バンヴァードの阿房宮 の商品レビュー
一世を風靡したものの今は忘れられた13人についてのドキュメンタリー。言い換えればスケールの大きい『あの人は今?』とも言えるのか(みんな死んでるけど)。 しかし一世を風靡しただけあって、取り上げられている人物は皆、それなりにユニークで、情熱があって、行動力もあった(ディーリア・ベー...
一世を風靡したものの今は忘れられた13人についてのドキュメンタリー。言い換えればスケールの大きい『あの人は今?』とも言えるのか(みんな死んでるけど)。 しかし一世を風靡しただけあって、取り上げられている人物は皆、それなりにユニークで、情熱があって、行動力もあった(ディーリア・ベーコンなんて、あの時代で、更に女性という立場を加味すると、相当なものだろう)。結果が伴わなかっただけで、人間としてはけっこう魅力的なんじゃないだろうか。
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生まれた時代が悪かったのか、運が悪かったのか、一世を風靡しながらも世界を変えることができず、歴史に埋もれてしまった13人のポートレート集。地球空洞説、音楽言語、空圧式地下鉄………etc、珍説、奇説や贋作、詐欺師のオンパレード。紹介される彼らの人生は奇想天外で、滑稽であり、哀しくも...
生まれた時代が悪かったのか、運が悪かったのか、一世を風靡しながらも世界を変えることができず、歴史に埋もれてしまった13人のポートレート集。地球空洞説、音楽言語、空圧式地下鉄………etc、珍説、奇説や贋作、詐欺師のオンパレード。紹介される彼らの人生は奇想天外で、滑稽であり、哀しくもある。まさに事実は小説より奇なり。
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シェイクスピア人気。贋作を書いたアイアランド、奇天烈なロミオを演じたコーツ、実在しないと思い込んで狂ってしまったベーコンと、関連の人が3人も登場。オルコットの父、ホーソン、エマソン(私どうもこの人いんちきな気がする)など、南北戦争の頃の米国の文人たちがそこここに登場するのも面白か...
シェイクスピア人気。贋作を書いたアイアランド、奇天烈なロミオを演じたコーツ、実在しないと思い込んで狂ってしまったベーコンと、関連の人が3人も登場。オルコットの父、ホーソン、エマソン(私どうもこの人いんちきな気がする)など、南北戦争の頃の米国の文人たちがそこここに登場するのも面白かった。この時代のアメリカってそういう怪しげな空気に満ちてたのかもしれない。コンコード種を作ったブル、ソレソ語を作ったシュドルが印象深い。
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サブタイトルの通り、この本に出てくる13人は、今の時代から見ると「世界を変えなかった13人」である。13! キリスト教圏で言うところの不吉な数字の彼らは、だいたいの場合「えっ何言ってるの、バカなのあなたたち」と言いたくなるようなことを大言壮語している人である。 なんだろうなぁ...
サブタイトルの通り、この本に出てくる13人は、今の時代から見ると「世界を変えなかった13人」である。13! キリスト教圏で言うところの不吉な数字の彼らは、だいたいの場合「えっ何言ってるの、バカなのあなたたち」と言いたくなるようなことを大言壮語している人である。 なんだろうなぁ。地動説だったりフロギストンだったり錬金術だったりエーテル的な。 最初は、このネタで13人読むのは辛い、と思っていたのだけれど、読み進むうちに感じるのは「あれ? でも私がいま正しいと思っていることは、後世にどれだけ正しいとされるのだろうか」と言うこと。 それくらい、彼らは当時の人々に熱狂的に受け入れられている。 解説でSTAP細胞について触れられていたが、私はむしろベストセラー作家を思い浮かべた。誰もが「新しい、革新的だ」ともてはやし、買い求め、しかしながら、1年も過ぎる頃にはブックオフの100円コーナーですら売られない。10年過ぎる頃にその作家を読んでいると言えば「え? あの○○の?(失笑)」と言われる始末。 世の中の流行り廃りや正しさっていうのに、絶対はないなぁと感じたいしだいです。 私が一番惹かれたのは、一生涯ニセモノの台湾人として生きた「ジョージ・サルマナザール」がどうしようもなく魅力的である。本名が分からないと言うところがまた、ミステリ的にはたまらない。
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三浦しおんかなんかが、絶賛していたので読んでみた。 正史には、名を残さなかった歴史上のトリックスターたち13人の伝記。小説家にとっては事実は小説より奇なり的に非常に興味深いのだろう。 シェイクスピアの贋作者による未発見劇の発見、空気圧地下鉄がもう少しでNYに開通しそうになった話...
三浦しおんかなんかが、絶賛していたので読んでみた。 正史には、名を残さなかった歴史上のトリックスターたち13人の伝記。小説家にとっては事実は小説より奇なり的に非常に興味深いのだろう。 シェイクスピアの贋作者による未発見劇の発見、空気圧地下鉄がもう少しでNYに開通しそうになった話、など面白いがそれ以上のものはないという感じ。
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歴史に名前を残し損なった人や、元から残すべきではないことで危うく残しそうになった人々について書かれています。 愚かな人たちだ、と笑い飛ばすこともできるでしょうが、作者は、そういう視線で取り上げた人々を見ていません。 成功こそ正義、という考え方は素晴らしい物事を生み出すかもしれませ...
歴史に名前を残し損なった人や、元から残すべきではないことで危うく残しそうになった人々について書かれています。 愚かな人たちだ、と笑い飛ばすこともできるでしょうが、作者は、そういう視線で取り上げた人々を見ていません。 成功こそ正義、という考え方は素晴らしい物事を生み出すかもしれませんが、多くの正義ではない存在があってこそ成功者とは生まれるのだ、ということと、では成功出来なかった人たちを私は笑うだけで良いのか、と考えさせられました。少なくとも私にはこの人たちのように失敗するまでの舞台に進む才能はないのです。
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面白いぃぃぃ~!! 一躍時の人となりながらも、たちまち見向きもされなくなり、歴史に名を残すことなく忘れ去られてしまった、そんなちょっと切ない13名の人々について書かれた本です。 「歴史の脚注の奥に埋もれてしまった人々。傑出した才能を持ちながら致命的な失敗を犯し、目もくらむよう...
面白いぃぃぃ~!! 一躍時の人となりながらも、たちまち見向きもされなくなり、歴史に名を残すことなく忘れ去られてしまった、そんなちょっと切ない13名の人々について書かれた本です。 「歴史の脚注の奥に埋もれてしまった人々。傑出した才能を持ちながら致命的な失敗を犯し、目もくらむような知の高みと名声の頂点へと昇りつめた後に破滅と嘲笑のただ中へ、あるいはまったき忘却の淵へと転げ落ちた人々。そんな忘れ去られた偉人たちに、僕はずっと惹かれつづけてきた。」 13名それぞれ高みから失墜したといっても、地球空洞説のジョン・クリーヴズ・シムズや、存在しないN線の発見者ルネ・ブロンロ、これまたそんなものはない青色光のさまざまな効能を発見したオーガスタス・J・プレゾントンとか、父親を喜ばせようとシェークスピアの贋作りを続けたウィリアム・ヘンリー・アイアランドや、偽台湾人として時の人となったジョージ・サルマナザールなど、端から間違っていたり嘘であったにもかかわらず、世間から受け入れられもてはやされてしまったが故に失墜した人々がいれば、巨大な長い長いキャンバスにミシシッピ川の岸の風景を描き、それを巻き取りながら見せることで観客に川の旅を楽しませることが出来る、そんなパノラマ装置を作り出したバンヴァードや、ニューヨークで空圧式の輸送機による地下鉄を計画し、着々と準備も進めたアルフレッド・イーライ・ビーチ、音による言語体系を作り出したジャン・フランソワ・シュドルなど、大変な労作、すごい物で注目されるも、時代の流れに乗り続けることができず失墜した人々もいて、その失墜ぶりは様々です。 他にも、消費されすぎたために陳腐化してしまった詩人マーティン・ファークワ・タッパーとか、色々斬新すぎたために話題にはなるも評価されなかった俳優ロバート・コーツとか、才能に恵まれていながらも、シェイクスピアがウォルター・ローリーとエドマンド・スペンサーとフランシス・ベーコンの共同のペンネームだった説にとらわれ狂気に陥ったディーリア・ベーコンとか…… とくに切ないと感じたのが、非常に苦労して北米の地で栽培できる美味しい葡萄、コンコードを作り出したイーフレイム・ブルのむくわれなさ。国中で栽培されるようになり、様々な人に利益をもたらすも、ブルには最初の頃に売れた挿し木の代金しかもたらさなかったという悲劇。この方の墓碑銘は、「彼が種をまいた 他の人が収穫した」なのだそう。 登場する全ての人が偉人というわけではないですが、良くも悪くも突出した人物ぞろい。そんな人物達を紹介するこの著者の語りは非常に巧みで、どの章も一篇の巧みな小説を読んだような驚きに満ちた充足感が得られます。お勧めです!
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