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謎の人妻家政婦と雇い主との悲喜こもごも

『特選小説』(綜合図書)に上梓された連作短編を纏めた1冊。ヒロインである人妻家政婦【生田良美】と雇い主との様々な人間模様と桃色模様が独立したエピソードとして綴られている。つまり、生田家政婦はエピソード毎に異なる家に派遣されており、故に主人公もそれぞれ異なっている。また、この短編は...

『特選小説』(綜合図書)に上梓された連作短編を纏めた1冊。ヒロインである人妻家政婦【生田良美】と雇い主との様々な人間模様と桃色模様が独立したエピソードとして綴られている。つまり、生田家政婦はエピソード毎に異なる家に派遣されており、故に主人公もそれぞれ異なっている。また、この短編は半ばシリーズ化されたようであり、本作の翌年(2015年)には続編となる『いかせてあげます』が出ている。これだけ続くというのは相当な人気を博したのではなかろうかと推測する。確かに見合う官能要素と独特の魅力がある。 展開は総じて似通っており、地味な出で立ちや無表情に隠れた美貌と仄かに漂う色気を嗅ぎ取った主人公が生田家政婦に「命令」する形でコトに及ぶのがほとんど。どんな命令も忠実にこなす生田家政婦の決め台詞は「承知いたしました」である。 ここまでは、まぁ、ワンパターンと言ってしまえばそれまでだし、中には心優しかったりオドオドしたりの雇い主もいるのに命令する段になると揃って居丈高になってしまうのは一考の余地が残るアプローチとも感じたが、迫られてからの生田家政婦の変化、そのいやらしさが諸々のネガティヴ要素を打ち消している。 それまでの無表情キャラが一転して敏感に反応し、喘ぎ、悶え、昂っては自ら求めてしまう生田家政婦。官能スイッチが入ってからの積極さは人妻らしさをスポイルしているものの(実際のところ夫ある身とは思えない素振りである)、むしろ「命令」に従うことが官能を謳歌するための隠れ蓑であるかのよう。そんな小悪魔のような佇まいこそが生田家政婦本来の姿なのであろう。そう思うと次のエピソードではどんな雇い主が現れ、どんな形で生田家政婦の被虐性を炙り出してくれるのか楽しみになってくる。 欲を言えば官能場面が一度きりで、余韻をあまり感じることなく幕が引かれるエピソードもあることか。1人暮らし、もしくは家人の長中期の外出で1人になってしまう雇い主ばかりなのも構成の変化を乏しくさせているようである。

DSK