首都水没 の商品レビュー
著者には『水害列島』という近著もあるが、2019年の九州北部豪雨、台風15号、台風19号と水害が続いた頃に手に取ったのが、2014年出版の本書である。そもそも日本の雨量は世界平均の2倍であり、そして江戸・東京は周囲の山岳地帯から河川が集中する地勢。加えて、都市化による地盤沈下と地...
著者には『水害列島』という近著もあるが、2019年の九州北部豪雨、台風15号、台風19号と水害が続いた頃に手に取ったのが、2014年出版の本書である。そもそも日本の雨量は世界平均の2倍であり、そして江戸・東京は周囲の山岳地帯から河川が集中する地勢。加えて、都市化による地盤沈下と地球温暖化による海面上昇が、東京を世界一災害リスクの高い都市にしている。長年土木治水行政に携わり、首都東京の危険性について警鐘を鳴らしていた著者が、災害とともに生きるための知恵、「災害文化」の継承と創造について考える。因みに、文中では言及されていないが、本書『首都水没』は小松左京『首都消失』、更に『水害列島』は映画『地震列島』を文字っていると思うのは私だけだろうか。
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IPCCによれば「東京・横浜地区は世界一自然災害リスクの高い都市」。地震による津波だけでなくゲリラ豪雨、大型台風による高潮、東京の歴史に基づく構造的なリスク、災害対策の要諦など。東日本大震災、昨年の広島土砂災害のニュースに触れた時と居住地域の歴史とリスクを学ぶ必要性を感じていたが...
IPCCによれば「東京・横浜地区は世界一自然災害リスクの高い都市」。地震による津波だけでなくゲリラ豪雨、大型台風による高潮、東京の歴史に基づく構造的なリスク、災害対策の要諦など。東日本大震災、昨年の広島土砂災害のニュースに触れた時と居住地域の歴史とリスクを学ぶ必要性を感じていたがここでそのための良書に出会え以前ゼロメートル地帯に感じたリスクを解説され腹落ちした。またアメリカがハリケーン・カトリーナの後国家としての対応方法を短期間のうちに改善している事が印象的である。
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先日の西日本豪雨のこともあり、積本していた水害関係の新書三冊を連続して読んだ。 三冊ともに共通しているのは、江戸時代の利根川東遷事業が首都圏の水害リスクを高めたと主張している。 本書は東京の水害の歴史から、もともと東京が水害に弱いことを指摘し、スーパー堤防やダムによる治水...
先日の西日本豪雨のこともあり、積本していた水害関係の新書三冊を連続して読んだ。 三冊ともに共通しているのは、江戸時代の利根川東遷事業が首都圏の水害リスクを高めたと主張している。 本書は東京の水害の歴史から、もともと東京が水害に弱いことを指摘し、スーパー堤防やダムによる治水を主張する。
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歩道橋はまるで滝のよう。マンホールからは噴水のように 水が吹き上がり、住宅街の路地にはにわかに川が出現する。 近年のゲリラ豪雨や台風の際に見られる都市での洪水の 風景だ。 東京は雪に弱いと言われるけれど、それは雪が消えたら 自然と解消する。だが、水害はどうだ?水浸しになった 家...
歩道橋はまるで滝のよう。マンホールからは噴水のように 水が吹き上がり、住宅街の路地にはにわかに川が出現する。 近年のゲリラ豪雨や台風の際に見られる都市での洪水の 風景だ。 東京は雪に弱いと言われるけれど、それは雪が消えたら 自然と解消する。だが、水害はどうだ?水浸しになった 家屋は再建するのに時間がかかる。堤防が決壊でもすれば、 修復作業には多くの労力と時間を要するだろう。 本書は東京都の職員として主にまちづくりの仕事に携わって 来た著者が、江戸時代からの水害を引きながら、自然災害に 対する首都機能の脆さを指摘している。 歴史をさかのぼって河川の付け替えや放水路の開削がどの ように行われたか。過去の水害でどれほどの被害があったの か等は勉強になった。 また、祖先たちが自然災害に対して残した言葉に多くの 警告が含まれていることは、改めて考える必要があると 思う。 だが、その先人の言葉を無視して本来なら人が居住するに 適さない場所だったところにも現在は家屋が密集している と指摘するのはどうなんだろう。 明治時代と現在では人口が違うと思うんだよね。しかも、 東京都は今でも湾岸エリアの開発が進み、高層マンションが ぼこぼこ建っている。しかも売れているらしい。お高いんで しょうに、お金があるとことにはあるのね。あ、これは 貧乏人のひがみですけど。 東日本大震災以降、富士山が噴火したらとか、南海トラフ 地震が起きたらとか、首都直下型地震が起きたらとか、 シミュレーションをして恐怖を煽るようなテレビ番組が 多く放送された。 では、どうしたらいいのか。その具体策ってないんだよね。 「こんな大変なことになりますよ。だから備えておきましょう」 といわれても、精々防災グッズを揃えるくらい。あとはハザード マップのチェックかな。 本書もそうなんだよな。結局、頑丈な堤防を作りましょうって ところへ落ち着いちゃう。それって、個人ではどうにもならない ことだよね。自治体の問題。スーパー堤防は無駄って言っていた のは民主党政権時代の事業仕分けだっけ。 江戸はその昔、多くの川が流れる水の都だった。それでも何回 もの水害に苦しめられた。その川を、都市開発の為に暗渠にし、 水を吸収して行くれるはずの土の道をアスファルトで固めた。 これはもう、どうにもならないんじゃないかな。せめて早い 時間に安全な場所に避難するのがせいぜいだろう。だって、 著者が都の職員時代、実際にどんな水害対策を考えたまち づくりをしたのかなんて記されていないんだもの。 ちょっとおまけ。昔、江戸川区新川周辺は果樹園が多くあった そうだ。名産は「新川梨」。ところが大正6年の水害で畑は 壊滅状態。この時、多くの農家が水害の被害を受けない高台 の地を求めて千葉県へ移転したのがきっかけで、船橋等が 梨の産地になったとか。 知ってた?ふなっしー??
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タイトルが少し刺激的ぽくてあれだけれど、 内容は、 首都圏大規模水害のリスク(江戸期の河道付け替えも踏まえて...)、 気候変動(適応策の重要性)、 東京東部のゼロメートル地帯の高潮や"地震洪水"リスク、 山の手のゲリラ豪雨リスクとXRAIN、 さらには、過去...
タイトルが少し刺激的ぽくてあれだけれど、 内容は、 首都圏大規模水害のリスク(江戸期の河道付け替えも踏まえて...)、 気候変動(適応策の重要性)、 東京東部のゼロメートル地帯の高潮や"地震洪水"リスク、 山の手のゲリラ豪雨リスクとXRAIN、 さらには、過去の大水害から学ぶこと(まちづくりにもいかすこと)の重要性、 といった、バランスがとれている網羅的な内容で、かつひとつひとつの事項の記述がわかりやすいし適切。 「東京」を切り口にして、水害とか川とかについての基本を学ぶ入門書として、とてもよいのでは、と思った。 (若手職員むけ勉強会で、参考図書リストに加えた。)
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茨城栃木の水害の恐ろしさを目の当たりにしてタイムリーな本を見つけた。自分が住んでいるところは荒川放水路の左岸にあたる川口市である。街には浸水したときの水位がテープで電柱に記してあり中には5メールのところもある。過去には水害で大きな被害を被ったこともあったようで、市民には身近な災害...
茨城栃木の水害の恐ろしさを目の当たりにしてタイムリーな本を見つけた。自分が住んでいるところは荒川放水路の左岸にあたる川口市である。街には浸水したときの水位がテープで電柱に記してあり中には5メールのところもある。過去には水害で大きな被害を被ったこともあったようで、市民には身近な災害である。この本を読んで、首都圏というのは関東平野を囲む高い山々に降った雨雪が一気に集まる場所であるということに改めて気付かされた。そのため地味は豊かで産業が発達する反面洪水にさらされる運命にあり、古くから河川の付け替えや開削といった治水が行われてきた。利根川や荒川の流路変更は大事業であったことを知った。そして自分に身近な荒川放水路も昭和の初めに完成している。日本人は自然と共生してきたなどいう耳に快い言説は嘘であり、むしろ自然と戦ってきたといえる。そしてそれは完成せず現在も継続中であるということは気に留めたい。「コンクリートから人へ」などというふんわりした言葉に乗せられてはいけない。改めて思った次第である。
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○元東京都職員の土屋氏の作品。 ○土木建築や防災を専門とする著者による、東京都における水害リスクを、過去の歴史や他国の状況などを踏まえ、警鐘を鳴らす作品。 ○河川についての構造や防災対策、地形がもたらす影響など、具体的な説明でリスクが分かりやすい。 ○これだけ人が集中する東京が、...
○元東京都職員の土屋氏の作品。 ○土木建築や防災を専門とする著者による、東京都における水害リスクを、過去の歴史や他国の状況などを踏まえ、警鐘を鳴らす作品。 ○河川についての構造や防災対策、地形がもたらす影響など、具体的な説明でリスクが分かりやすい。 ○これだけ人が集中する東京が、これほどのリスクにさらされているということが意外であり、心構えが必要であると認識した。
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スイスの再保険会社のランキングでは、自然災害リスクの高い都市ランキング1位が、東京・横浜地区なのだそうです。 なんかあったら、水没しちゃうよ、そういう話。 地下鉄は地面より低い。地下鉄は皆つながっている。地下のケーブル類なんかも当然つながっている。東京では、すでに民有地で...
スイスの再保険会社のランキングでは、自然災害リスクの高い都市ランキング1位が、東京・横浜地区なのだそうです。 なんかあったら、水没しちゃうよ、そういう話。 地下鉄は地面より低い。地下鉄は皆つながっている。地下のケーブル類なんかも当然つながっている。東京では、すでに民有地で水没して失われたところもある。 東京がいかに水害に弱いか、その理由がずんずん並べ立てられる。ああ東京にいなくてよかった、なんて思ってしまう。 なぜそんな東京に人が集まったか、といえば、水害あるところ肥沃な土地あり、でもあるのだけど、今の東京にはあまり価値がない話。ある程度自然の撹乱を我慢すればなんとかなった話も、都市化・集約化が進むとそうもいかなくなるわけで、それなのに後手にまわって世界一危険な都市に。 東京がいかに危険か、それは十分感じられる。けれど、後半になると政治的課題、というか恨み言っぽいことも出てきてしまう。 こと防災に関していえば、既存の自治体の線引ではなくて、流域単位で対策が必要なのは自明だ。けれど、同様に大事なことは、行政に頼りすぎずに、自分で危ない場所やら、危ないときにどうしたらいいかを知っておくことだと思う。土木工事的面があるので、仕方ないかもしれないが、行政寄りの話が多い。 思うのは、地方都市が水没してもただのやじうまニュースになるのに、東京が水没すれば連日大騒ぎになるだろうな、ということ。もう、水没する、という前提でもっと慌ててもいいと思うけどなあ。 地方創生で補助金出るかもしれない。引っ越せば(他人事モード)。 知らない誰かが開発した土地で、知らない誰かがつくったインフラで暮らす。それは地方都市でもおんなじだけど、集約が進めば進むほど怖いことになる。けれど、知らない誰かに頼らないと、暮らすのがなかなか難しい。 危険都市ベスト10には、大阪も名古屋も入っているそうで、日本型の都市はやばい、と言い換えてもいいのかもしれない。土木工事ばかりが解決策じゃないと思うけど、土木工事での解決が日本的だなあ、とも思う。勧告しても逃げないぜ、俺達日本人は。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「人が住んでいいない場所では、台風が襲来しても、火山が爆発しても、地震が起きても、それは災害ではなく自然現象でしかありません。人が住んでいるからこそ、災害なのです。」 「台風が日本を襲ってくるのではなく、日本が台風の通り道にいるのです。」 「日本を攻撃するのに大量の軍隊も核兵器も必要ありません。無人攻撃機1機で足りてしまうかもしれません。ゼロメートル地帯の堤防をわずか1か所決壊させるだけで、日本は機能を失うのです。」 これらの言葉を肝に銘じて生活していこうと思った。今まで災害に遭わなかったことは、幸運でしかないのだ。 それにしても、昔の東京の水害の話は知らなかったことだらけで、小中高と東京の学校に通ってたのに、一体私は何を教わっていたのかと思った。自分の住んでいる地域の災害の歴史やその文化って、小学校中学校で必修にしてでも教えるべきものではないのかしら?もしかしたらふなっしーはいなかったかもしれない・・・と考えられる、東京の水害の話はとても興味深かった。
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