シンメトリーの地図帳 の商品レビュー
新たな概念を生み出す興奮と、それを世に出すまでの苦悩について数学者だけではないなと共感しながら読むことができた。特に論文をまとめるという作業を「辛気臭い」と表現していた点が印象的だった。 さらに、数学者どうしですら通じないことがあるのだということが学びになった。 お気に入りポイ...
新たな概念を生み出す興奮と、それを世に出すまでの苦悩について数学者だけではないなと共感しながら読むことができた。特に論文をまとめるという作業を「辛気臭い」と表現していた点が印象的だった。 さらに、数学者どうしですら通じないことがあるのだということが学びになった。 お気に入りポイントは 対称性に関する数学者たちの戦いの歴史 コンウェルの仲間たちが集まってくるところ
Posted by
著者自らがシンメトリーの「モンスター」に挑む遍歴について,群論の歴史を交えながら辿る数学の啓蒙書。本書を通してシンメトリーを感覚的に捉えることもできる。
Posted by
図書館本、素数の音楽、地の果てへの旅、レンブラントの身震いの著者。とてもおもしろかった。でも、分からないところもあり、読み返したいから、手元に欲しくなった。
Posted by
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB16497102
Posted by
平面や3次元立体図形やのシンメトリーは美しいと感じるし、その性質は興味深いと思いながら読み始めたのですが、途中から「19万6883次元」の空間に「33桁の数字」の数だけシンメトリーを持つ図形がある、とか出てきて、常人にはついていけない世界(群論)になっていくので、そこで挫折する人...
平面や3次元立体図形やのシンメトリーは美しいと感じるし、その性質は興味深いと思いながら読み始めたのですが、途中から「19万6883次元」の空間に「33桁の数字」の数だけシンメトリーを持つ図形がある、とか出てきて、常人にはついていけない世界(群論)になっていくので、そこで挫折する人は多いかもしれない。 図形だけじゃなく、自然界を含め、様々なところに存在するシンメトリーの話や、シンメトリーには数学的な性質が潜んでいること、さらには数学(数論)を拡張していく話など、様々なエピソードが盛り沢山な一冊になっているので、数学が好きな人には面白い一冊になると思います。
Posted by
数学史と著者の研究進行が並行に書かれており、いずれもボリュームたっぷりで読みごたえがある。シンメトリーの研究に関してはもっと数式があった方がわかりやすいと思うが、売上半減の法則があるなら仕方がない。
Posted by
symmetryといえばGalois理論である。 symmetryといえばAlhambra宮殿である。 本書は、Alhambra宮殿のsymmetryから始まり、Galois理論を通してのより深いsymmetryを紹介している。まるでGaloisから今日までに至る群論の歴史を双...
symmetryといえばGalois理論である。 symmetryといえばAlhambra宮殿である。 本書は、Alhambra宮殿のsymmetryから始まり、Galois理論を通してのより深いsymmetryを紹介している。まるでGaloisから今日までに至る群論の歴史を双対するような印象を受ける。 Galoisは、その後の400年の数学的な仕事を残していったと言われるくらい群論の本質を発見した。 彼の理論はより高次の環、体のような現代数学の基礎をなしており、さらに現代物理学ではこのsymmetryが重要な物理法則を記載しているかのしれないという示唆が得られている。 いつも、もう少し平易な言葉で群論を記載できないものかと考える。 Fermatの最終定理、四色問題やRiemann予想(のような数学的な難問)は少し勉強すればだれでもその主張内容を理解することができ、平易な日本語で書き下すことができる(というか、理解ができかつ、解くのに長い年月を必要としたので有名になったというLogicも至極まともであるが)。 一方で群論は、二次元(頑張って三次元)を例に出して回転、並進によって形を変えないものをsymmetryという、という記載以外に見当たらない。それはもちろんsymmetryと呼ばれるものであるが、より高次に拡張されたsymmetry、そしてそれを記述する数学を通して真に数学の美しさをみることができるのだ。 ふと大学時代を思い返してみると、群論の導入は線形代数だったと思う。行列式を導入するために半年も延々と定理→証明、定理→証明を繰り返していった(対称群S3の行列表現!)。 しかも、半年後に得られた行列式は単なる代数的な操作で求めることができることを示されるので、だれも群論なんて覚えていない!という強烈な悪循環であった。 が、数学科の群論の講義を取ると開始3分で、「群とは任意の 集合S の元が・・・」といったように90分のお昼寝タイムが始まる。。 本書は文学と数学を融合する一冊という点では傑作であるが、この本から数学的な何かを学ぼうと思うと無駄に終わってしまうだろう。 ちなみに、三次元のsymmetryを完璧に理解すると、単結晶の構造(つまり、規則正しく並ぶ構造)を分類することができるので、化学、物理にも偉大な貢献をしているのだ。 最後に、本書の結びにも記載されているが、単純群の中でも位数が極端に大きいもの(モンスター)はどうやら深いところで代数学(特に素数?)と結びついているようだということが示唆されている。 もしこの理由が解き明かされることがあれば、さらに数学の深淵をみることができるというワクワクする感じもする一方で、数学とは何故こんなに老獪なのだろうかと感じずにはいられない。
Posted by
- 1