授業してると、 つくづく器用だよなーと思います。 一番は定家ですけど。 六歌仙と貫之の思い出話。 かの有名な仮名序の評価から よくこんな話を思いつくよなー。 一つ一つの話でキャラが濃いので面白い。 遍照とか……大変だわ(笑) なんというか、 すっごくキャラの濃い先輩が引退した後の 後輩が貫之という感じ。 だから、歴史ものなのに何だか身近に感じます。
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とてもおもしろかった! 貫之と六歌仙(在原業平、小野小町、大友黒主、文屋康秀、僧正遍照、喜撰法師)のお話。 小ちゃい貫之が、めちゃ可愛い。 古今集を始めから順に読んでみたくなる。
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